民法改正
(債権譲渡、保証に関する見直し)|法律・税金

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民法改正
(債権譲渡、保証に関する見直し)

前回の記事の続きです。

今回は、3番と4番について解説いたします。

5.約款(定型約款)に関する規定の新設
6.意思能力制度の明文
7.意思表示に関する見直し
8.代理に関する見直し
9.債務不履行による損害賠償の帰責事由の明確化
10.契約解除の要件に関する見直し
11.売主の瑕疵担保責任に関する見直し
12.原始的不能の場合の損害賠償規定の新設
13.債務者の責任財産の保全のための制度
14.連帯債務に関する見直し
15.債務引受に関する見直し
16.相殺禁止に関する見直し
17.弁済に関する見直し(第三者弁済)
18.契約に関する基本原則の明記
19.契約の成立に関する見直し
20.危険負担に関する見直し
21.消費貸借に関する見直し
22.賃貸借に関する見直し
23.請負に関する見直し
24.寄託に関する見直し

3. 保証に関する見直し

  • 根保証:将来発生する不特定の債務の保証を言います(例:継続的な事業融資の保証等)

保証契約締結時の情報提供義務

現状では、主債務者は自らの財産状況などを保証人に説明する義務を負っていません。そのため、主債務者の財産状況などを十分に把握していないケースが多くなってしまっています。
そこで、主債務者による保証人絵の情報提供義務の規定を新設します。
提供が求められる情報は、

  1. 財産及び収支の状況

  2. 主債務以外の債務の有無や履行状況など

  3. 担保として提供するもの

上記になります。情報提供義務違反の場合の措置としては、保証人は以下の要件を満たすと保証契約を取り消すことができます。

  1. 保証人が主債務者の財産状況について誤認

  2. 主債務者が情報を提供しなかったことを債権者が知り、または知ることができた

主債務の履行状況に関する情報提供義務

保証人が主債務の履行状況を現状では情報提供を求められるような明文規定は存在しないので、保証人は主債務の状況を知ることができない状況です。
そこで、

改正法

新設

債権者は保証人から請求があったときは、主債務の元本、利息、及び違約金等に関する次の情報を提供しなければならない。

  • 不履行の有無

  • 残額

  • 残額のうち弁済期が到来している者の額

  • ただし、この請求をできるのは、委託を受けた保証人である必要がある点は注意が必要です。

4. 債権譲渡に関する見直し

(債権の譲渡性)
民法466条1項:「債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

同条2項:「前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。」

債権譲渡とは、債権者Aの債務者Bに対する債権について、A→Cへの譲渡が行われた結果、新たな債権者Cに債権が移転することを言います。弁済期前の現金化や担保的手段として活用されています。
現状の問題点として、「当事者が反対の意思を表示した場合」、いわゆる譲渡禁止特約付きの場合、資金調達を行う際の大きな障害となってしまっています。
そこで、

〈改正法〉・譲渡制限特約が付されていても、債権譲渡の効力は妨げられない
  • ただし、預貯金債権は除外されます。

債務者は基本的には譲渡人(もともとの債権者)に対する弁済をもって、債権の譲受人に対抗することができます。

この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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