【弁護士Q&A】定期借地権の契約期間の延長について相談です
【弁護士Q&A】定期借地権の契約期間の延長について相談です
定期借地権の契約を延長する方法について教えてください。
会社の資産に、定期借地権付きの建物があります。
あと5年程で終了し、その後は更地にして返還しないといけないのですが、手放したくないので定期借地権の契約の延長を交渉したいと考えています。
定期借地権の契約を延長するには、覚書を用意すれば良いでしょうか?延長する際の注意点についても教えていただきたいです。
借地借家法の定める定期借地権は、一般定期借地権(借地借家法22条)と、事業用定期借地権(同法23条)があります。このうち事業用定期借地権に関しては、存続期間の定めに応じて異なる規律が存在します。
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ご質問によると、あと5年程で契約期間が終了するとのことですが、一般定期借地権の設定期間は50年以上。事業用定期借地権のうち借地借家法23条1項の借地権の設定期間は30年以上50年未満です。
ご相談者様の会社が契約しているのは、借地借家法23条2項の事業用定期借地権(設定期間10年以上30年未満の事業用定期借地権。以下、2項事業用定期借地権と言います。)かと推察いたします。
2項事業用定期借地権においては、借地借家法上の契約・建物滅失の場合の期間延長・建物買取請求権に関する条項の適用が当然に(当事者間の特約なしに)排除されることになります。したがって、契約期間が満了した場合は、法制度上、契約の更新はあり得ず、借地上の建物を収去して土地を返還しなければならないことになります。
但し、契約の更新はありませんが、借地期間が満了したときに、契約当事者間で合意すれば、再契約を行なうことは可能です。
但し、再契約によって再び事業用定期借地権を設定するためには、再契約の時点で、従前の契約とは別に、新たに法律上の要件を満たす必要があります。
再契約で2項事業用定期借地権を改めて設定するには、単なる書面での合意では足らず、公正証書を作成して契約することが法律上の要件とされています。また、再契約で23条1項の事業用定期借地権を設定する場合も、やはり公正証書によることが要件となっています(借地借家法23条3項)。23条1項の事業用定期借地権を設定する場合は、①更新がない、②建物の建造による期間延長がない、③建物買取請求をしない、という3点セットの特約を当事者間で行うことが要件となります。
なお、もし、再契約に当たり一般定期借地権を設定する場合は、契約は書面で行う必要があり、上記3点セットの特約の合意も必要になりますが、事業用定期借地権のような、公正証書で行うことまでは要求されません。
まとめ
- 定期借地権には、契約の更新は存在しませんが、当事者の合意で再契約を行なうことは可能です。
- 再契約により定期借地権を設定するには、再契約の時点で、新たに法律上の要件を満たす必要があります。
- 事業用定期借地権の場合は、公正証書を作成することが要件になっています。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。