借地権の種類(普通借地権・定期借地権等)|借地権とは|借地権関連
借地権の種類(普通借地権・定期借地権等)
目次
借地権の種類
借地権の種類は、
普通借地権
定期借地権
事業用定期借地権
建物譲渡特約付借地権
一時使用目的の借地権
に分けられます。以下、それぞれ解説していきます。

(1)普通借地権について
単に「借地権」と呼べば良いのに、「普通」が付く理由は(2)の定期借地権ができたためです。定期借地権は次でも説明しますが、更新が無い借地権で例外です。それに対して原則・通常の借地権を「普通借地権」と呼びます。普通借地権というより「更新のある借地権」という方が分かりやすいかもしれません。
(2)定期借地権について
(定期借地権)
借地借家法22条:「存続期間を50年以上として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第1項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取の請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。」
とあります。普通借地権は、更新を前提とした借地権ですが、定期借地権は更新の無い借地契約になります。
家を借りる通常の賃貸借契約でも定期賃貸借と見ることが増えてきましたが、これも更新が無いという点では同一です。従前のまま利用したいのであれば、再度契約を結び直す必要があります。
一定期間でも構わないから貸したいというニーズ、短い期間でもいいから借りたいというニーズ、この世間のニーズに法律が応えたことになります。普通借地権よりも安くなる場合も多く、利用期間が限定的と決まっている場合は定期借地契約も有効な手段と言えます。
(3)事業用定期借地権について
(事業用定期借地権等)
借地借家法23条:「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取の請求をしないこととする旨を定めることができる。」
とあります。こちらは、「専ら事業の用に供する建物」とあるように、会社や企業などが利用する建物がその対象になります。期間が30年から50年未満の場合であれば、事業用借地権として契約をすることができます。この借地権も更新が無く、また契約期間満了後の建物買取請求権も無しとすることができます。
(4)建物譲渡特約付借地権
(建物譲渡特約付借地権)
借地借家法24条:「借地権を設定する場合(前条第2項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第9条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後30年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。」
定期借地権の中で唯一、建物が地主の所有物になります。地主が買い取ることで底地人と借地人が同一になり(混同)、借地権が消滅します。
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1992年8月1日施行の新借地借家法で創設
土地を借りた事業者がアパート・マンションやオフィスなどの建物を建てて賃貸経営を行い、期間が満了したら、地主が建物を買い取って賃貸経営を継続していくケースがこの条文が想定するケースと言えます。
(5)一時使用目的の借地権
(一時使用目的の借地権)
借地借家法25条:「第3条から第8条まで、第13条、第17条、第18条及び第22条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。」
例えばすでに古い建物が存在していて、それを取り壊すまでの間住むことにした場合が一時使用目的に当たると言えます。一時使用の目的で借地権を設定した場合については借地人保護の適用外になると法律で決まっています。
条文で「○○条、■■条は適用しない」とあるように、借地権を保護している条文の適用は一時使用目的だと無くなってしまいます。すなわち、借地人にとっては不利になってしまうので注意が必要です。
逆を言えば、一時使用目的の借地権であれば、地主側にとっては有利になります。
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。