借地人に支払う立退料の相場は?負担を最小限に抑えるコツ|借地人とのトラブル
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借地人に支払う立退料の相場は?負担を最小限に抑えるコツ

「借地契約を終わらせて土地を返してほしいが、立退料をいくら払えばいいのかわからない」「法外な金額を請求されたらどうしよう」と不安を感じている地主様は少なくありません。

借地契約の解除において、立退料は避けて通れない問題ですが、実は「解除=必ず立退料が必要」というわけではありません。

本記事では、立退料の考え方や相場の決まり方、そして地主様の負担を最小限に抑えるための具体的なテクニックを詳しく解説します。

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立退料とは?借地契約における基本知識

まず正しく理解しておくべきは、立退料の法的な位置づけです。

立退料は法律で決まっているわけではない

借地借家法などの法律を隅々まで読んでも、「立ち退きの際は〇円支払わなければならない」という具体的な規定はどこにもありません。

裁判実務上「正当事由を補完するための金銭」

地主が更新を拒絶したり、解約を申し入れたりするには「正当事由(どうしても土地を返してもらう必要がある理由)」が必要です。しかし、この正当事由が100%完璧に認められるケースは稀です。
そこで、「足りない正当事由をお金で補う」という考え方が生まれました。これが裁判実務における立退料の正体です。

地主が立退料を求められる典型的な場面

  • 借地契約の更新拒絶: 契約満了時に更新を断る場合。
  • 合意解約: 借地人と話し合って、お互いの納得の上で契約を終わらせる場合。
  • 正当事由が弱い場合の補完: 「土地を売りたい」など、地主側の都合が主目的である場合。

※地代滞納などの「借地人側の落ち度」で解除する場合は、原則として立退料は不要です。

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借地人に支払う立退料の相場はいくら?

立退料に一律の相場はありませんが、実務では以下の要素を組み合わせて算定されます。

① 借地権価格を基準とするケース

土地の更地価格に「借地権割合(40%〜90%、都市部では60〜70%が多い)」を乗じた金額をベースにする考え方です。

  • 実態: 裁判や交渉では、この借地権価格そのものを支払うのではなく、その10%〜50%程度で妥結するケースも多く見られます。正当事由が強ければ強いほど、この割合は下がります。

② 引越し費用・移転実費

借地人が別の場所へ移るための実費です。

  • 居住用: 近隣の同条件の賃貸物件に住むための初期費用(礼金・仲介手数料など)+引越し業者代。

③ 営業補償(店舗・法人の場合)

土地で商売をしている場合、移転期間中の休業損失や、場所が変わることによる顧客離れ(権益の喪失)に対する補償が加算されることがあります。

④ 建物買取請求権への対応

借地契約が終わる際、借地人は地主に対し「建物を時価で買い取れ」と請求する権利があります。この建物の買い取り費用も立退料の一部として交渉材料になります。

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借地の立退料相場はどう決まる?

借地人に支払う立退料は、同じ借地契約であっても条件次第で大きく金額が変わります。
その違いを分けるポイントは、主に次の3つです。

① 借地権価格(立地・評価額)

まずベースとなるのが、借地権そのものの価値です。

  • 都市部や駅近など、路線価が高い土地ほど金額は高くなりやすい
  • 借地権割合が60〜70%と高い地域では、立退料の基準額も上がる傾向

土地の立地が良いほど、交渉のスタートラインは高くなると考えておく必要があります。

② 借地人の利用状況(生活・事業への影響)

次に重要なのが、借地人がその土地をどのように利用しているかです。

居住用か事業用か

  • 居住用:引越し費用や生活再建が中心
  • 事業用:営業補償(休業損失・顧客離れなど)が加わり、高額化しやすい

立ち退きによる影響の大きさ

  • 高齢で代替住居がない
  • 長年その場所で生活している

このような場合、社会的・人道的配慮から立退料が上乗せされるケースもあります。

③ 地主側の事情(正当事由の強さ)【重要】

立退料の金額を左右する最も重要な要素が、
「地主側がどれほどその土地を必要としているか」です。

1. 立退料が高額化しやすいケース

地主側の事情が「経済的利益の追求」にとどまる場合、正当事由は非常に弱いと判断されます。

  • 例:「更地にして高く売りたい」「収益性の高いビルに建て替えて利益を上げたい」 これらは地主側の都合に過ぎず、借地人の「住む権利・働く権利」を奪う理由としては不十分とみなされます。

    その結果、認められるためには借地権価格の満額に近いような、極めて高額な立退料を提示しなければならなくなるのが実務上の通例です。

2. 立退料を低く抑えられるケース

一方で、地主側に「生活上の切実な必要性」がある場合は、正当事由が強いとみなされ、立退料を低く抑えられる可能性があります。

  • 例:「地主本人が家を失い、その土地に住むしかない」「家族の介護のためにバリアフリー住宅を建てる必要がある」「建物が老朽化し、地震等で倒壊して周囲に危害を及ぼす恐れがある」 こうした生命や生活基盤に直結する理由は、裁判所でも強く考慮されます。

    正当事由が強ければ強いほど、金銭で補うべき「不足分」が少なくなるため、結果として立退料の抑制につながるのです。

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地主の負担(立退料)を最小限に抑える5つのコツ

交渉の進め方次第で、支払う金額は大きく変わります。

  1. 契約満了のタイミングを逃さない
    期間の途中で解約を申し入れるよりも、更新時期に合わせて「更新拒絶」を行うほうが、法的なハードルが低くなり、交渉コストを抑えられます。
  2. 「借地権の買い取り」として交渉する
    「出ていってくれ」という追い出しの姿勢ではなく、借地人が持つ「借地権」という財産を地主が適正価格で買い取る、という「資産整理」の形で持ちかけるとスムーズです。
  3. 「建物買取請求権」を逆手に取る
    建物が老朽化している場合、買い取った後の解体費用は地主負担になります。この解体費用分を立退料から差し引く、あるいは「解体費用をこちらで持つ代わりに立退料を調整する」といった交渉が有効です。
  4. 代替地の提供や共同売却を検討する
    現金を出すのが難しい場合、地主の持つ別の土地への移転を提案したり、底地と借地権をセットにして第三者に売却し、売却益を分け合ったりする方法(共同売却)もあります。
  5. 借地人の違反行為をチェックする
    無断での増改築、地代のわずかな遅れ、用法違反などがないか精査します。これらが積み重なっていれば「信頼関係の悪化」を主張でき、立退料の減額要因になります。

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立退料を払わずに済むケースはある?

以下の場合は、立退料を支払う必要がない、あるいは極めて少額で済む可能性があります。

  • 重大な契約違反がある場合:
    3ヶ月以上の地代滞納、無断での名義書換や転貸、著しい用法違反など。
  • 借地人側からの任意解約:
    借地人が「老人ホームに入るから土地を返したい」など、自発的に解約を申し出た場合、地主から立退料を払う義務はありません。

立退料交渉で地主がやってはいけないNG行為

焦りから以下の行動を取ると、かえって事態が悪化し、高額な賠償金を請求される恐れがあります。

  • 根拠のない低額提示:
    「引越し代の10万円で出ていけ」といった無理な提示は、借地人を頑なにし、弁護士を立てられる原因になります。
  • 強引な明渡し要求・自力救済:
    勝手に敷地に入る、鍵を替える、ライフラインを止める行為は厳禁です。地主側が刑事罰に問われるリスクがあります。

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まとめ:複雑な立退料交渉は「借地権のプロ」に任せよう

立退料の交渉は、単なるお金の計算ではなく、複雑な法律と感情が絡み合うデリケートな作業です。地主様が個人で交渉を進めると、借地人との関係がこじれ、解決まで何年もかかってしまうことも少なくありません。

弁護士や借地権の専門会社が介在することで、法的な根拠に基づいた適正な交渉が可能になり、結果として地主様が支払う総コストを低く抑えられるケースが多くあります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 立退料の相場はどのように決まるのですか?

一律の式はありません。一般的には「借地権価格」をベースに、地主の必要性(正当事由)、建物の価値、移転費用、借地人の生活状況を総合的に判断して差し引きされます。

Q2. 借地人に地代滞納があっても立退料は必要ですか?

原則不要です。信頼関係が破壊されているとみなされるほどの滞納があれば、無償での解除が認められる可能性が高いです。

Q3. 「自分が住むため」なら立退料は安くなりますか?

安くなる要因にはなりますが、ゼロになることは稀です。借地人の「居住権」も強いため、補完的な立退料が必要になるケースがほとんどです。

Q4. 借地人が納得しない場合、どうすればいいですか?

不動産鑑定評価などの客観的な根拠を示して交渉します。それでも合意できなければ、調停や裁判を通じて適正額を決定することになります。

Q5. 立退料は「いつ」支払うのが一般的ですか?

トラブル防止のため、「建物の明け渡し・更地返還と同時」に支払うのが実務上の通例です。

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この記事の監修者

塩谷 昌則

弁護士

エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍するスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。

特に借地権における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、借地権更新料問題、地代増減額請求、借地非訟事件、建物収去土地明渡請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。

著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。

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