借地権付き建物が競売にかけられた場合、地主はどうする?3つの対応策を紹介
借地権付き建物が競売にかけられた場合、地主はどうする?3つの対応策を紹介

目次
借地権付き建物が競売にかけられてしまった場合、地主としては「見知らぬ第三者に土地を使われることになるのか」「借地契約はどうなってしまうのか」など、多くの不安を感じるでしょう。
結論から言うと、
地主は競落人(建物を競売で落札した人)への土地の賃貸を拒否できる場合もあれば、拒否できない場合もあります。
この記事では、借地権付き建物が競売にかけられた際に地主が取りうる3つの主な対応策について、法律のポイントを交えながら詳しく解説します。

借地権は競売によってどうなるのか?
原則として、借地上の建物が競売にかけられると、建物の所有権とセットで借地権(土地を借りる権利)も競落人に移転します。
しかし、賃借権である借地権を第三者に譲渡するには、地主の「承諾」が不可欠です。(民法第612条)
つまり、競落人が地主の許可なく、当然に土地を借り続けられるわけではないのです。
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地主が取りうる3つの対応策
借地権付き建物が競売にかけられた場合、地主が取りうる対応策は、主に以下の3つです。
- 譲渡承諾をする(承諾料を請求することも可能)
- 譲渡承諾を拒否する(ただし裁判所の許可が出れば移転は覆せない)
- 介入権を行使し、自ら借地権付き建物を買い取る(第三者に貸したくない場合)
地主の対応策①:譲渡承諾をする(承諾料を請求することも可能)
一つ目の選択肢は、競落人への借地権譲渡を承諾し、新たな賃貸借契約を締結する方法です。
この際、地主は譲渡承諾の対価として「名義書換料」や「譲渡承諾料」といった名称で承諾料を請求するのが一般的です。
承諾料の相場は、借地権価格の10%程度とされていますが、当事者間の合意によって決まります。
地主の対応策②:譲渡承諾を拒否する(ただし裁判所の許可が出れば移転は覆せない)
二つ目の選択肢は、競落人への譲渡承諾を拒否することです。
ただし、地主が承諾しない場合、競落人は裁判所に対して「借地権譲渡承諾に代わる許可の裁判」(借地非訟手続)を申し立てることができます。(借地借家法第20条)
裁判所は、借地権の譲渡が地主にとって著しく不利益となる事情がない限り、許可を与える傾向にあります。
その際、裁判所は当事者間の利益の公平を図るため、承諾料の支払いを命じるなど、許可に条件を付けることがほとんどです。
地主の対応策③:介入権を行使し、自ら借地権付き建物を買い取る(第三者に貸したくない場合)
どうしても第三者に土地を貸したくない場合、地主は「介入権(または先買権)」を行使して、自らその建物を買い取ることができます。(借地借家法第19条)
これは、競落人から借地権と建物をまとめて取り戻すための地主の強力な権利です。
介入権を行使する場合、地主は裁判所が定めた期間内に申し立てを行う必要があり、裁判所が鑑定評価に基づき適正な売買価格を決定します。
この権利を行使することで、地主は土地と建物の所有権を一身に集め、土地を完全に自分のものとして利用できるようになります。

地主が不利にならないために押さえてておくべきポイント
競売という事態に直面した際、地主が冷静かつ有利に対応を進めるために押さえておきたいポイントは以下の通りです。
- 競売開始前の対応が鍵を握る
- 裁判所の許可決定を正しく理解する
- 迷わず専門家に相談する
地主が不利にならないためのポイント①:競売開始前の対応が鍵を握る
最も重要なのは、競売に至る前の兆候を察知し、迅速に行動することです。
例えば、
- 借地人による地代の滞納が始まった
- 地主に無断で建物の増改築が行われた
といった契約違反が見られる場合は、放置してはいけません。
まずは内容証明郵便で是正を求め、それでも改善されない場合は、賃貸借契約の解除を検討します。
もし競売開始前に契約を有効に解除できれば、競落人は借地権を承継できなくなり、地主は土地の明け渡しを求めることが可能となります。
地主が不利にならないためのポイント②:裁判所の許可決定を正しく理解する
前述の通り、借地権譲渡の承諾を拒否しても、競落人は裁判所に「承諾に代わる許可」を求めることができます。
裁判所は、競落人に反社会的な背景があるなどの特段の事情がない限り、地主に著しい不利益はないと判断し、許可を出すのが実情です。
この決定を覆すことは極めて困難です。
そのため、単に感情的に拒否し続ける戦略は得策ではありません。
裁判所の許可が出た場合、多くは譲渡承諾料も裁判所が決定しますが、その額が地主の希望通りになるとは限りません。
むしろ交渉のテーブルに着き、競落人の人柄や経済状況を見極めた上でより有利な承諾料や賃貸条件で合意を目指す方が、現実的な解決策となるケースが多いでしょう。
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地主が不利にならないためのポイント③:底地・借地権の専門家に相談する
借地権付き建物の競売は、法律関係が非常に複雑です。
介入権の申し立てには厳格な期間制限がありますし、適正な譲渡承諾料の算定や競落人との交渉には高度な専門知識と経験が求められます。
これらの手続きを地主一人で行うのは、時間的にも精神的にも大きな負担となり、最悪の場合、権利を失ったり経済的な損失を被ったりするリスクがあります。
そのため、可能な限り早い段階から、底地・借地権問題に精通した弁護士や専門の不動産会社に相談することをおすすめします。
専門家は状況に応じた最適な選択肢を示し、法的な手続きの代理や交渉を適切に進めてくれるため、地主の権利と利益を守る上で最も確実な方法と言えます。
センチュリー21中央プロパティーは、底地・借地権を専門とする不動産仲介会社です。
経験豊富な社内弁護士が常駐しているため、いつでも法的な観点からの的確なアドバイスが可能です。
また、地主様・相続人様の立場を理解した熟練のスタッフが多数在籍しており、底地・借地権トラブルの解決や売却を誠心誠意サポートさせていただきます。

まとめ
本記事で解説したように、借地権付き建物の競売では、地主様は譲渡承諾や介入権の行使など、複雑な対応を迫られます。
こうしたトラブルは、日頃の「地代の滞納」や「更新料・承諾料が安い」といったお悩みや、「相続前に整理したい」というご希望の延長線上にある問題です。
当社センチュリー21中央プロパティーは、底地・借地権を専門とする不動産会社です。
底地問題に精通した不動産の専門家が、地主様・相続人様のお立場に立って、面倒な交渉や複雑な手続きを全面的にサポート。
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底地・借地権のトラブルや売却でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。