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【弁護士Q&A】借地権の返還と退去日について相談です|弁護士Q&A

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【弁護士Q&A】借地権の返還と退去日について相談です

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借地権の退去について質問です。
祖父の代から借りている土地の上に建てた家に住んでいます。いわゆる借地権です。もし地主に借地権を返還したら、ただちに退去しなければいけないのでしょうか?

借地権を返還すれば、返還したその時点で、借地を利用する権利を失うことになります。借地の利用権がなくなると、借地上の建物も存立する根拠を失いますので、借地上の建物は、借地人の費用と責任で解体収去し、更地に戻してから地主に土地を返還するというのが原則です(民法622条、599条1項)。

実際に借地上の建物の解体収去工事を行なうとなれば、業者の選定や工事の着工から完了までに数か月はかかりますので、地主との協議や転居先の確保などの段取りは、借地権を返還する以前から、時間に余裕をもって行なう必要が生じます。

但し、誤解がないように、2点、ご説明しておきたいことがございます。

1点目は、仮に、今後、借地契約の期間が満了したときに、地主が契約の更新に同意しない場合、ご相談者様としては、地主の同意がない以上、借地人としては借地権を返還する以外に選択肢がない、と考えられておられるかも知れませんが、必ずしもそうではないということです。

すなわち、借地借家法は、借地人の保護のため、地主からの更新拒絶は遅滞なく行なわなければならず(借地借家法5条)、さらに、更新拒絶には正当事由が必要であると定めており(借地借家法6条)、正当事由がない更新拒絶は認められず、借地契約が法定更新されるというルールを設けています。法定更新されると、最初の法定更新の場合、契約期間が20年間の借地契約となります(借地借家法4条)。

地主からは、正当事由の補完のため、借地人に対して立退料の支払いがされることが殆どですが、立退料の支払いだけで正当事由が認められる訳ではなく、そもそも地主側の土地利用の必要性が乏しい場合には、立退料の支払いがあっても正当事由は認められません。

2点目は、仮に、地主の更新拒絶に正当事由が認められ、契約期間満了と同時に借地から立ち退くことになった場合であっても、借地借家法では、借地人に、地主に対して借地上の建物を買い取るよう請求する権利が認められているということです(借地借家法13条)。

この建物買取請求権が認められるときは、建物は地主の持ち物になりますので、借地人の側で建物を解体収去する必要がありません。

なお、上記2点とも、誠実な借地人を保護する趣旨で設けられた制度なので、例えば地代未払いで債務不履行解除になった場合には利用できませんので、ご注意ください。

まとめ

  • 借地権を返還する場合は、借地人の費用と責任で、借地上の建物を事前に解体収去することが原則です。
  • 地主が契約更新を拒絶しても、正当事由がない場合は、借地契約は更新されます。
  • 借地契約が更新されずに終了しても、借地人には、地主に対する建物買取請求権が認められます。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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