相続した国有地(国が所有する底地)の借地権を売却する方法と注意点を解説
目次
国有地上の借地権は、私有地上の借地権と比べて手続きが複雑なうえ、地主が国であるため個人の場合と異なり国の承諾が必要となり、売却が難しいとされています。
この記事では、相続した国有地上の借地権を売却する方法や注意点、売却を成功させるポイントについて、借地権の専門家が分かりやすく解説します。
国有地の借地権とは
国有地上の借地権とは、国が所有する土地(底地)に、個人や法人が建物を所有する目的で設定された権利です。
国有地とは、国が所有する土地のことです。
元々国が所有していた土地のほか、相続税の物納(土地で納税)や、地主が死亡して相続人がいない場合などに民有地から国に所有権が移った土地も含まれます。
国にとって利用用途のない国有地は、維持管理の負担となるため、国や自治体が利用しない場合、民間企業や個人に事業用地として「払下げ」または「貸付」がおこなわれることがあります。
国有地を借りて事業や居住を行うことで発生する「国有地の借地権」は、相続の対象となります。
国有地の借地権は、更新料や名義変更料が不要といった点で民有地の場合より有利ですが、不要となった場合でも賃料や管理コストがかかる点は注意が必要です。
これらの国有地は、財務省(旧大蔵省)が管理しており、貸し付けに関する手続きや相談は、各地域の財務局や財務事務所で対応しています。
国は財政状況改善のため、国有地の有効活用を積極的に進めています。
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相続した借地権を「売却したい場合」

相続した借地権を売却したい場合、以下の3つの売却方法を検討しましょう。
| 売却方法 | 難易度 |
| ① 借地権のみを第三者に売却 | 難易度:低~中。 借地権専門の仲介業者を利用すれば、最もスムーズに解決できる。 |
| ② 底地を国から購入後、セットで売却 | 難易度:高。 底地の買取価格が高額になる場合があり、資金工面が難しい。 |
| ③ 国と協力して「同時売却」を行う | 難易度:中~高。 同時売却の手続きが複雑で時間が掛かる。 |
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国有地の借地権を売却する方法①:借地権のみを第三者に売却する
国有地上にある「借地権」または「借地権付き建物」のみを第三者に売却する方法です。
この場合、土地の所有権は国に残ったまま、買主は借地権(借地権付き建物)のみを取得します。
ただし、国有地上の借地権を第三者に売却(譲渡)する場合、地主である国(財務省や地方財務局など)または地方公共団体の許可(承諾)を得る手続きが必須です。
これは、国有地を適切に管理し、第三者への譲渡が公共の利益に反しないかを確認するためで、民有地における地主の承諾と同様のものです。許可を得るには、所定の申請書と必要書類を提出し、審査を受ける必要があります。
無断譲渡は契約違反となり、借地契約解除のリスクもあるため、必ず手続きを行いましょう。
これらの手続きや費用については、事前に詳細を確認し、売買契約に盛り込むことが重要になります。
売却をスムーズに進めるためには、借地権に詳しい専門家とも連携しながら、慎重に手続きを進めていくことが求められます。
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国有地の借地権を売却する方法②:底地を国から購入後、セットで売却
国有地上の借地権を売却するもう一つの方法として、国から底地を買い取り、借地権と合わせて完全な所有権として第三者に売却する方法があります。
国から「底地の購入をご検討ください」という旨の通知書(払下げの案内)が届くことがあり、これは国が国有地売却を促進しているためです。
借地人が底地を購入すると土地の完全な所有権を取得でき、不動産価値が大幅に向上します。
また、価格も高くなることが期待でき、建て替えや増改築、第三者への譲渡など、土地利用の自由度も上がります。
ただし、底地購入には資金が必要で、測量や境界確定等の手続きが必要な場合もあるため、専門家への相談も検討しましょう。
なお、国有地の売払いは原則として競売ですが、一定の条件を満たせば直接売払(払下げ)を受けられる可能性もあります。
国有地の借地権を売却する方法③:国と協力して「同時売却」を行う
国有地上の借地権を売却する方法として、国(地主)が所有する底地と借地権を同時に売却する「同時売却」という選択肢もあります。
これは、借地人と国が協力し、同一の買主に対して一体の不動産として売却する方法です。借地権と底地を個別に売却するよりも不動産としての価値が高まり、高値での売却が期待できます。
ただし、同時売却には、国との綿密な交渉が不可欠であり、かなり複雑かつ時間のかかる手続きになります。
同時売却の流れは、以下の通りです。
- 国(財務局)との事前協議
- 国による買主の公募
- 購入希望者の審査
- 買主の紹介と個別交渉の開始
- 借地権の売却交渉
- 底地の売却交渉
- 借地権譲渡の承認申請
- 最終契約の締結
同時売却の注意点
国は、借地人と買主の間で行われる借地権(建物)の売却交渉について、一切関与せずサポートもしてくれません。借地人は自力で交渉を成立させる必要があります。
また、借地人は、国と買主の間で行われる底地の価格決定や売却の可否について介入する権利がありません。価格設定は国が単独で判断します。
加えて、最終的な売買価格を借地人国でどのように分配するかについても、借地人から国に対して具体的な要望を出すことはできません。
このことから、同時売却よりも借地権付き建物をそのままの状態で、第三者へ売却する方が手続き的に簡単と言えます。
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国に借地権付き建物を買い取ってもらうことは難しい

国有地上の借地権は、原則として国に承諾を得て第三者に譲渡することは可能ですが、民有地のように「地主に借地権付き建物を買取してもらう」という選択肢はありません。
それは、国有地は国民全体の財産であり、特定の個人に利益を与えるような処分は避けるべき、という考えに基づいているためです。
したがって、国有地上の借地権を売却する場合は、先にご紹介した「借地権のみを第三者に売却する」「国が所有する底地を購入したうえで、底地+借地権を一緒に売却する」「国と交渉して、底地+借地権を同時売却」のいずれかの方法を選択する必要があります。
例外的に、国が土地利用計画の変更などで借地権の買い取りに応じるケースも0ではありませんが、基本的には難しいでしょう。
相続した場合も借地権はそのまま相続人に承継されるため、売却には国との交渉が必要になります。
国有地上の借地権の売却や相続に関するお悩みは、不動産の専門家へ相談することをおすすめします。
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相続した借地権を「保有し続ける場合」
国有地の借地権を相続して引き続き所有し続ける場合、必要な手続きは主に以下の通りです。
1. 相続登記(法務局)
まず、通常の不動産と同じく、相続人へ借地権(建物)の名義を変更するための相続登記を法務局で行います。
2. 国への名義変更申請(財務局など)
最も重要な手続きは、地主である国に対して、借地権の名義人が変わったことを届け出て、承認を得る手続きです。
- 申請先: 財務省理財局、または各地方の財務局が窓口となることが一般的です。
- 必要書類: 遺言書や遺産分割協議書、戸籍謄本など、相続を証明する公的な書類が必要となります。
- 承諾料: 第三者への売却(譲渡)時とは異なり、相続による名義変更については、原則として国への承諾料(名義書換料)は不要です。
3. 借地契約内容の確認
相続後は、既存の借地契約書の内容を改めて確認し、以下の義務を把握しておく必要があります。
- 地代の支払い: 新しい名義人として、定められた期日までに国へ地代を支払う義務を継承します。
- 利用目的: 借地の利用目的(住宅用、事業用など)や、建物の構造に関する制限を把握しておきます。
- 承諾事項: 将来的に建物の建て替えや増改築を行う際には、事前に必ず国(地主)の許可を得る必要があるため、その手続きについても確認しておきましょう。
【無料相談】国有地の借地権売却ならお任せください
国有地上の借地権の売却にあたっては、民有地の借地権の場合とは異なる点が多くあります。
地主である国との交渉や、売買契約書の作成、税金関係など、様々な面で専門家のサポートが必須です。
「国有地上の借地権を売りたいけれど、どうすればいいかわからない」「借地権をトラブルなく高く売りたい」「地主と揉めていても、現状のまま借地権を売却したい」そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひセンチュリー21中央プロパティーにご相談ください。
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この記事の監修者
社内弁護士
当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。