借地権の売却相場はいくら?|高く売るための3つのポイント|借地権を売却する方法|借地権の査定

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借地権の売却相場はいくら?|高く売るための3つのポイント

「借地権ってどうやって売却するの?」
「そもそも借地権って売却できるの?」
借地権者は借地権を売却できるのか疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から伝えると借地権の売却は可能です。しかしどのような方法があるのかは事前に理解しておく必要があります。この記事では借地権を売却する3つの方法と高く売却するためのポイントを紹介します。借地権を売却しようとしている人はぜひ参考にしてください。

1.借地権は売却できる?3つ売却方法

はじめに借地権を売却する3つの方法とメリット・デメリットを紹介します。

1-1 借地権を地主に売却する

借地権を地主に買取してもらうことで、借地権自体が消滅します。地主とどのような方法で合意するのかが明記された借地権売買契約書や合意書の締結が必要となりますが、完全に所有権を地主へ移行できます。

借地権を地主に売却するメリットは、譲渡承諾料の支払いが不要な点です。通常、第三者へ借地権を売却する場合は、地主に譲渡承諾料を支払う必要があります。地主に買取を依頼する場合は、この譲渡承諾料が不要になります。

しかし、借地権は原状回復義務の条項を設けているのが一般的であり、返還時には更地にしなければいけないことから、借地権者は建物を解体する費用が発生するデメリットがあります。
もちろん借地権を締結した際の賃貸借契約書の内容によって異なるため、売却する前に確認しておくことが大切です。

  • メリット:譲渡承諾料が不要

  • デメリット:建物の解体費用が発生する

1-2 借地権を第三者に売却する

借地権を地主以外の第三者に売却することも可能です。ただし建物の所有を目的として借りた土地(賃借権)の場合、地主の承諾をもらわなければいけません。

地主としては変わらず賃料をもらうことができる一方で、借地権者が変わることを嫌がる人もいるため、慎重な交渉が求められるというデメリットがあります。
また、第三者への売却の場合地主に譲渡承諾料の支払いが必要になります。

しかし、地主から承諾さえしてもらえれば、建物もそのまま譲渡することが可能なため、解体費用がかからないメリットが挙げられます。
また、借地権は担保不足の兼ね合いから金融機関からの融資が得られないことがほとんどであるため、現金で購入できることが条件となることが多く、第三者への売却の間口は狭い傾向にあります。

  • メリット:建物の解体費用がかからない場合がある

  • デメリット:地主の承諾と承諾料の支払いが必要、買い手が見つかりにくい

1-3 借地権と底地権をセットで第三者に売却する

3つ目の方法は借地権と底地権をセットで売却する方法で、同時売却とも呼ばれています。あくまで土地は地主の名義ですが借地権が存在する場合、土地を利用する権利は借地人にあります。その土地を貸している権利を底地権と言います。

借地権と底地権をセットで売却することで完全所有権のある土地となるため、高値で売れるメリットがあります。
しかし、地主の同意や売却時の配分について合意が必要になるため、双方である程度の協議が必要であることを認識しておきましょう。

  • メリット:高値で売れる

  • デメリット:地主の承諾が必要

1-4 等価交換をする

最後は借地権の一部を地主に返還する代わり、新たな底地を地主から譲渡してもらう等価交換という方法です。

借地権者は完全所有権を得た状態の土地を取得することができるため、高値で売却することも可能となるメリットがあります。
例えば以下の画像の通り借地権100%・底地100%の土地を等価交換した場合、借地人が60%・地主が40%という割合で完全所有権を得た土地を取得することも可能です。

割合は土地の評価額などから算出しますが、最終的には当事者同士で話し合いを行って決めます。そのため地主が価格に同意、または等価交換自体に反対した場合は行うことができません。

  • メリット:完全に所有権を得た土地を取得できる

  • デメリット:地主の承諾が必要

2.借地権の売却相場を計算する方法

では借地権はどれくらいの価格で売却できるのでしょうか。ここでは売却価格を計算する方法を紹介します。

2-1 土地の評価額を求める

はじめに土地の評価額を算出します。評価額の算出方法は「路線価方式」と「倍率方式」の2種類が挙げられます。

路線価とは国税庁が定める1㎡あたりの宅地の評価額のことを指し、相続税の計算や金融機関の融資審査などで用いられることが多いです。
国税庁のホームページにある財産評価基準書で確認することができ、以下の計算式で土地の評価額を算出することが可能です。

  • 土地の評価額=土地の面積(㎡)×路線価

一方倍率方式は、路線価が設定されていない土地の評価額を算出する際に用いられます。倍率方式での土地の評価額は以下の計算式で算出できます。

  • 土地の評価額=固定資産税評価額×倍率

倍率は路線価と同様に国税庁のホームページにある財産評価基準書で確認することができますが、一般的に宅地の場合は1.1倍に設定されていることが多いです。また倍率方式は路線価が設定されていない田舎などの土地の場合に用いられています。

2-2 借地権割合を路線価で確認する

借地権割合とは借地権と底地権の割合を指し、土地の相続税評価額の算出などに用いられます。借地権割合も国税庁のホームページにある財産評価基準書で確認することができ、路線価の隣にアルファベットで表記されています。アルファベットは全部で以下の表の通り7種類あり、それぞれ借地権割合が設定されています。

記号 A B C D E F G

借地権割合

90%

80%

70%

60%

50%

40%

30%

2-3 借地権評価額を計算する

土地の評価額と借地権割合を算出できた後は、以下の計算式で算出することが可能です。

借地権評価額=土地の面積×路線価×借地権割合


【例】
・土地の面積:300㎡
・路線価:10万円
・借地権割合:60%


借地権評価額=300㎡×10万円×60%=1,800万円

借地権評価額はあくまで価格相場の目安であり、絶対的なものではありません。そのため地主との価格交渉の材料として用いるようにしましょう。

3.借地権を高く売るための5つのポイント

ここでは借地権を高く売却するための5つのポイントを紹介します。

3-1 地主と良好な関係を築いておく

借地権を高く売るためには地主と良好な関係を築いておくことが最も大切です。そもそも借地権は完全所有権の土地と比べると建築や売却などの自由度が低いため、買い手が少ないのが現状です。

そのため地主は貴重な買い手先でもあることから関係性が重要となります。関係性が悪いと「そもそも購入してくれない」「第三者への売却も承諾してくれない」などの懸念も考えられます。
もしトラブルになってしまった場合は、早めに専門家である弁護士に相談することが大切ですが、そもそも良好な関係であればトラブルに発展せずに購入してもらうことも可能でしょう。

3-2 適正な更新料や地代で契約する

売却する際は適正な更新料と地代であることが大切です。借地権の更新料や地代が高すぎると買い手が見つかりにくくなることから、売買価格を下げて購入者を募集しなければいけません。

もちろん地主の立場としては高い金額を望みますが、言われるがままの価格を鵜呑みにすると売却価格にも影響を及ぼすため、適正な価格であるかを確認し、地主と交渉しておきましょう。

3-3 地主に抵当権設定の承諾を得る

可能であれば、地主の土地に抵当権設定の承諾を得てみましょう。抵当権とは、万が一債務者の返済が滞った時に、貸主である金融機関が担保を差し押さえることができる権利のことです。住宅ローンなどを借入する際、金融機関は必ず土地と建物に抵当権を設定します。

しかし借地権の場合、土地は地主のものであるため、地主の同意がなければ土地に抵当権は設定できません。抵当権が設定された土地は、借入を完済して抵当権を抹消しないと建築や売却ができなくなります。

そのため、地主としては自分の土地に抵当権を設定したくないのが一般的です。しかし地主に承諾してもらえれば買い手側は住宅ローンを借入することができるため、高く売却できるうえに買い手が見つかりやすくなるメリットがあります。

3-4 更新時期を避けて売却する

更新時期を避けて売却すれば、買主側の負担を減らすことにもつながるため、買主が見つかりやすくなります。借りている土地の契約を更新する際は更新料を支払うのが一般的です。

しかし更新料は法律上定められたものではないため、支払わないケースも存在します。
また、更新料の支払い合意がある借地権の場合、「いつ支払うのか」が重要です。仮に借地権を買ってすぐに更新しなければいけないタイミングの場合、買主側としても無駄な費用となってしまいます。更新してから売却すれば、買主側の負担が減るため、購入しやすくなります。

3-5 借地権を専門に取り扱う不動産会社に依頼する

借地権を専門に扱う不動産会社に依頼すると、スムーズに売却できます。借地権は権利関係が複雑であり、地主との慎重な交渉が大切となります。場合によってはトラブルにもなりかねないため、不動産会社に相談しておくことをおすすめします。

さらに不動産会社へ依頼しておけば買い手側を見つけてくれるうえ、地主との交渉も行ってくれます。とはいえ借地権は複雑であることから不動産会社によっては断る場合もあります。
そのため、知見と経験がある借地権を専門に扱う会社を見つけましょう。

3-6 売却にかかる費用を抑える

一般的に土地を売却するとなると「売買価格×3%+ 6万円」の仲介手数料を不動産会社へ支払わなければいけません。
他にも借地権の売却には、以下のようなコストがかかります。

借地権の評価額を3,000万円と仮定した場合にかかる費用

売却時にかかる費用項目 費用相場

仲介手数料(税込み)

105万6,000円

弁護士費用

20万円前後

不動産鑑定士の鑑定料

30万円前後

ホームインスペクション料

15万円前後

合計

約160万円

売買価格がそのまま受け取れる訳ではなく、上記費用が相殺された額が実際の受け取り額になりますので、売却にかかる費用が少ない、または無料の不動産業者を選択しましょう。

まとめ

借地権の売却方法を4つ紹介しましたが、地主の同意を求めることが多いため、自分での交渉が難しそうな場合は、早めに仲介役である不動産会社に相談することをおすすめします。無理に自身で地主と交渉しても価格面や権利関係がまとまらず、トラブルにもつながりかねません。そのため専門業者に相談してから交渉することが大切です。とはいえ不動産会社によっては借地権に関する知識が乏しい業者もいます。当社は数多くの借地権売却実績があり、なおかつ売却に伴う手数料が一切かかりません。
借地権の売却のご相談は、ぜひ中央プロパティーへご相談ください。

この記事の監修者

福島 健太フクシマ ケンタ

税理士

税理士。東京税理士会品川支部所属。日本税務会計学会訴訟部門所属。福島健太税理士事務所代表。不動産デベロッパーから税理士に転身した経歴をもつ不動産と税のスペシャリスト。借地権を相続される方が相続税を、また相続した借地権を売却した際に発生する所得税について相談する税理士として多くの顧客を得る。趣味は釣り。

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