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非債弁済,期限前の弁済,他人の債務の弁済とは|用語集

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コンテンツ番号:614

非債弁済,期限前の弁済,他人の債務の弁済とは

非債弁済,期限前の弁済,他人の債務の弁済のイメージ

非債弁済

意義:非債弁済(ひさいべんさい)とは、債務が無いのにもかかわらず、弁済として、給付を行う行為のこと。

弁済イメージ

債務の不存在を知ってした弁済

民法705条:「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」

引用元: より

債務が無いにもかかわらず弁済する人なんているの?と思う方もいるかもしれませんが、次のようなケースが考えられます。

AはBCのそれぞれから100万円ずつの債務(借金)を負っています。弁済期到来後BCそれぞれに100万円の返済をしようとATM端末を操作して、振込みによってBに返済しました。

続けてCにも振込みの操作をして返済を行おうとしたところ、BCを勘違いしており2回ともBに振り込んでしまい、結果的にBに二重に振込みをしてしまったというケースです。2回目のBへの振り込みは「非債弁済」となり、弁済者は不当利得返還請求権を取得し、それに基づく不当利得返還請求を行う事ができます。

ただし、民法705条にあるように債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができません。

期限前の弁済

意義:期限が到来する「前」に、債務の本旨に従った弁済をすること

(期限前の弁済)
民法706条:「債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」

引用元: より

例えば、100万円を12月末が返済期限として借り入れていましたが、1ヶ月早い11月末に債務者が債権者に返済をしたというような場合です。「早い弁済だったから返して下さい」ということはできません。本来、履行すべき債務を早く履行することは社会通念上良いことです。

しかし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。とあります。本来の弁済までに得られたであろう利益(利息や果実収益権等)を返還する必要があります。

他人の債務の弁済

意義:債務者でない者(他人)が本来の債務者の債務を弁済すること

(第三者の弁済)

民法474条:「債務の弁済は、第三者もすることができる。」

(他人の債務の弁済)

民法707条1項:「債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債権者が善意で証書を滅失させ若しくは損傷し、担保を放棄し、又は時効によってその債権を失ったときは、その弁済をした者は、返還の請求をすることができない。」

同条2項:「前項の規定は、弁済をした者から債務者に対する求償権の行使を妨げない。」

まず、前提として、民法474条にあるように債務者でない者が、他人の債務であることを知って弁済することは、それは第三者の弁済として有効なものとなります。しかし、他人の債務を自己の債務と誤信して弁済してしまった場合は、有効な第三者の弁済とは言えないので、債務は消滅しないことになります。

よって、債権者は不当に利得したことになってしまい、弁済者から債権者に対して不当利得の返還請求をすることが可能になるはずです。しかし、債権者が有効な第三者の弁済によって債権が消滅したと誤信すれば、債権者に著しい損害や不利益を被らせる可能性があります。
そこで、債権者が下記の場合には弁済者は弁済者に対して返還請求ができないこととしました。

  1. 善意で証書を滅失させ若しくは損傷

  2. 担保を放棄

  3. 時効によってその債権を失ったとき

そして、民法706条1項により弁済者からの返還請求が否定されると、債権は消滅します。
本来の債務者は債務を免れることになってしまうので、弁済者から債務者に対して求償権の行使を認めたのが同条第2項の規定になります。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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