【弁護士Q&A】借地権の更新料について教えて下さい。
【弁護士Q&A】借地権の更新料について教えて下さい。
質問 現在借地権付の戸建てに住んでいます。 今回、借地権契約を更新しようと地主に相談したところ、更新料が200万円必要と言われました。 古い契約のため、契約書はありません。 更新料の支払いは、借地人の義務なのでしょうか? また、更新料の相場はいくらなのでしょうか?
まず、借地人が更新料を地主に支払うことについて、これを義務付ける法律上の明文の定めは存在しません。
また、当事者間において更新料の支払いの合意が存在しないケースにおいて、裁判所の判例は、借地人に地主に対する更新料支払義務を負わせるような内容の慣習法あるいは事実たる慣習の存在は認められない、と判断しています(最高裁昭和51年10月1日判決等)。
したがって、借地人と地主との間で更新料の支払義務が生じるためには、両者の間で更新料を支払うことの合意・特約が存在していることが必要です。合意をすること自体は、書面によることは法律上義務付けられていないものの、更新料支払の合意が書面に書かれていない場合は、合意の存在や内容の立証のハードルが高いため、裁判になっても地主側の更新料請求が認められないことが一般的です。
また、たとえ書面の中に更新料に関する記載があっても、金額や計算方法等が不明確であれば、合意の存在は否定されることになります。今回の場合、そもそも契約書が存在しないとのことですので、別途更新料に関する合意書を結んでいないのであれば、更新料支払義務は存在しないかと思われます。次に、更新料の相場に関するご質問ですが、これまで述べてきたとおり、更新料の金額は、あくまで当事者の合意により決めるものなので、法律上、上限・下限は存在しないことになりますが(ただし、不当に高額な設定である場合には、合意自体が無効と判断される可能性はあります)、とはいえ、更新料の金額を決めるにあたって、参考になる目安となるものが何もないと、合意の着地点を作りにくいということは十分ありえます。
そこで、不動産取引の現場では、事実上、更新料の相場というものが想定されています。
地域等の要因の差によって変動はあるところですが、一般的には、『更地価格×借地権割合×5%程度』が更新料の相場と考えられています。この式のうち、『更地価格×借地権割合』のことを通常、借地権価格と呼んでいますので、より端的に言うと、『借地権価格の5%』が、更新料の一般的な相場とみなされているところです。
まとめ
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更新料の支払を義務付ける法律上の定めはなく、書面での合意が必要です。
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更新料の相場は、概ね借地権価格の5%程度と言われています。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。