【底地(地主)】地主の正当事由は
どんな場合に認められるか|底地(貸宅地)関連|法律・税金
【底地(地主)】地主の正当事由は
どんな場合に認められるか
目次
地主AさんはBさんに土地を貸していましたが、Aさん自身で使用する必要がでてきました。もうすぐ更新時期が迫っていて借地権者Bとの更新を拒絶したいが認められるの?


要件を満たせば認められます。
詳細解説
借地借家法6条 「…借地権設定者(地主)及び借地権者(借地人)…が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ…できない。」
とあります。整理すると、
1. 「借地権設定者及び借地権者さんが土地の使用を必要とする事情」
その土地を必要とする事情が、地主さんと借地権者さんでどちらが強いのかということです。お互いの土地の必要性を総合的に判断してどちらがより土地を必要としているかと言う観点から判断します。
2. 「借地に関する従前の経過及び土地の利用状況」
更新料等の授受していたのか、地代の支払いに滞りがなかったかといった、借地における諸事情を考慮にいれます。地代の支払いに怠りがある場合などは、賃借人にとっては不利益な事情として斟酌される場合が多いです。
3. 「借地権設定者が土地の明渡しの条件として、又は、土地の明渡しと引換えに借地権者さんに対して財産上の給付をする旨の申出をした場合」
いわゆる地主さんが明渡料を提案したかどうかということです。
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明渡料は正当事由の補完的な要素と考えられており、十分すぎる金額を提示したとしても、借地権者さんの土地利用の必要性が高い場合は、正当事由が認められないことが多いです。
以上をまとめると正当事由の判断は、まず、「当事者双方の土地建物の使用を必要とする事情」を判断し、これがある程度認められる場合に、「借地借家の従前の経緯、土地建物の利用の状況」を考慮した上で、最終的に、「立ち退き料の有無、多寡」を補完事情として、正当事由が認められるのか否かを判断していくことになります。
旧法との比較
旧借地法では、借地法4条1項:「土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他の正当事由」とあります。この条文時代は正当事由を巡って多くの争いが発生していました。
そこで判例(最大判昭37.6.6)は「単に土地所有者側の事情ばかりでなく、借地権者側の事情をも参酌することを要し、たとえば、土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合においても、土地の使用を継続することにつき、借地権者側がもつ必要性をも参酌した上、土地所有者の更新拒絶の主張の正当性を判定しなければならない。」としました。
これは、借地借家法での条文にも引き継がれています。借地借家法6条「…借地権設定者及び借地権者が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況…を考慮して…」に表れています。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。地代滞納、建物明け渡しなど借地権・底地権の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。