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土地は借地、家は持ち家の人必見!借地権相続時の基本手続きと地主への対応まとめ|借地権を相続した方

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土地は借地、家は持ち家の人必見!借地権相続時の基本手続きと地主への対応まとめ

実家が借地権の人必見!借地権の相続時に気を付けるポイント

借地権は、相続の対象になります。借地権を相続する際、地主の承諾は不要です。
この記事では、借地権相続時に必要な対応と地主・相続人同士のトラブルに関する注意点を詳しく解説します。

1: 借地権相続の基本手続き: 必要なステップを理解する

まずは、借地権の相続時に必要な対応について、把握しましょう。

1-1: 借地権相続の全体的な流れとは

借地権相続時に必要な対応の流れは、以下の通りです。

  1. 相続が発生したことを地主に伝える
  2. 遺産分割協議にて誰がどのように相続するかを話し合う
  3. 名義変更手続きを行う
  4. 借地契約の内容を確認する
  5. 相続税を納付する

1-2: 相続発生時の初期対応は?

実は、借地権のトラブルで最も多いのは相続発生時です。相続人の中には、地主への対応は親に任せきりで、自分は会ったこともない、という方もいらっしゃるでしょう。

これまで被相続人が築いてきた関係性が、相続によって一気に変わることもあります。今後の借地契約をどうするか、についても必然的に地主とのコミュニケーションが必要になります。

地主がどんな人か、過去に被相続人とのトラブルはなかったか、などを把握するためにも、地主への対応は慎重かつ丁寧に行いましょう。

2: 借地権の遺産分割はどうするべき?

借地権は、相続の対象になります。借地権の遺産分割において注意すべき点を解説します。

2-1: 遺産分割に注意!共有は避けよう!

例えば、実家が借地権で、兄弟3人で相続する場合、法定相続通りの分け方でいくと、それぞれ3分の1ずつ相続する権利があります。

共有名義で借地権を相続した場合、建物を売りたい、立て替えたい、貸し出して賃料収入を得たい、というような場合、共有者全員の同意が必要になります。
共有者全員に所有権があるわけですから、建物の活用や処分をめぐって意見が割れ、トラブルになることは想定できるでしょう。

また、共有名義の不動産では、不動産の修繕管理費用や固定資産税も、持分割合に応じて負担します。「自分が活用していない不動産の税金など払いたくない」と主張する共有者が出てくる可能性もあります。

トラブルになりやすいため、借地権を共同相続するのは、避けましょう。

関連記事:準共有借地権とは?借地権の共有状態を解消すべき理由

2-2: 借地権相続時のおすすめの遺産分割方法

借地権は、誰か一人の単独名義で相続するのがおすすめです。遺産分割の方法は、遺言書の有無によって変わります。遺言書がある場合は、被相続人の意向を尊重して、その通り分割するのが一般的です。

しかし、遺言書が「共有で相続させる」となっていた場合は、先述したように共有者間でトラブルになる可能性があります。

関連記事:借地権の遺産分割協議書の作成方法|相続と分割方法も解説

2-3: 借地権の遺贈はどうなる?

借地権の遺贈とは、遺言書によって被相続人と血縁関係にない第三者が借地権を譲り受けることです。個人だけでなく病院やNPO法人といった団体・法人も指名できます。

承諾料は、名義書き換え料・名義変更料とも呼ばれ、法的な定めは特にありませんが、借地権価格の10%程度が相場と言われています。

関連記事:借地権の名義変更料とは?支払うタイミングと借地相続の流れを解説

3: 借地権の名義変更手続きの流れ

遺産分割協議が終わったら、借地権の名義変更手続きに移ります。

名義変更手続きは、自分で行う、または専門家である司法書士に依頼する方法があります。

3-1: 借地権の名義変更プロセス

借地権の名義変更の流れは、以下の通りです。

  1. 遺産分割協議書もしくは遺言書を用意する
  2. 司法書士に登記申請を依頼する(司法書士に依頼する場合)
  3. 必要書類を集める
  4. 登録免許税を納税する
  5. 相続登記が完了

法務省:相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)~なくそう所有者不明土地!~

3-2: 借地権の場合、特に相続登記が重要!

借地権の場合、相続登記をしていないことで、第三者に所有権を主張できない可能性があります。

また、非常に少ないケースではありますが、借地権自体に登記がある場合があります。その場合は、借地上にある建物と借地権の両方の名義変更が必要になります。

このあたりが、どのような登記になっているかは、不動産全部事項証明書を取得することで確認できます。

借地権の相続登記

3-3: 司法書士に依頼したほうがよいケース

借地権の名義変更に必要な書類は、以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までがわかるもの)
  • 被相続人の除住民票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 借地権を相続する人の住民票
  • 固定資産税評価証明書

登記申請書は、法務局のホームページ内、不動産登記の申請書様式についてからダウンロードできます。

法務局への申請は、以下の方法でできます。

  • 法務局の窓口にて申請
  • 郵送による申請
  • オンライン申請

相続登記の手続きは、センチュリー21中央プロパティーでも対応可能ですので、ご相談ください。

関連記事:借地権の相続登記が義務化~名義変更の流れ~

4: 名義変更が完了したら借地契約を確認

借地権を相続する人が確定し、名義変更を終えたら、地主にその旨を報告しましょう。

そして、現在の借地契約がどうなっているか把握し、トラブルにならないようにしましょう。

4-1: 借地権の相続時、地主とのトラブルに注意

借地権は地主の許可なく相続手続きが可能である一方で、地主と相続人の間、また相続人同士でのトラブルが起こりやすいものでもあります。よくある相続トラブルとしては、下記が挙げられます。

  • 地主から名義変更料(承諾料)を要求される
  • 地代の値上げを要求される
  • 立ち退きを要求される

ここからは、それぞれのトラブル内容の詳細と主な対処法を解説します。

①地主から名義変更料(承諾料)を要求される

借地権の相続によって最も起こり得るトラブルが、地主から高額な名義変更料(承諾料)を要求されるという内容です。

②地代の値上げを要求される

借地権の相続をきっかけに、地主から地代の値上げ(増額請求)を要求されるケースも少なからずあります。

しかし、賃貸借契約書において「一定の期間、地代等を増額しない特約」の記載があるなど地代の値上げにおける取り決めがあらかじめ定められている場合は、その内容にもとづいて話し合い・交渉する必要があることに注意してください。また、相続前の地代が周辺の賃料相場や地価と比較して非常に安価である場合においても、地代等増減請求権の行使によって強制的に地代の値上げに対応しなければならない可能性もあります。

交渉がなかなか進まなければ、さらなるトラブルに発展する可能性もあるため、名義変更料(承諾料)の支払いと同様にケースバイケースで判断することがおすすめです。

③立ち退き(土地の返還)を要求される

借地権を相続するタイミングや地代の値上げ交渉が決裂した際には、それをきっかけに地主から立ち退き(土地の返還)を要求されるケースもあります。

ただし、地代等増減請求権の行使による地代の値上げに対応しない、などトラブル内容によっては立ち退きをしなければならない可能性もあることに注意しておきましょう。また、定期借地契約を締結している場合は原則更新ができないため、どのような形で借地権が締結されているかもしっかり確認しておきましょう。

4-2: 押さえておきたい借地権の注意点

借地権には、知っておきたい注意点があります。相続時の対応や固定資産税、増改築や売却をするとき、契約期間が満了したときなど、それぞれについて注意点を解説します。

①固定資産税の扱い

固定資産税の納税義務者は1月1日時点の登記上の所有者(地方税法第343条)ですが、相続が発生すると、納税義務は(共同)相続人に承継されます(地方税法第9条)。

名義変更の手続き前でも、固定資産税の納付義務は発生している点に注意が必要です。

遺産分割協議が確定するなど新たな借地人が決まるまでは、代表者を決めて相続財産から固定資産税を負担しましょう(民法第885条)。新たな借地人が確定したら、その後は新たな借地人が固定資産税の納税義務者となります。

なお、相続が開始した年の12月末日までに相続登記が完了しない場合は、現所有者(納税義務者)を申告するために、市町村(東京23区は東京都)に現所有者申告書を提出しなければなりません。

②増改築や売却には地主の許可が必要

許可を得る場合にも、地主から承諾料の支払いを求められることがあります。リフォーム(増改築)の内容によりますが、増改築承諾料の相場は更地価格の5%程度です。

関連記事:借地権の譲渡承諾料とは?必要なケースと承諾料の相場を解説

増改築や売却について地主の許可が得られないとき、増改築や売却を進めるためには、裁判所に増改築許可申立や土地の賃借権譲渡の許可申立などをする必要があります。

③更地返還が原則

つまり建物の解体が必要ですが、解体費用を借地人と地主どちらが負担するのかを巡って地主とトラブルが起こりやすいことに注意する必要があります。

しかし、解体費用は建物所有者である借地人が負担するのが基本であるため、無理に地主と交渉するのは避けるようにしましょう。

関連記事:借地権は更地にして返すのが義務!解体費用が払えない場合どうする?

4-3: 地主とトラブルになってしまった場合

借地権の相続をきっかけに、地主や相続人同士でトラブルになってしまった場合、早めに借地権に強い弁護士がいる不動産会社に相談しましょう。

借地権専門の不動産会社は、地主との交渉ノウハウや法的な対応策の知見を有しています。

関連記事:【弁護士Q&A】相続した借地権の実家について相談です

5: 借地権の相続税評価額の計算方法

借地権の相続税評価額は、以下のように計算します。

  • 借地権の相続税評価額= 自用地の評価額 × 借地権割合

ここでは、相続税の計算におけるステップを確認しましょう。

5-1: ステップ1:自用地の評価額を調べる

自用地の評価額は、対象の地域によって、求め方が異なります。

市街地の場合は路線価、路線価のない地域は、倍率方式で評価します。

対象の借地権が、どちらに当てはまるかは、国税庁のサイト内、路線価図・評価倍率表で確認することができます。

  • 路線価地域の場合:路線価 × 地積(土地の面積)
  • 倍率地域の場合:固定資産税評価額 × 倍率

倍率地域の自用地評価額の調べ方

倍率地域の場合は、固定資産税評価額を把握しておく必要があります。固定資産税評価額は、土地の所有者宛に、毎年4~5月に送られてくる「固定資産税の課税明細書」で確認できます。

また、倍率の確認方法は以下の通りです。

  1. 国税庁のサイト内、路線価図・評価倍率表で該当のエリアを調べる
  2. 左のバーから「この市区町村の評価倍率表を見る」をクリック
  3. 倍率表から該当の倍率を確認
倍率地域の自用地評価額の調べ方

関連記事:借地権売却時の評価方法は?借地権価格の計算方法も解説

倍率地域の自用地評価額の調べ方

5-2: ステップ2:借地権割合を確認する

それぞれの方法で、自用地の評価額が把握出来たら、借地権割合を確認します。

借地権割合は、同様に路線価図・評価倍率表で確認できます。

倍率地域の自用地評価額の調べ方

借地権割合は、A~Gのアルファベットごとに、90%~30%で設定されています。市街地のほうが借地権割合は高くなります。

アルファベットの記載がないエリアは、一律20%で計算します。

記号ABCDEFGその他
借地権割合90%80%70%60%50%40%30%20%

まとめ

借地権の相続は、地主や相続人とのトラブルのきっかけになりやすい傾向にあります。センチュリー21中央プロパティーには、以下のようなご相談を多くいただきます。

  • 相続をきっかけに地主とトラブルになってしまった
  • 相続した借地権を売却したい
  • 相続した借地権の名義変更がまだ終わっていない
  • 空き家のまま税金だけ払っている

借地権でお困りの方は、当社へご相談ください。

この記事の監修者

福島 健太フクシマ ケンタ

税理士

税理士。東京税理士会品川支部所属。日本税務会計学会訴訟部門所属。福島健太税理士事務所代表。不動産デベロッパーから税理士に転身した経歴をもつ不動産と税のスペシャリスト。借地権を相続される方が相続税を、また相続した借地権を売却した際に発生する所得税について相談する税理士として多くの顧客を得る。趣味は釣り。

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