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借地権が設定された土地は、相続土地国庫帰属制度を利用できる?

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借地権が設定された土地は、相続土地国庫帰属制度を利用できる?

借地権が設定された土地は、相続土地国庫帰属制度を利用できる?

不要な土地を相続してしまうと管理の手間やコストを負担する必要があり、相続した土地を手放したいと考える人もいるでしょう。相続した土地を手放すときの選択肢として、「相続土地国庫帰属制度」があります。

当記事では、相続土地国庫帰属制度の概要や、借地権が設定されている土地を手放す方法について詳しく解説します。

相続土地国庫帰属制度とは?

相続土地国庫帰属制度とは、相続した不要な土地のうち、一定の要件を満たした土地を国に引き取ってもらえる制度です。

本制度は施行後に相続等によって取得した土地だけではなく、相続等施行前に取得した土地も対象となります。

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度について」

相続土地国庫帰属制度を申請する方法

相続土地国庫帰属制度を利用して国に不要な土地を引き取ってもらうためには、申請手続きを流れに沿って適切に進める必要があります。

相続土地国庫帰属制度の申請から国庫への帰属までの流れについて確認しましょう。

  1. 承認申請を行う
  2. 法務局の審査を受ける
  3. 法務大臣の承認を得る
  4. 負担金を納入し土地を国庫に移転する

相続土地国庫帰属制度にかかる費用

相続土地国庫帰属制度を利用するために必要となる費用は、「審査手数料」と「負担金」の2つです。2023年3月時点において、審査手数料の金額は未定となっていますが、負担金の金額は下記の通りに算出されることが決まっています。

※審査手数料の納付後は、申請を取り下げた場合や、審査の結果却下・不承認となった場合でも、手数料を返還されません。

◆負担金の算定方法

土地の種類負担金の金額
宅地面積にかかわらず20万円
※ただし一部の市街地の宅地では面積に応じて算定
(例:50平方メートル以下の場合…20万8,000円に1平方メートルあたり4,070円を加算)
田畑面積にかかわらず20万円
※ただし一部の市街地や農用地区域の田畑では面積に応じて算定
(例:250平方メートル以下の場合…20万8,000円に1平方メートルあたり1,210円を加算)
森林面積に応じて算定
※ただし一部の市街地の宅地では面積に応じて算定
(例:750平方メートル以下の場合…21万円に1平方メートルあたり59円を加算)
その他面積にかかわらず20万円

負担金額の算定式は、土地の種類や土地面積によって異なります。詳しい内容は、法務省など公的機関の情報を参考にしてください。

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」

相続土地国庫帰属制度を利用できる土地

一定の要件を満たした土地であれば相続土地国庫帰属制度を申請できますが、申請できない土地や別途判断される土地もあるため注意しましょう。

利用申請の要件

  • 相続によって所有権を有することになった土地
  • 更地・土地のみの状態(建物が建っていない土地・残置物がない状態の土地)
  • 抵当(担保)に入っていない土地

申請できない土地

  • 生前贈与で取得した土地
  • 相続登記前の土地(被相続人名義の土地)
  • 自分が購入した土地
  • 空き家などの建物が存在する土地
  • 借地権・賃借権や担保権、使用収益権が設定されている土地
  • 他人が利用する予定のある土地(通路など)
  • 土壌汚染が確認されている土地
  • 境界が不明瞭な土地/所有権の存否や範囲に争いがある土地

申請自体はできるが承認に別途判断が必要となる土地

  • 一定の高さ・勾配の崖がある土地
  • 樹木や工作物、放置自転車などの残置物がある土地
  • 廃棄物や文化財などの埋設物がある土地
  • 隣り合う土地の所有者と争訟しなければならない土地
  • その他、通常の維持管理・処分において多大な費用や労力がかかる土地

上記の内容から、相続土地国庫帰属制度を利用できる土地を簡単にまとめると「借地権などの設定や争いがなく、建物や有形物がない更地」となります。

ただし、承認されるかどうかは国の基準を用いた審査によって決まります。申請の内容に虚偽があった場合や不正を働いた場合、承認が取り消されてしまうため、十分注意しましょう。

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」

借地権が設定された土地は、相続土地国庫帰属制度を使用できない!

相続対象となっている底地を手放す際は、相続放棄か売却をする必要があります。相続放棄をすると他の遺産も放棄しなければならないため、相続放棄は最後の手段として考え、まずは底地売却を検討するようにしましょう。

借地権が設定された土地(底地)を手放す方法は、以下の通りです。

  1. 借地人に売却する
  2. 第三者に売却する

①借地人に売却する

借地権が設定された土地(底地)を使用している借地人に、土地を購入する意思がある場合は、借地人に売却を打診してみましょう。

借地人は地代の支払いがなくなる上に、建物だけでなく土地も完全に所有できるというメリットがあります。土地と建物両方の所有権を持っていることで、金融機関などへの担保価値も上がるため、ローンも組みやすくなるでしょう。

ただし、経済的理由などから借地人に購入の意思がない場合、借地人に底地を買い取ってもらうことはできません。また、底地の売買交渉を借地人と直接行うと、思わぬトラブルに発展する恐れもあります。借地人への売却は、うまくいかないケースが多いことを押さえておきましょう。

②第三者に売却する

底地の処分方法に迷った場合には、第三者への売却を検討してみましょう。

借地権付きの土地は売却が難しいため、底地の売却が得意な専門業者に相談しながら、売却を進めることがおすすめです。底地の売却には、借地人・共有者とのトラブルがつきものですので、不動産トラブルに詳しい弁護士や司法書士と連携している業者を選ぶことをおすすめします。

まとめ

相続土地国庫帰属制度とは、手数料と負担金を国に納付することで相続した土地を手放し、国に帰属させることができる制度です。

しかし、借地権の設定されている土地は相続土地国庫帰属制度を利用できないため、底地を手放したい場合は、借地人以外の第三者への売却も検討しましょう。

センチュリー21中央プロパティーでは、相続した底地の売却をサポートしています。当社は、借地権専門の不動産会社のため、借地人が居住中の土地でも、トラブルなくスムーズに売却手続きを進めるノウハウがあります。

相続した土地のご売却を検討されている方は、ぜひ当社にご相談ください。

この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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