【弁護士Q&A】借地権付き建物の登記について相談です|弁護士Q&A
【弁護士Q&A】借地権付き建物の登記について相談です
40年近く借地上の建物に住んでいます。つい先日、旧地主が土地を売った関係で、新しい地主に変わりました。すると、新しい地主から建物の登記をしていないので、土地(底地)を購入するか2ヶ月以内に更地にして土地を明け渡してほしい、同意できない場合は裁判に持ち込むという内容証明が届きました。
旧地主と書面をもっての契約はしていませんでしたが、地代は年払いで毎年欠かさず払っていました。
この場合、借地人は住み続けることはできないのでしょうか?裁判になった場合、借地人は不利な状況なのかどうかも教えていただきたいです。
民法上、不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後に不動産を取得した第三者に対しても対抗できるとされています(民法605条)。
しかし、借地権には地上権と賃借権があり、殆どの借地権は賃借権であるところ、物権であって、登記請求権が認められる地上権とは異なり、賃借権は債権であるため、当事者間で特約がない限り、借地人から地主に対する登記請求権は認められていません(大審院大正10年7月11日判決)。
その結果、実際の借地権の殆どが登記されていません。そのため、民法のルールだけでは、殆どの借地人は借地権を第三者に対抗することが出来なくなってしまい、不安定な立場に置かれてしまいます。
そこで、借地借家法は、借地権の登記が無くても、借地上に登記された建物を所有していることにより、借地権に対抗力を認めています(借地借家法10条1項)。
但し、 この借地借家法に基づく対抗力が認められるための要件としては、借地上の建物の存在に加え、その建物が借地権者の所有であり、かつ、建物について借地権者名義の登記がされていることが必要です。
すると、本件の場合、借地上の建物の存在、及び、その建物が借地権者の所有という条件は満たしているものの、建物に借地権者名義の登記がされていないということであれば、借地借家法上の対抗要件を満たしていないことになりますので、新たな地主に対しては、ご相談者様の借地権を対抗出来ません。
したがって、新たな地主から土地明渡訴訟を起こされた場合には、占有権限がないため敗訴となることが予想されます。
まとめ
- 借地借家法上の対抗要件が認められるには、借地上の建物について借地権者名義の登記が存在していることが必要です
この記事の監修者
社内弁護士
当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。