底地の整理方法について|借地権を売却する方法|底地(貸宅地)関連

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底地の整理方法について

そもそも底地とは、「借地権が設定されている土地のこと」を言います。まずは、底地のメリット・デメリット、すなわち、自己の所有する土地に借地権を設定するメリット・デメリットについて見ていきましょう。

底地のメリットとデメリットイメージ

底地のメリット

底地のメリットは大きく分けて二つです。

1. 土地の管理が容易になる

土地を貸す場合、マンションやアパートなどの家を貸すのとは異なり、管理が比較的容易と言えます。マンション・アパート等の家屋の場合、エアコン等の備え付けの備品などの買い替えや、退去時のクリーニングが必要になりますが、底地の場合は特段そのような作業は不要です。

また、借地権が譲渡されたとしても、基本的にはその転借人がいるため、底地権者(地主)自らが管理、メンテナンスをすることはほとんどありません。

2. 金銭を得られる

土地を貸すことで、借地人から毎月の地代の収入を得ることができます。これは当然のこととも言えますが、その他にも借地人が借地権を第三者に譲渡した場合、承諾料や借地権の更新のタイミングでの更新料を得ることができます。

譲渡などは頻繁に起こるものでもありませんし、借地権の契約期間は数十年と長い為、そこまで多くの機会はないかもしれませんが、その際には数十万単位、場合によっては(借地権者との合意内容にもよりますが)数百万円単位での金銭を得られる可能性があります。

底地のデメリット

一方、底地のデメリットは大きく分けて二つあります。

1. 自分で利用することができない

借地人が土地を利用しているので、当然、地主はその土地を利用することはできません。また、借地権設定契約は契約期間が長く、更新が前提となってしまっている為、一度貸してしまうとなかなか返ってきません。息子が結婚するので貸している土地を利用して家を建てる、そんなことも契約期間が残っているとできません。

このように、いざ、自分で使いたいと思っても使うことができない点は、デメリットの一つともいえるでしょう。

2. 売却しにくく、売却価格が安価

底地をいざ売却しようとしても、買い手がなかなかつきにくいのが実情です。それは借地権がついている土地を買い取っても、その土地を利用することができないからです。底地よりも借地権の方が価値が高いケースが多いのは、これが最大の要因と言えます。

また、いざ売却できそうになっても、他に買い取りたいと思う人は少ない、つまり競争が激しくないため、売却価格も必然的に安くなりがちです。特に、底地の買取専門業者に買い取ってもらう場合は、かなり値段を安くされてしまうケースが多くなります。

不動産業者であっても、底地のみの売却は難しいため、不動産業者で思うような結果が得られなかった方が当社へ相談にいらっしゃるケースも多くあります。

底地の整理方法

メリットもあればデメリットもある底地ですが、底地をうまく活用するには、底地を完全な所有権にすること(底地と借地を一人の所有者が所有すること)が大きなポイントになります。完全な所有権として運用していく方が価値が高く、有効活用できるケースが多いためです。実際に底地を整理する場合には、主に下記4つの方法が考えられます。

底地権:土地の貸主(地主)|借地権:建築物所有者、土地の借主(借地人)と建物の図

1. 底地権を借地人に売却

底地権を借地人に売却する整理方法です。借地人は土地を必要として利用していることが多く、底地権を買い取り、完全に自己の土地にしたいという気持ちがある方も多くいらっしゃいます。欲しい人に売却ができれば、価格も高くなる可能性が高まるため、底地の売却を検討するのであれば、第三者に売却を検討するよりも、真っ先に借地人に売却する方法を検討することをお勧めいたします。

ただし、借地人がいくら欲しいと言っていても、資力がないと買い取ってもらうことができません。そうなると借地人への売却をあきらめ、違う形を検討する他ありません。

借地人が底地権を買取するイメージ図

2. 借地権を地主に売却

次の方法は1とは逆で、地主が借地権を買い取る(借地人からすると、地主に借地権を買い取ってもらう)方法です。地主としては、借地人からの借地権売却の申し入れは、土地が返ってくるまたとないチャンスです。地主は資力も十分にあるケースが多いため、借地人側としても買い取ってもらえる可能性は高いといえます。

1点、借地人側に相続が発生すると、借地権が不要になるケースがある為、そのタイミングで売却(地主側からいえば買取)の打診をするのも有効な方法です。

地主が借地権を買取するイメージ図

3. 底地権・借地権の両者を第三者に共同で売却

3つ目の方法は、底地と借地権の両者を共同で売却する方法です。地主と借地人が共同で売却を行います。底地と借地を一緒に売却する=完全な所有権として売却する形になるため、底地のみ、借地のみで売却したよりも、高額で売却できる可能性が高まります。

ただ、こちらの方法を実現させるには、地主と借地人の間でタイミングと条件等の交渉が必要になるため、比較的高度な売却方法と言えます。

底地・借地権の両者を共同で売却するイメージ図

4. 底地権のみを第三者に売却

上記1~3の実現が難しく、それでも底地を売却したい場合、底地権のみを第三者に売却する方法もあります。
この方法は1~3に比べて売却価格は安価になってしまいますが、早急に現金化できる可能性があります。早急に現金を手にしたい!という方はこの方法も視野に入れるとよいと思います。

底地を譲り渡すということは、その土地の地主としての地位も第三者に譲り渡すということになります。つまり、地主としての地位を譲り受けた第三者が新しい地主となり、その地代などを受け取る権利が発生します。
一般の人が底地権のみを買い取るというケースはあまり多くなく、その多くは投資家になります。地代と買取価格を考慮し、プラスになると判断できれば、投資目的で購入するのです。

底地権を投資家に売却するイメージ図

いかがでしたでしょうか。底地を整理する方法はいくつかありますが、いずれにしても専門的な手続きが必要になってきます。整理方法を間違えないためにも専門業者を利用する方がよいでしょう。
当社では、地主借地人の状況に応じて、最適な整理方法を提示させて頂きます。底地、借地でお悩みの方、一度当社にご相談ください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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