\ 売却のご相談はこちら /

借地借家法でよくあるトラブルとは?事前の防止策・対処法を解説

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:17029

借地借家法でよくあるトラブルとは?事前の防止策・対処法を解説

借地借家法でよくあるトラブルとは?事前の防止策・対処法を解説

借地借家法は、土地や建物の貸し借りにおいて、貸す側(賃貸人・地主)と借りる側(賃借人・借地人)双方の権利と義務を定め、そのバランスを調整するための法律です。
この法律は、賃貸人と賃借人の双方が安心して契約を結べるようにするほか、どちらか一方による不当な要求が認められないようにする重要な役割を担っています。

しかし、この借地借家法の解釈や運用を巡って、残念ながらトラブルに発展するケースも少なくありません。

そこで今回は、借地借家法に関連して発生しやすいトラブル事例と、それらを未然に防ぐための対策、そして万が一トラブルが発生した場合の対処法について詳しく説明します。

【建物の場合】借地借家法でよくあるトラブル

借地借家法は、その名の通り「借地(土地の賃貸借)」と「借家(建物の賃貸借)」の両方に関するルールを定めています。

建物の賃貸借(借家契約)において発生しやすいトラブルとしては、以下のものが一般的です。

  • 賃料の(家賃)の増額・減額請求に関するトラブル
  • 契約更新時の更新料や条件変更に関するトラブル

賃料の(家賃)の増額・減額請求に関するトラブル

建物の賃貸借において、賃料(家賃)の増額または減額に関するトラブルは非常に多く見られます。
特に、貸主(大家さん)から賃料の増額を要求された際に、借主がこれを不服として交渉が難航し、最終的に民事調停や訴訟にまで発展するケースが目立ちます。

借地借家法第32条では、賃料増減請求権が認められていますが、これには「正当な事由」が必用です。
しかし、何が「正当な事由」にあたるのか、貸主と借主の間で認識が異なり、紛争の原因となることが少なくありません。

賃料の増額請求が認められやすい「正当な事由」の例としては、以下のようなものがあります。

  • 固定資産税や都市計画税など、土地や建物に対する公租公課の負担が増加した場合
  • 土地や建物の価格が上昇し、経済事情の変動により現在の賃料が不相当になった場合
  • 近隣の同種・同程度の物件の賃料と比較して、現在の賃料が著しく低く不相当な場合

賃料の(家賃)の増額・減額請求に関するトラブルへの対処法

貸主から賃料増額の請求があった場合、または借主から減額の請求をしたい場合、まずは当事者間で冷静に話し合い(協議)、合意による解決を目指すことが基本となります。

協議がまとまらない場合は、簡易裁判所に民事調停を申し立てることができます。
調停でも合意に至らなければ、最終的には訴訟を提起し、裁判所に適切な賃料額を判断してもらうことになります。

貸主から一方的に増額を通知されたとしても、借主がその金額に納得できない場合は、従来の賃料を支払い続けることができます。
ただし、貸主が増額後の賃料でないと受け取らない場合などは、法務局に賃料を供託する手続きも検討しましょう。
これにより、賃料不払いを理由とする契約解除のリスクを回避できます。

また、契約書に「一定期間は賃料を増額しない」という特約(賃料不増額特約)が定められている場合は、原則としてその期間中の増額請求は認められません。
ただし、著しい経済情勢の変化など、特約の効力を維持することが不当とされる例外的な場合には、増額が認められる可能性もあります。

借地権に強い弁護士に相談するならセンチュリー21中央プロパティー ≫

契約更新時の更新料や条件変更に関するトラブル

建物賃貸借契約の更新の際に、貸主から「更新料」の支払いを求められたり、従前と異なる契約条件を提示されたりしてトラブルに発展するケースがあります。

更新料の支払いについて、借地借家法上では明確な支払い義務は定められていません。
つまり、賃貸借契約書に更新料に関する具体的な取り決め(金額、支払時期など)が明記されており、かつ、その内容が借主に一方的に不利なものではない限りにおいて、契約当事者間の合意に基づいて支払われるものです。
契約書に記載がない場合や、合意がない場合には、原則として支払わなくてよいとされています。

しかし、この点が十分に理解されていなかったり、契約締結時に十分な説明がなされていなかったりするために、更新料の支払いを巡るトラブルが依然として多く発生しています。

契約更新時の更新料や条件変更に関するトラブルの防止・対処法

契約更新時のトラブルを未然に防ぐためには、まず契約締結時の対応が非常に重要です。

契約締結時に特に確認しておきたい事項は以下の通りです。

  • 更新料の有無と金額:賃貸借契約を結ぶ際に、更新料の有無、金額、算出根拠、支払時期などについて、貸主または仲介業者から明確な説明を受け、納得した上で契約しましょう。
  • 契約書の記載内容の確認:更新に関する条項(更新料、更新手続き、契約期間、更新時の条件変更の可能性など)が契約書にどのように記載されているかを詳細に確認します。不明な点や曖昧な表現があれば、必ず質問し、必要であれば書面で回答を得るようにしましょう。

もし契約更新時に、契約書に記載のない高額な更新料を請求されたり、一方的に不利な条件変更を求められたりした場合は、まずはその根拠を貸主に確認し、安易に同意しないことが大切です。
話し合いで解決しない場合は、地域の消費生活センターや弁護士などの専門家に相談することを検討しましょう。

【土地の場合】借地借家法でよくあるトラブル

借地借家法の賃貸借(借地契約)において発生しやすいトラブルについて解説します。
土地の賃貸借では、土地の所有者である地主と、その土地を借りて建物を所有している借地権者との間で、様々な問題が生じることがあります。

基本的には土地(底地権)を所有している地主からの不当な要求を巡るトラブルが多いです。

建物の賃貸借(借家契約)において発生しやすいトラブルとしては、以下のものが一般的です。

  • 地代の値上げに関するトラブル
  • 建物の増改築・建て替えに関するトラブル
  • 借地契約の更新に関するトラブル
  • 立ち退きに関するトラブル
  • 借地権を売却する際のトラブル

地代の値上げに関するトラブル

地主から地代の値上げを要求され、借地権者との間で意見が対立し、トラブルに発展するケースは少なくありません。

値上げ要求は、契約更新時だけでなく、固定資産税の増額や周辺地価の上昇といった経済状況の変化があった場合など、様々なタイミングで行われる可能性があります。
また、借地権者が亡くなり、相続によって新しい借地権者が権利を承継したタイミングで、地主が地代の見直しと値上げを提案してくることもあります。

地代の値上げに関するトラブルへの対処法

地主から地代の値上げを要求されたものの、その金額や根拠に納得がいかない場合、必ずしもその要求に応じる義務はありません。

地主から地代の値上げを要求された場合、借地人は以下の流れで異議を申し立てることが一般的です。

  1. 協議:まずは地主と話し合い、値上げの根拠や妥当性について説明を求め、交渉します。
  2. 異議の表明:交渉しても納得できない場合は、値上げには応じられない旨を明確に伝えます。
  3. 従来の地代の支払い(供託):一方的に値上げを通告されても、合意に至るまでは従来の地代を支払い続けます。地主が受領を拒否する場合は、法務局に地代を供託することで、地代不払いを理由とする契約解除のリスクを避けることができます。
  4. 調停・訴訟:当事者間の話し合いで解決しない場合は、簡易裁判所に地代調停を申し立てるか、最終的には訴訟によって裁判所に適正な地代を判断してもらうことになります。

地代の値上げの効力は、当事者双方の合意があるか、または裁判所の判決(認容判決)があった場合に初めて生じます。
契約書に値上げに関する特約がある場合は、その内容も確認しましょう。

建物の増改築・建て替えに関するトラブル

借地権付き建物の増改築や建て替えをする際は、原則として地主の承諾が必要です。

しかし、地主が正当な理由なくこの承諾を拒否したり、あるいは承諾はするものの、法外な承諾料(建替承諾料、増改築承諾料など)を要求したり、建物の種類・構造・規模・用途などに過度な制限を設けようとしたりすることで、トラブルに発展することがあります。

建物の建て替えに関するトラブルへの対処法

借地上の建物の増改築や建て替えについて、地主から正当な理由なく承諾が得られない場合や、不当に高額な承諾料を要求された場合には、裁判所の手続きを利用することができます。

借地権者は、地方裁判所に対して「借地条件変更の申立て」や「増改築許可の申立て」(いわゆる借地非訟手続)を行うことができます。
この手続きにより、裁判所は、地主の承諾に代わる許可を与えるかどうか、また、許可を与える場合には承諾料の額やその他の条件(建物の種類、構造、規模など)を総合的に判断して定めます。
裁判所が許可を与えれば、借地権者は地主に裁判所が定めた承諾料を支払うことで、建物の増改築や建て替えを行うことが可能になります。

借地契約の更新に関するトラブル

借地権の更新時に起こりがちなトラブルが、地主の“更新拒絶”です。
普通借地権の場合、借地の契約が満了する際に借地権を得ている側が更新料を支払って契約更新するのが通例です。
しかし、この更新時に地主が契約の更新を拒否したり、条件を変更したりすることでトラブルが発生します。

普通借地権では、契約期間が満了しても、借地上に建物が存続し、借地権者が契約の更新を請求した場合、地主は原則としてこれを拒むことができません(法定更新)。
地主が更新を拒絶するためには、「正当な事由」が必要とされています(借地借家法第6条)。
この「正当な事由」の有無を巡って争いが生じることがあるのです。(例:地主の自己使用の必要性、借地人の義務違反、立ち退き料の提供など)

また、更新自体には合意があっても、地主から高額な更新料を要求されたり、地代の大幅な値上げを提示されたりするなど、更新の条件面で折り合いがつかずにトラブルとなるケースもあります。
更新料については、法的に必須のものではないものの、契約書に明確な定めがあり、その内容が不当でなければ支払う義務が生じます。

借地契約の更新に関するトラブルへの対処法

普通借地権において、地主から契約更新を拒絶された場合でも、借地借家法第6条に定める「正当な事由」が地主側に認められなければ、借地権者が更新を望む限り契約は原則として更新されます(法定更新)。
まずは地主に対し、更新拒絶の具体的な理由と、それが正当事由に該当すると考える根拠を書面で示すよう求めましょう。
その上で、納得できなければ弁護士に相談し、対応を協議します。

また、契約書に更新料の定めがない、または定めがあっても社会通念上不相当に高額な更新料を請求された場合は、その全額または一部の支払いを拒否することが考えられます。
更新料の支払い自体は法的に必須のものではなく、あくまで当事者の合意に基づくものです。
支払いを拒否しても、地主側に更新を拒絶する正当な事由がなければ、契約は法定更新されることになります。

ただし、地主との関係悪化を避けるためにも、まずは交渉し、合意点を探る努力が必要となります。
どうしても折り合いがつかない場合は、弁護士などの専門家に相談し、調停や訴訟などの法的手段も視野に入れることになります。

借地権に強い弁護士に相談するならセンチュリー21中央プロパティー ≫

立ち退きに関するトラブル

借地契約の期間中や更新時に、地主が「土地を自分で使いたい」「再開発をしたい」などの理由で、借地権者に対して立ち退きを要求してくることがあります。
このような場合、借地権者にとっては生活や事業の基盤を失うことになりかねないため、大きなトラブルに発展しやすくなります。

立ち退きに関するトラブルへの対処法

地主から一方的に立ち退きを要求された場合でも、借地権者(または建物の賃借人)は、直ちにそれに応じる必要はありません。

借地借家法では、地主(または貸主)が借地契約の更新を拒絶したり、解約を申し入れたりするためには「正当な事由」が必要です。
まずは、地主が主張する立ち退きの理由がこの「正当な事由」に該当するのかを慎重に検討する必要があります。
安易に立ち退きに合意せず、まずは地主と十分に話し合い、立ち退きの必要性や条件(立ち退き料の金額、移転先の確保など)について交渉しましょう。

交渉が難航する場合や、地主の要求が不当だと感じる場合は、弁護士に相談し、法的な観点からアドバイスを受けましょう。
必要であれば、調停や訴訟といった法的手続きを通じて解決を図ることになります。

借地権に強い弁護士に相談するならセンチュリー21中央プロパティー ≫

借地権を売却する際のトラブル

借地人が借地権を売却(譲渡)しようとする際に、地主とのトラブルが起きやすいと言われています。

借地権を売却(譲渡)する際は、地主の事前承諾と譲渡承諾料の支払いが必要となりますがす。
この承諾を得る過程や、承諾の条件として地主から要求される譲渡承諾料の金額などを巡って、トラブルが発生しやすくなっています。

主な原因として、地主による合理的な理由なき譲渡承諾の拒否、相場(一般的には借地権価格の10%程度と言われますが、ケースバイケースです)を大幅に超える高額な譲渡承諾料の要求、譲渡条件に関する意見の不一致などが挙げられます。

借地権を売却する際のトラブルへの対処法

借地権を第三者に売却(譲渡)しようとした際に、地主が正当な理由なく承諾を拒否したり、法外な譲渡承諾料を要求したりする場合には、裁判所の手続きを利用できます。

借地権者は、地方裁判所に対し「借地権譲渡許可の申立て」(借地非訟手続)を行うことができます。

裁判所は、譲渡を認めることが地主にとって著しく不利にならないか、譲受人に借地権を適切に維持できる資力や能力があるかなどを審理し、地主の承諾に代わる許可を与えるかどうかを判断します。
また、地主が自らその借地権を買い取りたいと主張する場合(介入権の行使)についても、裁判所がその可否や条件を判断します。

この借地非訟手続は、借地権の譲渡承諾だけでなく、前述した建物の増改築許可の申立てや、借地条件(建物の種類、構造、規模、用途など)の変更の申立てなど、借地に関する様々な紛争解決のために利用することができます。

センチュリー21中央プロパティーなら【仲介手数料0円】で借地権売却! ≫

借地借家法にまつわるトラブルを未然に防ぐためのポイント

借地借家法が関わるトラブルは、一度発生すると解決までに時間と労力を要し、当事者双方にとって大きな負担となり得ます。
しかし、いくつかの重要なポイントを事前に押さえておくことで、多くのトラブルは未然に防ぐことが可能です。

借地借家法にまつわるトラブルを未然に防ぐためのポイントは、以下の通りです。

  • 地主との良好な関係を構築する
  • 契約内容をしっかりと把握し、書面化しておく
  • 早い段階から弁護士に相談しておく

地主との良好な関係を構築する

地代の確実な支払いや契約内容の遵守はもちろん、日頃からの挨拶や近況報告など、地主との良好なコミュニケーションは、多くの無用なトラブルを避ける上で非常に重要です。
小さな疑問や変更事案も早めに相談・報告し、誠実な対応を心がけましょう。

契約内容をしっかりと把握し、書面化しておく

賃貸借契約におけるトラブル回避の最も基本的な対策は、契約締結前に内容を隅々まで確認し、全ての合意事項を書面で明確にすることです。
口約束や曖昧な表現は、将来の紛争の火種となりかねません。

書面化は、後の紛争時に客観的な証拠となるだけでなく、貸主・借主双方が契約条件について共通の認識を持つためにも極めて重要です。
特に、契約期間、更新条件、更新料の有無や金額、賃料(地代・家賃)の額や改定ルール、禁止事項、修繕義務、解約条件、そして特約条項(特に一方に不利な内容が含まれていないか)などは、入念な確認が求められます。

法律上、口頭契約も有効とされ得ますが、契約書が存在しなければ、契約内容の証明は著しく困難となり、万が一トラブルが発生した際に非常に不利な状況に立たされる可能性があります。
したがって、全ての合意事項を書面に残し、双方が署名または記名押印した契約書を大切に保管することが鉄則です。
可能であれば、公正証書としておくことで、さらにその証明力は高まります。

センチュリー21中央プロパティーには、借地権トラブルに豊富な実績を持つ社内弁護士が在籍しており、これらの契約内容の精査や書面作成、リーガルチェックも可能です。

【初回相談無料】借地権に強い弁護士に相談するならセンチュリー21中央プロパティー ≫

早い段階から弁護士に相談しておく

借地借家法や関連法規は非常に専門的かつ複雑であり、一般の方がその全てを正確に理解し、適切に対応することは容易ではありません。
そのため、契約内容に少しでも不明な点がある場合、地主や貸主から何らかの要求(賃料増額、更新拒絶、立ち退き要求など)をされて対応に迷う場合、あるいは既にトラブルの兆候が見られる場合には、できるだけ早い段階で法律の専門家である弁護士に相談することを強く推奨します。

センチュリー21中央プロパティーの社内弁護士は借地権問題に特化しており、不動産実務を熟知した上で、迅速かつ的確な法的アドバイスを提供しています。
お客様の権利保護を最優先に行動いたしますので、ご安心の上、ご相談ください。

【初回相談無料】借地権に強い弁護士に相談するならセンチュリー21中央プロパティー ≫

借地借家法に関するトラブルを防ぐためのポイントを把握しておこう

借地借家法は貸主と借主双方の権利を守る法律ですが、地代の値上げ、契約更新、建物の増改築や借地権売却時に地主との間でトラブルが起こりがちです。
「地主が売却や更新を認めてくれない」「地代の値上げに応じたくない」「相続した借地権をどうにかしたい」「地主との交渉が面倒」といったお悩みはありませんか?

トラブルに発展しそうな心配事・疑問がある場合、可能な限り早い段階で弁護士や不動産会社に相談すると、スムーズに解決できる可能性が高まります。
状況によっては不動産会社に仲介に入ってもらうことも有効です。
不動産会社は豊富な経験と知識を持っており、トラブル解決に向けて対応してくれます。

弊社センチュリー21中央プロパティーは、借地権専門の不動産仲介会社です。
ご相談・売却・トラブル解決の実績は合計で4万件を超えており、借地権につきましては圧倒的な実績を誇ります。
また、社内に専属の弁護士が常駐しており、いつでも法的かつ的確なアドバイスをご提供可能な環境が整っております。

初回面談は無料となりますので、借地権に関するお悩みや売却のご意向をお持ちのお客様は、ぜひお気軽にお問合せください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

おすすめの記事はこちら