借地権の売却相場は「誰に売るか」で変わるって本当?|借地権の売却・買取
借地権の売却相場は「誰に売るか」で変わるって本当?
「借地権の売却相場はいくら?」
「どうしたら借地権を高く売却できるの?」
借地権の売却を検討する中で、このような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、借地権の売却相場と高く売るためのポイントについて詳しく解説します。
借地権の売却先によって相場は変わる!
借地権は、誰に売却するかで売買価格が大きく変わります。
ここでは、3つのパターンに分けて解説します。
地主に買い取ってもらう場合
借地権の売却先として、最もイメージしやすいのが、地主です。
売却を考えた際、借地権付き建物を、土地の所有者である地主に買い取って貰いたい、と考えるのが一般的です。
借地権を地主に買い取って貰う場合の相場としては、以下の条件によって異なります。
- 借地人から地主に買取を依頼するケース
- 地主から借地人に買取を依頼するケース
借地人から地主に借地権の買取を依頼する場合、売却相場は更地価格の50%程度になります。ここでは、高く売りたい借地人と安く買いたい地主は、利益相反の関係にあります。
あくまで、相場ですので交渉次第にはなりますが、借地人としても買取をお願いしている立場から、金額面では一定譲歩することが必要な部分になります。
一方、地主から借地人に買取を依頼するケースの売却相場は、更地価格の60~70%程度になります。
地主に買い取って貰うメリット
借地権を地主に売却するメリットは、譲渡承諾料の支払いが不要な点です。通常、第三者へ借地権を売却する場合は、地主に譲渡承諾料を支払う必要があります。地主に買取を依頼する場合は、この譲渡承諾料が不要になります。
地主に買い取って貰うデメリット
先述した通り、高く売りたい借地人と安く買いたい地主という関係性上、金額面の交渉は難航する可能性があります。特に、借地人から地主に買取をお願いする場合は、交渉力が必要になります。
場合によっては、次で紹介する第三者への売却を検討した方が、金銭的なメリットが大きい可能性があります。
第三者に借地権を売却する場合
借地権は、地主以外の第三者に売却することができます。ここで言う第三者とは、買取業者や不動産投資家を指します。
ただし、建物の所有を目的として借りた土地(賃借権)の場合、地主の承諾をもらわなければいけません。
もし、承諾が得られた場合、第三者に借地権を売却する場合の売却相場は、更地価格の60~70%程度になります。
地主に買い取って貰うよりも、高い相場で売却できる可能性があります。
ただし、借地権の売却は、地主との慎重な権利調整が必要ですので、第三者への売却を検討する際は、借地権専門の業者に相談するようにしましょう。
第三者に売却するメリット
借地権を第三者に売却するメリットは、やはり売却相場が高いことです。借地権の専門業者であれば、借地権の不動産価値を適正に評価し、建物を解体せず、そのままの状態で買い手を探してもらうことができます。
第三者に売却するデメリット
第三者に借地権を売却する場合、借地人から地主に譲渡承諾料を支払う必要があります。譲渡承諾料は、売買価格の10%程度が目安です。
また、借地権は一般的な所有権の物件と比べて、買い手が見つかりにくい傾向があります。通常の不動産会社では、取り扱ってくれないケースが多いですので、借地権専門の業者に依頼する必要があります。
借地権の売却方法【裏ワザ編】
上記で紹介した以外にも、借地権を売却する方法があります。
ここでは、2つの方法について解説します。
①借地権と底地権をセットで第三者に売却する
1つ目の方法は、借地権と底地権をセットで売却する方法で、同時売却とも呼ばれています。あくまで土地は地主の名義ですが借地権が存在する場合、土地を利用する権利は借地人にあります。その土地を貸している権利を底地権と言います。
借地権と底地権をセットで売却することで完全所有権の土地となるため、買い手が見つかりやすく、高値で売れるメリットがあります。
しかし、地主の同意や売却時の配分について合意が必要になるため、双方である程度の協議が必要であることを認識しておきましょう。
- メリット:高値で売れる
- デメリット:地主の承諾が必要
②等価交換をする
2つ目の方法は、借地権の一部を地主に返還する代わり、新たな底地を地主から譲渡してもらう等価交換という方法です。
借地権者は完全所有権を得た状態の土地を取得することができるため、高値で売却することも可能となるメリットがあります。
- 例えば以下の画像の通り借地権100%・底地100%の土地を等価交換した場合、借地人が60%・地主が40%という割合で完全所有権を得た土地を取得することも可能です。
割合は土地の評価額などから算出しますが、最終的には当事者同士で話し合いを行って決めます。そのため地主が価格に同意、または等価交換自体に反対した場合は行うことができません。
- メリット:完全に所有権を得た土地を取得できる
- デメリット:地主の承諾が必要
借地権の売却相場を調べる方法
では借地権はどれくらいの価格で売却できるのでしょうか。ここでは売却価格を計算する方法を紹介します。
①土地の評価額を求める
はじめに土地の評価額を算出します。評価額の算出方法は「路線価方式」と「倍率方式」の2種類が挙げられます。
路線価とは国税庁が定める1㎡あたりの宅地の評価額のことを指し、相続税の計算や金融機関の融資審査などで用いられることが多いです。
国税庁のホームページにある財産評価基準書で確認することができ、以下の計算式で土地の評価額を算出することが可能です。
- 土地の評価額=土地の面積(㎡)×路線価
一方倍率方式は、路線価が設定されていない土地の評価額を算出する際に用いられます。倍率方式での土地の評価額は以下の計算式で算出できます。
- 土地の評価額=固定資産税評価額×倍率
倍率は路線価と同様に国税庁のホームページにある財産評価基準書で確認することができますが、一般的に宅地の場合は1.1倍に設定されていることが多いです。また倍率方式は路線価が設定されていない田舎などの土地の場合に用いられています。
②借地権割合を路線価で確認する
借地権割合とは借地権と底地権の割合を指し、土地の相続税評価額の算出などに用いられます。借地権割合も国税庁のホームページにある財産評価基準書で確認することができ、路線価の隣にアルファベットで表記されています。アルファベットは全部で以下の表の通り7種類あり、それぞれ借地権割合が設定されています。
記号 | A | B | C | D | E | F | G |
借地権割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
③借地権評価額を計算する
土地の評価額と借地権割合を算出できた後は、以下の計算式で算出することが可能です。
借地権評価額=土地の面積×路線価×借地権割合 【例】土地の面積:300㎡・路線価:10万円・借地権割合:60% 借地権評価額=300㎡×10万円×60%=1,800万円 |
借地権評価額はあくまで価格相場の目安であり、絶対的なものではありません。そのため地主との価格交渉の材料として用いるようにしましょう。
AI査定を利用する
評価の難しい借地権を60秒で自動査定してくれる便利ツールがあります。
センチュリー21中央プロパティーが提供する「AIde査定クラウド借地権」では、簡単な情報を入力するだけで、即時査定結果をメールで受け取ることができます。
不動産会社に査定を依頼する前に、自身でも借地権の売却相場を把握しておくことは、不動産会社の言いなりにならず、適正価格で売却するために大切なポイントです。
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借地権を高く売るための6つのポイント
ここでは借地権を高く売却するための6つのポイントを紹介します。
①地主と良好な関係を築いておく
借地権を高く売るためには地主と良好な関係を築いておくことが最も大切です。そもそも借地権は完全所有権の土地と比べると建築や売却などの自由度が低いため、買い手が少ないのが現状です。
そのため地主は貴重な買い手先でもあることから関係性が重要となります。関係性が悪いと「そもそも購入してくれない」「第三者への売却も承諾してくれない」などの懸念も考えられます。
もしトラブルになってしまった場合は、早めに専門家である弁護士に相談することが大切ですが、そもそも良好な関係であればトラブルに発展せずに購入してもらうことも可能でしょう。
②適正な更新料や地代で契約する
売却する際は適正な更新料と地代であることが大切です。借地権の更新料や地代が高すぎると買い手が見つかりにくくなることから、売買価格を下げて購入者を募集しなければいけません。
もちろん地主の立場としては高い金額を望みますが、言われるがままの価格を鵜呑みにすると売却価格にも影響を及ぼすため、適正な価格であるかを確認し、地主と交渉しておきましょう。
③地主に抵当権設定の承諾を得る
可能であれば、地主の土地に抵当権設定の承諾を得てみましょう。抵当権とは、万が一債務者の返済が滞った時に、貸主である金融機関が担保を差し押さえることができる権利のことです。住宅ローンなどを借入する際、金融機関は必ず土地と建物に抵当権を設定します。
しかし借地権の場合、土地は地主のものであるため、地主の同意がなければ土地に抵当権は設定できません。抵当権が設定された土地は、借入を完済して抵当権を抹消しないと建築や売却ができなくなります。
そのため、地主としては自分の土地に抵当権を設定したくないのが一般的です。しかし地主に承諾してもらえれば買い手側は住宅ローンを借入することができるため、高く売却できるうえに買い手が見つかりやすくなるメリットがあります。
④更新時期を避けて売却する
更新時期を避けて売却すれば、買主側の負担を減らすことにもつながるため、買主が見つかりやすくなります。借りている土地の契約を更新する際は更新料を支払うのが一般的です。
しかし更新料は法律上定められたものではないため、支払わないケースも存在します。
また、更新料の支払い合意がある借地権の場合、「いつ支払うのか」が重要です。仮に借地権を買ってすぐに更新しなければいけないタイミングの場合、買主側としても無駄な費用となってしまいます。更新してから売却すれば、買主側の負担が減るため、購入しやすくなります。
⑤借地権を専門に取り扱う不動産会社に依頼する
借地権を専門に扱う不動産会社に依頼すると、スムーズに売却できます。借地権は権利関係が複雑であり、地主との慎重な交渉が大切となります。場合によってはトラブルにもなりかねないため、不動産会社に相談しておくことをおすすめします。
さらに不動産会社へ依頼しておけば買い手側を見つけてくれるうえ、地主との交渉も行ってくれます。とはいえ借地権は複雑であることから不動産会社によっては断る場合もあります。
そのため、知見と経験がある借地権を専門に扱う会社を見つけましょう。
⑥売却にかかる費用を抑える
一般的に土地を売却するとなると「売買価格×3%+ 6万円」の仲介手数料を不動産会社へ支払わなければいけません。
他にも借地権の売却には、以下のようなコストがかかります。
借地権の評価額を3,000万円と仮定した場合にかかる費用
- 仲介手数料(税込み)105万6,000円
- 弁護士費用 20万円前後
- 不動産鑑定士の鑑定料 30万円前後
- ホームインスペクション料 15万円前後
- 合計 約160万円
売買価格がそのまま受け取れる訳ではなく、上記費用が相殺された額が実際の受け取り額になりますので、売却にかかる費用が少ない、または無料の不動産業者を選択しましょう。
まとめ
借地権の売却は、地主の承諾が必要な事項が多いため、自分での交渉が難しそうな場合は、早めに仲介役である不動産会社に相談することをおすすめします。無理に自身で地主と交渉しても価格面や権利関係がまとまらず、トラブルにもつながりかねません。
そのため専門業者に相談してから交渉することが大切です。とはいえ不動産会社によっては借地権に関する知識が乏しい業者もいます。当社は数多くの借地権売却実績があり、なおかつ売却に伴う手数料が一切かかりません。
借地権の売却のご相談は、ぜひ中央プロパティーへご相談ください。
この記事の監修者
不動産鑑定士
不動産鑑定士。株式会社大村不動産鑑定事務所代表。不動産鑑定評価業務をはじめ、価格査定、意見書作成など不動産の価格に関するスペシャリスト。業者によって査定額に大きな差が生じやすい借地権や底地の不動産鑑定において市場動向を考慮した査定には定評がある。