地主必見、借地人に立ち退きを求めるための「正当事由」とは?|借地人とのトラブル
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地主必見、借地人に立ち退きを求めるための「正当事由」とは?

「借地契約を終わらせたいが、借地人が『出ていかない』と言っている」
「正当事由がないと更新拒絶できないと聞いたが、具体的に何が必要なのか?」

地主様にとって、自分の土地でありながら自由に使えない状況は非常にもどかしいものです。

結論から申し上げますと、借地人に退去を求めるには、法律が定める「正当事由(せいとうじゆう)」を積み上げなければなりません。

この記事では、地主様が有利に交渉を進めるための正当事由の仕組みと、立ち退き料の相場、そして解決へのステップを専門的な視点から詳しく解説します。

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なぜ借地人は守られているのか?「借地借家法」の壁

地主様が直面する「自分の土地なのに返してもらえない」という問題の根源は、借地借家法の定めに基づきます。

通常、一般の契約(民法)であれば期間満了によって契約は終了しますが、借地契約においては、借地人が更新を請求した場合、建物がある限り「従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」と規定されています(借地借家法第5条1項)。

これを「法定更新」と呼びます。

地主様がこの法定更新を拒むためには、以下の条文にある高いハードルを越えなければなりません。

借地借家法 第6条(借地契約の更新拒絶の要件)
前条第1項の請求(更新請求)があった場合において、借地権設定者(地主)が遅滞なく異議を述べたときは、借地権設定者及び借地権者(借地人)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が…財産上の給付(立ち退き料)を申し出た場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。

この条文により、単に「契約期間が終わったから」という理由だけでは異議(更新拒絶)が認められないよう法的にロックがかかっているのです。

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「正当事由」を構成する4つの判断要素

裁判所が「立ち退きを求めるのが妥当かどうか」を判断する際、主に以下の4つの要素を総合的にチェックします。

① 地主・借地人双方が土地を必要とする事情(主観的要素)

まず重視されるのが、双方の「土地が必要な事情」です。

地主側の例

  • 自分や家族が住むために土地を使いたい
  • 老朽化した建物を取り壊し、安全性を確保したい
  • 建て替えて事業として有効活用する計画がある

借地人側の例

  • そこに住み続けないと生活が成り立たない
  • 長年営んできた店舗や工場がある

地主の必要性が高く、借地人の必要性が低いほど、正当事由は強くなります。

② 借地に関する従前の経過

次に見られるのが、これまでの契約関係です。

  • 地代をきちんと支払っていたか
  • 無断増改築や契約違反がなかったか
  • 権利金・更新料の授受があったか
  • 地主との信頼関係が維持されていたか

借地人に問題行動が多いほど、地主側に有利に働きます。

③ 土地・建物の利用状況

土地や建物がどのように使われているかも重要です。

  • 建物が著しく老朽化していないか
  • 倒壊の危険がある状態で放置されていないか
  • 反社会的・公序良俗に反する用途に使われていないか

適切に使われていない場合、正当事由は補強されます。

④ 立ち退き料の提供(補完的要素)

①〜③だけで正当事由が十分でない場合、その不足分を補うのが「立ち退き料」です。
立ち退き料は、正当事由を“作り出す”ものではなく、あくまで“補完”する役割である点が重要です。

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「立ち退き料」を払えば必ず退去してもらえるのか?

「いくら払えば出ていってもらえますか?」という質問をよく受けますが、お金だけで解決できるとは限りません。


地主側に土地を使いたい理由(正当事由)が全くない(ゼロである)場合、いくら高額な立ち退き料を積んでも、裁判で立ち退きが認められないケースがあります。


一般的には「借地権価格(更地価格の60〜70%程度)」が目安になると言われますが、これはあくまで一つの指標です。

実際には建物の解体費用、引越し費用などを加味して個別事案ごとに大きく変動します。

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正当事由が認められやすいケース・認められにくいケース

以下は、借地借家法における正当事由が認められる安いケースと認められにくいケースを比較した表です。

項目認められやすい(有利)認められにくい(不利)
地主の事情自己居住が必要、老朽化による崩壊の危険回避単なる「転売したい」「もっと高く貸したい」
借地人の事情他に持ち家がある、土地が放置・遊休化しているそこに住まないと生活不可、長年営む店舗がある
建物の状態倒壊の恐れがある(腐朽・朽廃)リフォーム済みで健全、耐震補強済み

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立ち退き交渉を成功させるための6ステップ

借地人との交渉は、理論(正当事由)だけでなく「進め方」が成否を分けます。

トラブルを最小限に抑え、合意へ導くための具体的なステップを解説します。

① 「なぜ土地が必要か」の背景を誠実に伝える

まずは地主側の事情を明確に説明します。

「契約だから出ていってほしい」という事務的な態度ではなく、「なぜ今、この土地を返してもらう必要があるのか(自己居住、老朽化による危険など)」という背景を丁寧に共有し、理解を求めます。

② 借地人の「移転へのハードル」を丁寧にヒアリングする

一方的に条件を突きつけるのではなく、まずは相手の言い分に耳を傾けます。

「長年住み慣れた場所を離れたくない」「近隣に手頃な住まいがない」といった相手の不安や事情を把握することで、解決の糸口(提案の方向性)が見えてきます。

③ 期限・費用・精算の「三点セット」で具体案を出す

交渉が始まったら、以下の3点をセットで提示し、議論の土台を作ります。

  • 明け渡しの時期: 引っ越し準備に必要な猶予期間(通常6ヶ月〜1年程度)。
  • 立ち退き料の提示: 移転費用の補填としての具体的な金額。
  • 敷金や地代の精算: 未払地代の免除や、預かっている敷金の全額返還などの条件。

④ 「譲れる条件」のカードを事前に用意しておく

最初から100%の条件を押し通そうとすると決裂します。

「立ち退き料を少し上乗せする代わりに、明け渡し時期を早める」「建物解体費用を地主側で全額負担する」など、相手の反応に応じて出せる「譲歩案」をあらかじめシミュレーションしておきます。

⑤ 重要な提案は「書面」で可視化する

口約束は「言った言わない」のトラブルの元です。話し合いの経過や最終的な解決案は、必ず書面(提案書や合意書案)として提示します。

書面にすることで、相手も家族や専門家に相談しやすくなり、検討がスムーズに進みます。

⑥ 「もし合意できなかったら」のBプランを持っておく

万が一、話し合いが平行線に終わった場合の備えも不可欠です。

民事調停の申し立てや、弁護士による法的手段への切り替えなど、交渉が決裂した際の次の一手を決めておくことで、心の余裕を持って対話に臨めます。

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借地契約の更新拒絶や立ち退き交渉は、「自分の土地だから」という理由だけでは前に進みません。

借地借家法のもとでは、正当事由の有無がすべてを左右し、その判断は個別事情を踏まえた総合評価によって行われます。

  • 地主側の土地利用の必要性はどの程度強いのか
  • 借地人の生活・営業への影響はどれほどか
  • 立ち退き料はいくらが妥当なのか
  • 交渉と裁判、どちらを選ぶべきか

これらを誤って判断すると、時間も費用も無駄にし、結果的に土地を取り戻せないまま問題が長期化する恐れがあります。

だからこそ、借地権に関する実務と交渉に精通した専門家のサポートが不可欠です。
借地権に強い不動産会社「センチュリー21中央プロパティー」では、借地借家法を踏まえた正当事由の診断から、立ち退き交渉・解決までを一貫してサポートしています。

  • 「このケースで本当に立ち退きは可能なのか」
  • 「今動くべきか、待つべきか」

少しでも不安や疑問がある地主様は、問題が深刻化する前に、ぜひ一度センチュリー21中央プロパティーへご相談ください。

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この記事の監修者

塩谷 昌則

弁護士

エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍するスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。

特に借地権における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、借地権更新料問題、地代増減額請求、借地非訟事件、建物収去土地明渡請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。

著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。

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