地主から借地契約を解除する正確な手順と注意点|借地人とのトラブル
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地主から借地契約を解除する正確な手順と注意点

「地代の支払いが滞っている」「契約期間が終わるから土地を返してほしい」と考えても、地主側からの一方的な意思表示だけで契約を終わらせることは容易ではありません。

借地借家法では借地人の権利が非常に強く保護されているからです。

本記事では、地主様が法的に正当な手順で契約解除を進めるための全知識を詳しく解説します。

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借地契約解除の前提知識【必須】

まず大前提として、借地契約は「原則として簡単に解除できない」ということを理解しておく必要があります。

借地契約には主に以下の法律が適用されます。

  • 借地借家法: 借地人の居住権や営業権を守るための強力な法律。
  • 民法: 一般的な契約解除や債務不履行(義務違反)に関する規定。

地主が契約解除を主張できるのは、「正当な理由(正当事由)」や、借地人側に「重大な契約違反」がある場合に限られます。

地主から借地契約を解除できる主なケース3選

どのような状況であれば、解除が認められるのでしょうか。主な3つのケースを紹介します。

① 地代(賃料)の長期滞納がある場合

最も多い解除理由ですが、数日や1か月程度の滞納では解除できません。

  • 信頼関係の破壊: 一般的に「3か月分以上」の滞納があり、地主との信頼関係が破壊されたとみなされる必要があります。
  • 催告が必要: いきなり解除はできず、まずは期限を決めて支払いを求める「催告」の手順を踏まなければなりません。

② 契約違反(用法違反・無断譲渡・無断転貸など)

土地の使い方や権利の譲渡に関する違反です。

  • 用途違反: 「居住用」と決めていたのに、無断で店舗や工場として使用している場合。
  • 無断譲渡・転貸: 地主の承諾なく、借地権を第三者に売ったり、土地を貸したりした場合。
  • 無断増改築: 契約書で禁止されているにもかかわらず、無断で大規模な建て替えを行った場合。

③ 借地人との信頼関係が完全に破壊された場合

単発の出来事ではなく、以下の事情を総合的に見て「これ以上契約を続けるのは無理だ」と判断されるケースです。

  • 滞納が繰り返される
  • 地主の再三の注意に対し、改善の意思が全くない
  • 過去の経緯や交渉態度が著しく不誠実

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【状況別】解除に向けた正確な手順

借地契約の解除は、理由が正当であっても手順を誤ると無効になる点が最大の注意点です。
ここでは、地主が実務上踏むべき流れを、状況別に詳しく解説します。

① 地代滞納・契約違反がある場合の解除手順

地代滞納や用法違反など、借地人に明確な契約違反がある場合でも、いきなり解除することは原則できません。
段階を踏んだ対応が不可欠です。

ステップ1:契約内容の再確認(解除の前提)

まず、以下の点を必ず確認します。

  • 借地契約書の有無(書面・口頭)
  • 地代額、支払期日、支払方法
  • 解除条項や特約の有無
  • 無断譲渡・転貸に関する定め

契約書の内容によっては、解除に先立って必要な手続きが追加される場合もあります。

ステップ2:催告(是正を求める通知)

次に行うのが催告です。
地代滞納の場合は、次のような内容を記載します。

  • 滞納している金額と期間
  • 支払い期限(例:〇年〇月〇日まで)
  • 期限内に履行されない場合は解除する旨

⚠ 必ず内容証明郵便で送付してください。
口頭や通常郵便では、後日「聞いていない」「届いていない」と争われる可能性があります。

ステップ3:相当期間の経過を待つ

催告後、すぐに解除することはできません。
借地人に履行の機会(相当期間)を与える必要があります。

  • 滞納の場合:1週間~1か月程度が目安
  • 用法違反の場合:是正に必要な期間を考慮

相当期間を与えずに解除した場合、解除が無効と判断されるリスクがあります。

ステップ4:解除通知の送付

期限内に支払いや是正がなされない場合、初めて解除に進みます。

解除通知では、

  • どの契約を解除するのか
  • 解除理由(滞納・違反内容)
  • 解除日

を明確に記載します。
この解除通知も、内容証明郵便で送付するのが原則です。

ステップ5:土地明渡し・建物収去の請求

解除後は、借地人に対して

  • 土地の返還
  • 建物の収去

を求めます。

話し合いで解決しない場合は、建物収去土地明渡請求訴訟を提起することになります。

② 更新拒絶(契約期間満了)による終了手順

借地契約は、期間満了時でも自動的に終了するわけではありません。
更新を拒絶するには、厳格な要件があります。

ステップ1:更新拒絶の意思表示(期間厳守)

地主は、契約期間満了の

  • 1年前から6か月前まで

の間に、更新しない旨を通知する必要があります。

この期間を過ぎると、法定更新が成立し、契約は継続します。

ステップ2:正当事由の整理・具体化

更新拒絶には、正当事由が不可欠です。

  • 地主自身や親族が居住する必要性
  • 事業のために土地を使用する必要性
  • 老朽化による安全上の問題

抽象的な理由ではなく、具体的・客観的な事情が求められます。

ステップ3:立退料の検討・提示

実務上、正当事由を補完するために、立退料の提示はほぼ不可欠です。

立退料の金額は、

  • 借地権価格
  • 営業補償・移転費用
  • 借地人の生活状況

などを考慮して決まります。

ステップ4:交渉・合意書の作成

条件がまとまった場合は、

  • 明渡し期限
  • 立退料の支払時期・方法
  • 建物の扱い

を明記した合意書を作成します。
口約束で済ませるのは避けましょう。

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地主側が注意すべき「正当事由」の壁

更新を拒絶するには、裁判所に認められる「正当な理由」が必要です。

以下の要素が総合的に判断されます。

判断要素内容
土地利用の必要性地主自身がその土地をどうしても使う必要があるか(居住・介護・事業など)。
借地の利用状況借地人がどれくらいその土地を頼りに生活・営業しているか(他に住む場所があるか等)。
立退料の提供正当事由を補うための立ち退き料として、いくら提示しているか。
経過の付随事情これまでの賃料の額、借地人のこれまでの不誠実な対応など。

注意: 「ただ土地を売りたい」「更地にして更なる利益を得たい」という地主都合の理由だけでは、正当事由として認められる可能性は極めて低いです。

地主が特に注意すべき重要ポイント

1. 正当事由が不十分だと解除は無効

裁判では「地主の事情」だけでなく、借地人が土地を失うことで受ける「不利益」も重視されます。安易な通知は、かえって借地人側の警戒心を強め、交渉を難航させるリスクがあります。

2. 「自力救済」は絶対にNG

借地人が立ち退かないからといって、以下のような行為を行うと、地主側が加害者になります。

  • 勝手に敷地に入り、鍵を替える
  • 建物を壊す
  • 電気・水道などのインフラを止める
    これらは不法侵入や器物損壊などに該当し、損害賠償請求や刑事責任を問われるリスクがあるため、必ず法的手続き(強制執行)を経て行いましょう。

3. 立退料が必要になるケースが多い

法律上の正当事由が100%認められるケースは稀です。そのため、不足している正当事由を「お金(立ち退き料)」で補う形での解決が実務上のスタンダードとなっています。

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まとめ|借地契約の解除に関するご相談受付中

借地契約の解除は、地主様にとって非常にハードルが高く、法的な専門知識なしに進めるのは大きなリスクを伴います。

  • 「地代滞納が続いており、法的に正しく対処したい」
  • 「更新時期が近いので、正当事由や立ち退き料の準備をしたい」
  • 「借地人と直接交渉するのが難しく、専門家に入ってほしい」

このようなお悩みをお持ちの方は、借地権の取り扱いにおいて豊富な実績を持つセンチュリー21中央プロパティーにご相談ください。

複雑な権利関係の整理から、借地人様との円満な交渉、立ち退き料の算定まで、地主様の立場に立って最適な解決策をご提案いたします。まずは、現在の状況を詳しくお聞かせください。

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この記事の監修者

塩谷 昌則

弁護士

エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍するスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。

特に借地権における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、借地権更新料問題、地代増減額請求、借地非訟事件、建物収去土地明渡請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。

著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。

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