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【弁護士Q&A】借地人が空き家のまま放置している建物について相談です|弁護士Q&A

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【弁護士Q&A】借地人が空き家のまま放置している建物について相談です

地代を払わず、借地上の建物に住んでいない借地人に権利はあるのでしょうか?
借地人の住居が空き家のまま放置されて4年以上経っており困っています。曽祖父の代から貸している土地なので、ちゃんと契約は結んでいません。
以前、借地人に、「住居を解体して土地を返して欲しい」と言ったのですが、借地人は「借地権を放棄するから地主さんの方で住居を解体して欲しい」と返答してきました。
契約書がなかったとしても、借地権を有しているなら、借地人が更地にして返すべきじゃないでしょうか?

民法のルールでは、賃貸借が終了したときは、借主は、借用物を受け取った後に附属させた物を収去した上で、貸主に借用物を返還する義務を負います(民法622条、599条1項)。これを借地契約に当てはめると、借地契約が終了したときは、借地人側の費用と責任で、借地に附属させた借地上の建物を解体収去して、更地に復した上で、貸主である地主に借地に返還する義務を負う、ということになります。

しかし、この民法のルールが常に適用されるとすると、借地人は、建物を築造するために投下した資本を、売却という形で回収する途を閉ざされてしまうことになってしまいます。また、借地契約が終了するたびに毎回借地上の建物が解体されてしまうという事態は、社会経済的に見ても望ましいことではありません。

そこで、借地借家法では、このような民法の原則ルールから生じる不都合を修正する例外的なルールとして、借地人から地主に対する建物買取請求権を認めています(借地借家法13条1項)。

但し、この建物買取請求権の制度は、そもそもが誠実な借地人を保護する趣旨で設けられたものです。逆に言えば、不履行解除になるような不誠実な借地人までを保護することは、制度趣旨を超えるものとなってしまいます。

そのため、借地契約が期間満了で終了したのではなく、債務不履行が理由で契約が解除されて借地権が消滅したケースの場合には、借地借家法上の建物買取請求権の行使は認められません。

本件も、ご相談の内容によると、借地人側が地代を支払っていないようですので、地代未払いを理由に借地契約が解除された場合には、借地人側で建物の解体収去を行なう義務が生じます。

もっとも、長期的な契約関係を前提とする借地契約の性格から、判例では、借地契約を解除するためには、単に債務不履行が存在するだけでは足りず、当事者間の信頼関係が破壊されていることが必要であるとされています。ですので、例えば相手方の地代未払いが1、2回程度と軽微な場合は、債務不履行解除の有効性が認められない可能性が高いです。

まとめ

  • 借地契約が終了した場合、借地人の費用と責任で解体収去するのが原則です。
  • 借地契約が不履行解除された場合、借地人に建物買取請求権が認められません。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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