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【弁護士Q&A】親族間の借地契約について相談です|弁護士Q&A

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【弁護士Q&A】親族間の借地契約について相談です

親族間で借地契約を結んでおり、土地の名義が親族で、その土地に建てられている家屋が母名義となっているのですが、親族がお金に困っており、土地を売却すると言われました。
建物が母名義でも、土地が他に渡ってしまった場合は出て行くしかないのでしょうか?

民法上、不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後に不動産を取得した第三者に対しても対抗できるとされています(民法605条)。

しかし、借地権には地上権と賃借権があり、殆どの借地権は賃借権であるところ、物権であって、登記請求権が認められる地上権とは異なり、賃借権は債権であるため、当事者間で特約がない限り、借地人から地主に対する登記請求権は認められていません(大審院大正10年7月11日判決)。その結果、実際の借地権の殆どが登記されていません。そのため、民法のルールだけでは、殆どの借地人は借地権を第三者に対抗することが出来なくなってしまい、不安定な立場に置かれてしまいます。

そこで、借地借家法は、借地権の登記が無くても、借地上に登記された建物を所有していることにより、借地権に対抗力を認めています(借地借家法10条1項)。

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この借地借家法に基づく対抗力が認められるための要件は、借地上の建物の存在に加え、その建物が借地権者の所有であり、かつ、借地権者名義の登記がされていることです。

したがって、借地権者がお母様である場合や、借地権者は別の親族だが、その借地権者の親族との間でお母様が適法に転借地契約を結んでいる(お母様が転借地権者である)場合には、土地が第三者に譲渡されても、お母様の(転)借地権を土地の譲受人に対して対抗することが可能です。

他方、これらに該当せず、借地権者と建物所有名義人が異なっている状態にある場合には、借地借家法上の要件を満たさないため、土地の譲受人に借地権の対抗は出来ず、お母様名義の建物は、土地の譲受人との関係では無権原で建っていることになるので、解体収去して土地を明け渡さざるを得なくなります。

まとめ

  • 借地借家法は、借地権の登記が無くても、借地上に登記ある建物を所有している場合は、借地権の対抗力を認めています。
  • 対抗力が認められるためには、借地上の建物が借地権者の所有で、かつ、借地毛者の名義で登記されていることが必要です。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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