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【弁護士監修】借地権にまつわる地主とのトラブルと解決策を解説

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【弁護士監修】借地権にまつわる地主とのトラブルと解決策を解説

【弁護士監修】借地権にまつわる地主とのトラブルと解決策を解説

地主との借地権トラブルは、更新料が高すぎる、増改築を理由に契約解除された、更地にして返してほしいと言われたなど、借地権を巡る問題は多岐にわたります。

この記事では、弁護士が監修のもと、よくある地主とのトラブル事例と、借地人が知っておくべき法的な解決策をわかりやすく解説します。

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借地権でよくある地主とのトラブル

借地権でよくある地主とのトラブルには、以下のようなものがあります。

  1. 地代の増額を請求された
  2. 立ち退きを要求された
  3. 建て替えを許可してもらえない
  4. 高額な更新料を請求された
  5. 売却を承諾してもらえない

トラブル①地代の増額を請求された

借地権に関わるトラブルの中でも、地主からの地代増額請求は非常に多く、借地人の方々からご相談をいただく機会が多い案件の一つです。生活費に直結する地代の値上げは、借地人の方々にとって大きな負担であり、避けたいと考えるのが当然でしょう。

一方で、地主側にも「長い間地代を上げていない」「周囲の相場と比べて安い」といった事情があり、増額を求める気持ちも理解できます。

しかし、この地代増額請求は、単なる地主の一方的な希望で認められるものではありません。借地借家法という法律が、その増額請求が認められるケースを明確に定めています。

地代増額請求が認められるケースとは?

借地借家法において、地主が地代の増額を請求できるのは、以下のような正当な事由がある場合に限られます(地代等増減請求権)。

  1. 土地の税金(固定資産税や都市計画税など)が増額した
    公租公課の増額は、地主の負担が増えたことを意味するため、地代増額の理由として認められやすいです。
  2. 地価の上昇や、物価が上がるなど経済状況が変わった
    周辺地域の地価が上がったり、社会経済情勢が変化したりして、従来の地代が不相当になったと認められる場合です。
  3. 近隣の類似条件の土地に比べ地代が安い
    周辺の同じような条件の借地の地代と比較して、現在の地代が著しく低い場合です。

これらの条件に該当しない場合、借地人は地代の増額請求を拒否することができます。 焦って地主の言いなりになる必要はありません。

交渉から調停・裁判へ発展する可能性も

地主から地代増額を求められたら、まずはその根拠を確認しましょう。正当な事由が認められる場合でも、地主が提示する増額幅が適切かどうかを検討する必要があります。場合によっては、半年や1年といった期間ごとの段階的な値上げなど、具体的な交渉を行う余地もあります。

地代増額請求は、借地人の生活に直結する重要な問題です。借地借家法は借地人を保護する側面が強いため、不当な請求に対しては毅然とした対応が可能です。不安な点があれば、一人で抱え込まず、早い段階で弁護士にご相談ください。

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トラブル②立ち退きを要求された

地主から立ち退きを要求されるタイミングは様々です。

  1. 相続による承継時
    地主が亡くなり、その相続人が新たな地主となった際に、故人との信頼関係を理由に立ち退きを求められるケースがあります。
  2. 地主の変更(土地の売却)
    地主が土地を第三者に売却し、新しい地主になった途端に立ち退きを要求されることもあります。
  3. 契約更新時
    借地契約の期間満了に伴う契約更新のタイミングで、地主から更新拒絶の通知とともに立ち退きを求められるケースも多く見られます。

しかし、これらの状況において、借地人が地主の一方的な要求に安易に応じる必要はありません。借地借家法は、地主が立ち退きを求めるには、厳格な「正当な事由」が必要であると定めているからです。

「正当な事由」とは?

地主が借地人に立ち退きを求めるための「正当な事由」とは、以下のような事情を総合的に考慮して判断されます。

  • 地主が土地を必要とする事情の度合い
  • 借地人が土地の使用を継続する必要性の度合い
  • 借地関係のこれまでの経緯
  • 立ち退き料の提供の有無・程度

例えば、「周辺の土地が再開発により、多くの住人が立ち退きている」「地主がその場所に家を建てて使用する必要がある」といった地主側の主張も、正当な事由として考慮されることはありますが、借地人側の事情と比較衡量されます。また、借地人が長期にわたり建物を使用していないといったケースは、借地人側の使用継続の必要性が低いと判断される要因となり得ます。

立ち退き料の金額交渉はできる?

立ち退き料には、明確な相場はないため、金額交渉の余地はあります。
正当な事由が認められ、立ち退きが必要となる場合でも、地主から立ち退き料が支払われるのが一般的です。この立ち退き料は、借地人が新たな住まいを確保し、引っ越しなどの費用を賄うための補償金です。

しかし、立ち退き料を得ても、長年住み慣れた家を離れたくない、他の場所での生活に不安があるなど、様々な事情から立ち退きをしたくない借地人の方も多くいらっしゃいます。そのため、立ち退き料の金額や、そもそも立ち退きに応じるか否かを巡って、トラブルになりやすいケースだといえます。

トラブル③建て替えや増改築を許可してもらえない

借地契約書には、「建て替えや増改築には地主の承諾を得る必要がある」という特約が定められています。建物は借地人が自らの費用で建設した財産ではありますが、借地という性質上、地主の承諾なく自由に建て替えや増改築を実施することはできません。

そもそも地主が、建て替えや増改築を許可してくれない理由は、建て替えや増改築を行うと、建物の寿命が延び、結果として借地契約の期間も事実上長引くことになるからです。地主としては、将来的に土地を自分のものとして活用したい、あるいは第三者に売却したいと考えている場合、建物の耐用年数が延びてしまうと、借地権が半永久的に借地人のもとに残り、土地がなかなか戻ってこないという事態を避けたいと考えます。

また、他にも過去に地代滞納があった、契約違反をしたなど、借地人との間にトラブルがあった場合、地主は借地人への信頼を失っており、新たな承諾にも応じてくれなくなるケースもあります。

地主が承諾しない場合の対応策

地主が建て替えや増改築の承諾をしてくれない場合でも、借地人が何もできないわけではありません。

地主が建て替え承諾に応じてくれない主な理由の一つに、承諾料の問題があります。建て替え承諾料(増改築承諾料)の相場は、一般的に更地価格の5%程度と言われています。

例えば、更地価格が3,000万円の土地であれば、150万円程度が目安となるでしょう。この承諾料を支払うことで地主の承諾を得られるケースもあります。

トラブル④高額な更新料を請求された

まず、結論から申し上げますと、更新料は賃貸借契約書に支払いに関する明確な定めが記載されていなければ、原則として支払う義務はありません。 これは、更新料が法律で一律に定められた費用ではないためです。

更新料の相場は、一般的に更地価格の3%程度とされています。例えば、更地価格が3,000万円の土地であれば、90万円にもなる計算です。このように更新料は高額になることが多いため、借地人と地主の間でトラブルになりやすいのです。

実際には、地主との良好な関係を維持するために、更新料を支払う借地人も多くいらっしゃいます。しかし、その金額が負担に感じる場合は、諦める前に以下の点を検討しましょう。

不当な請求への対応

請求された金額が不当だと感じる場合や、支払いが困難な場合は、地主に対して減額交渉を試みるべきです。その際、更新料の法的性質や相場を根拠に、冷静に話し合いを進めることが重要です。地主との関係を維持しつつ、負担を軽減できるよう、段階的な支払いや他の条件での調整を提案することも考えられます。

地主との交渉がまとまらない場合や、トラブルに発展しそうな場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。安易に高額な請求に応じることなく、ご自身の権利を守るためにも、適切な知識と対応が必要です。

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トラブル⑤建物の売却を承諾してもらえない

借地権の譲渡(売却)には原則、地主の承諾が必要です(借地借家法19条1項)。この承諾が得られない限り、買主への所有権移転登記ができず、事実上、借地権付き建物の売却は困難になります。

地主が承諾を拒否する理由としては、「見ず知らずの人には貸せない」「将来的に土地を自分で使いたい」「(無断増改築など)過去の借地人の行為に不満がある」といったものが挙げられます。

地主が承諾してくれない場合の対応策

地主が借地権の譲渡承諾を拒否する場合でも、借地人が売却を諦める必要はありません。以下の方法で、売却手続きを進めることができます。

①承諾料を支払って交渉する

地主が借地権の譲渡を承諾しない理由が、金銭的なものである場合、承諾料を支払うことで解決できる可能性があります。借地権の譲渡承諾料の相場は、一般的に借地権価格の10%程度と言われています。明確な法律上の定めはありませんが、この承諾料を支払うことで、地主が承諾に応じてくれるケースは少なくありません。

ただし、承諾料の金額はあくまで交渉次第であり、地主が不当に高額な承諾料を要求してくるケースもあります。

②裁判所への「借地権譲渡の許可申立て」(借地非訟手続き)

地主が正当な理由なく承諾を拒否する場合や、高額な承諾料を要求して交渉がまとまらない場合、借地人は裁判所に「借地権譲渡の許可申立て」を行うことができます(借地借家法19条)。これは、借地非訟手続きとも呼ばれ、裁判所が地主の承諾に代わる許可を出す手続きです。

裁判所は、以下の事情を総合的に考慮して、許可の要否を判断します。

  • 借地権を譲渡する必要性(転勤、経済状況など借地人の事情)
  • 地主が承諾しない理由の正当性
  • 新しく借地人となる買主の資産状況や信頼性(地代をきちんと払えるかなど)
  • 地主の土地利用に与える影響

裁判所が譲渡を許可する決定を出せば、地主の承諾がなくても借地権を第三者に売却することが可能になります。

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借地権トラブルの解決方法

借地人と地主の間では、更新料、建て替え、立ち退き、譲渡承諾など、借地権に絡む様々なトラブルが発生しがちです。これらの問題に直面した際、借地人はどのように解決を目指せば良いのでしょうか。ここでは、具体的な解決方法をご紹介します。

1. まずは「専門家」へ相談する

借地権トラブルに直面した際、最初に考えるべきは専門家への相談です。ご自身で交渉を重ねて解決できれば理想的ですが、ある程度の交渉をしても進展が見られない場合や、地主が不動産に関する知識が豊富で交渉が不利になりそうだと感じた場合は、迷わず専門家を頼りましょう。

多くの地主は、不動産を多数所有しており、借地権に関する知識も深い傾向にあります。一方で、借地人の方は不動産知識に乏しい場合が多く、不利な交渉を強いられかねません。不動産の問題は、単に法律の知識があるだけでなく、過去の類似ケースの解決事例を知っているかどうかも解決の大きなポイントとなります。そのため、借地権トラブルに強い弁護士に相談し、ご自身の状況に合わせた最適な解決への道筋を探ることが重要です。

2. 「借地権」そのものを手放す

地主との関係が悪化してしまった場合、無理に借地権を維持し続けることで、今後も別のトラブルが生じる可能性も考えられます。そういった状況では、借地権を売却することで地主との関係を根本的に解消してしまうのも有効な解決策の一つです。

借地権を手放す方法は、大きく分けて以下の二つです。

地主に買い取ってもらう(建物買取請求権の行使含む)

地主が土地を取り戻したいと考えている場合、借地人の借地権を買い取ってくれる可能性があります。

特に、旧法借地権や普通借地権の場合、借地契約が終了する際に借地人が建物買取請求権を行使すれば、地主は建物を時価で買い取る義務が生じます。 地主との交渉は慎重に行うべきですが、借地権の専門家である弁護士や、借地権売却に強い不動産会社に相談することで、より有利な条件での売却交渉が期待できます。

第三者へ売却する

地主との交渉が難しい場合や、より高額での売却を目指したい場合は、借地権を第三者に売却することも可能です。

この場合、原則として地主の譲渡承諾が必要となりますが、借地権に精通した不動産会社が、地主への交渉をサポートしてくれるでしょう。借地権に強い弁護士がいる不動産会社であれば、法的な観点からも心強いサポートが期待できます。

3. 「借地非訟」の手続きを行う

借地非訟は、借地人が借地権の売却や建物の建て替え、増改築などを望んでいるにもかかわらず、地主が承諾してくれない場合に利用できる法的手続きです。

土地の使用は賃貸借契約書に細かく規定されており、多くのケースで建物の建て替えや増改築には地主の承諾が必要です。しかし、地主が正当な理由なくこれらの承諾を拒否する場合、借地人は裁判所に借地非訟の申立てを行うことができます。

裁判所では、借地人と地主双方から事情を聴取し、客観的な判断のもと、承諾を許可するか否かを示します。裁判所が承諾を許可する決定を出せば、借地人は地主の代わりに裁判所の承諾を得たものとして、借地権の売却や建て替えなどを実施できるようになります。

借地非訟は、借地人の権利を守るための非常に重要な制度です。地主・借地人・裁判所という三者の関係図の中で、裁判所が中立的な立場から公正な判断を下すことで、トラブルの解決が図られます。

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借地権トラブルは弁護士に相談すべき?

借地権を巡るトラブルは、地主との関係性や不動産という複雑な資産が絡むため、借地人の方がご自身で解決しようとすると、非常に大きな負担がかかり、かえって不利な状況に陥るリスクがあります。

借地権トラブルに直面した際に、弁護士に相談すべき理由は、以下の通りです。

  1. 複雑な法律と専門知識が必要だから
  2. 地主との交渉を有利に進めるため
  3. 法的手続きにスムーズに対応するため
  4. あなたの状況に最適な解決策を見つけられるため

1. 複雑な法律と専門知識が必要だから

借地権は、借地借家法や民法といった複数の法律が複雑に絡み合って形成される権利です。更新料の支払い義務の有無、正当事由の判断基準、建物買取請求権の行使条件、増改築の可否、譲渡承諾の可否など、個々のトラブルには専門的な法的知識が不可欠です。

借地契約書がない場合や、古い契約で法律の適用関係が曖昧な場合も多く、借地人ご自身で正確な法的判断を下すことは困難です。弁護士はこれらの複雑な法律を熟知しており、ご自身の借地権がどのような状況にあるのかを正確に把握し、法的に有効な解決策を提示できます。

2. 地主との交渉を有利に進めるため

多くの地主は、複数の不動産を所有しており、借地権に関する知識や交渉経験が豊富です。借地人が独力で交渉に臨むと、地主のペースに巻き込まれたり、不利な条件を飲まされたりする可能性があります。

弁護士は、借地人の代理人として地主との交渉を行います。法的な根拠に基づいた主張を展開し、借地人の権利を最大限に守りながら、粘り強く交渉を進めることができます。感情的になりがちな交渉を客観的な視点で行い、冷静かつ合理的な解決を目指せる点は、弁護士に依頼する大きなメリットです。

3. 法的手続きにスムーズに対応するため

交渉で解決しない場合、借地非訟(借地権譲渡の許可申立て、増改築許可申立てなど)や調停、訴訟といった法的手続きに進むことになります。これらの手続きは、申立書の作成から裁判所でのやり取り、証拠の提出など、専門的な知識と経験がなければ対応が非常に難しいものです。

弁護士は、これらの法的手続きのプロフェッショナルです。借地人に代わって煩雑な手続きをすべて行い、複雑な書類作成や裁判所での弁論などを適切に処理することで、借地人の負担を軽減し、手続きをスムーズに進めることができます。

4. あなたの状況に最適な解決策を見つけられるため

借地権トラブルの解決策は一つではありません。更地にして返還する、建物買取請求権を行使する、地主や第三者に借地権を売却する、あるいは借地権を維持したまま建て替えを行うなど、様々な選択肢があります。

弁護士は、借地人の希望や状況(解体費用が払えない、立ち退きたくない、早く売却したいなど)を丁寧にヒアリングし、それぞれの解決策のメリット・デメリット、実現可能性を具体的に提示します。そして、借地人にとって最も有利で、かつ現実的な解決策を一緒に検討し、実現に向けて尽力します。

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この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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