【港区版】地主がお寺の借地権、売却相場を徹底解説!
【港区版】地主がお寺の借地権、売却相場を徹底解説!

目次
先祖から受け継いだ実家が、実は増上寺や泉岳寺といったお寺の借地だった…。
そう知って、売却や相続を検討しているものの、地主が宗教法人の場合、どう進めるべきか分からず戸惑う方も多いでしょう。
本記事では、東京都港区の特殊な借地権事情に焦点を当て、お寺が地主の土地を売却する際の考え方や、交渉を円滑に進めるための具体的なポイントを解説します。

港区の借地権が持つ2つの特殊性
都内屈指のビジネス・商業の中心地でありながら、歴史的な寺社も数多く残る港区。そのため、寺院が地主の借地権付き不動産も少なくありません。
港区の借地権、特に地主が寺院の場合、一般的な不動産取引とは一線を画す特有の事情があります。それは、「都心の一等地であることの価値」と「地主が宗教法人であることの特殊性」です。この二つの要素が複雑に絡み合い、売却を難しくする要因となります。
1. 都心の好立地がもたらす高い資産価値
港区は、六本木や麻布、青山といったエリアを抱え、都内でも最も土地の価値が高いエリアの一つです。この立地が借地権の価値に大きな影響を与えます。
路線価が示す土地の潜在力
港区は都内でも路線価が非常に高く、借地権の価格を左右する土地そのものの価値が極めて高いのが特徴です。そのため、借地権部分だけでも高額な資産価値を持つ可能性があります。
住宅地としての希少性
港区の寺院周辺には、静かで落ち着いた住環境が形成されている場所も多く、都心の利便性と閑静な住宅地としての価値を両立しています。例えば、増上寺や泉岳寺の周辺は、歴史と文化を感じる環境でありながら、高い利便性を兼ね備えています。
ただし、土地の価値が高いからといって、必ずしも高値で売却できるわけではありません。ここに「お寺」という地主の存在が加わり、交渉が複雑になります。
2. 地主が宗教法人であることの独自性
寺院や神社は営利目的の企業とは異なり、土地を単なる収益源とは捉えていません。信仰や歴史、地域との繋がりを重視する点が、借地権の売却に大きな影響を与えます。
交渉のデリケートさ
多くの寺院は、地域コミュニティや檀家との関係を大切にしています。そのため、金銭的な利益だけを前面に出す交渉は敬遠されがちです。また、過去に寄進された土地の場合、安易な売買に難色を示すこともあります。
専門性を持つ交渉相手
多くの寺院は長年にわたり借地権を管理しており、交渉の経験も豊富です。個人の交渉では法的な慣例や専門知識の面で不利になりやすいため、専門家を介した慎重な対応が求められます。
これらの特殊性を理解せずに進めると、トラブルに発展したり、本来得られるはずの売却価格を下回る可能性があります。
増上寺と泉岳寺の事例から見る売却のポイント
港区内でも特に借地権の取引が見られる増上寺と泉岳寺。それぞれの地域特性と、売却を検討する上で押さえておくべき共通点を解説します。
増上寺周辺の借地権事情

増上寺は徳川将軍家の菩提寺であり、東京タワーのふもとに位置する歴史的な寺院です。芝公園の豊かな緑に囲まれ、都心にありながらも落ち着いた雰囲気が漂います。JR浜松町駅や都営地下鉄の駅が近く、交通利便性も非常に高いです。
このエリアの借地権は、都心の好立地と歴史的価値が価格に大きく影響します。一方で、格式高い寺院が地主であるため、交渉においては敬意を持った丁寧なアプローチが成功の鍵となります。
国土交通省のWEBサイト「不動産情報ライブラリ」によると、浅草寺のある台東区浅草付近での不動産取引は、2024年第2四半期から2025年第1四半期までで計2件確認できます。

取引総額は、4億円~6億7,000万円となっています。
画像引用:不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード
泉岳寺周辺の借地権事情

泉岳寺は、忠臣蔵で知られる赤穂浪士の墓所があることで有名です。都営浅草線と京急本線の泉岳寺駅が最寄りであり、品川駅や羽田空港へのアクセスも良好な交通の要衝です。
このエリアの借地権は、交通利便性の高さと歴史的なブランド価値が価格に大きく影響します。交渉の際は、地主である泉岳寺の歴史的背景や地域との関わりを尊重する姿勢が大切です。
国土交通省のWEBサイト「不動産情報ライブラリ」によると、浅草寺のある台東区浅草付近での不動産取引は、2024年第2四半期から2025年第1四半期までで計13件確認できます。
取引総額は、1億2,000万円~14億円となっています。

画像引用:不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード

失敗しないための3つの売却戦略
地主がお寺という特殊な借地権を適正な価格で、かつ円滑に売却するには、単なる不動産取引とは異なる視点が重要です。
借地権専門のパートナーを見つける
一般的な不動産業者は、寺院との借地権交渉の経験が乏しいことが多いです。借地権に特化した専門家は、過去の事例から寺院側の慣習や考え方を熟知しており、最適な交渉手法を導き出すことができます。法律や慣例に基づいた交渉を任せることで、不要なトラブルを回避し、スムーズな売却を目指せます。
地主との「信頼関係」を第一に考える
交渉は、金銭的な話だけでなく、地主との信頼関係を築くことから始まります。長年にわたり土地を借りてきたことへの感謝を伝え、敬意を持って臨む姿勢が大切です。その上で、売却が寺院側にとっても有益となるような提案(例:老朽化した建物の建て替えなど)をすることで、交渉が有利に進む可能性があります。
契約内容を徹底的に精査する
売却価格や交渉の成否は、既存の借地契約書の内容に大きく左右されます。特に、契約更新や名義変更にかかる費用、現在の法令に合わない古い条項などが含まれていないか、専門家とともに確認することが不可欠です。これにより、将来的なリスクや売却価格に影響を与える要因を事前に把握できます。
これらの点を押さえることで、地主がお寺という特殊な借地権でも、適正な価格での売却を目指せるでしょう。
まとめ:港区の借地権は、まず専門家への相談を
港区の寺院借地権は、都心の高い土地価値と、お寺とのデリケートな交渉が絡み合う複雑なものです。
適正な価格で円滑な取引を実現するには、借地権に特化した専門家のサポートが不可欠です。
当社、センチュリー21中央プロパティーは、お寺との交渉経験が豊富で、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適な解決策をご提案します。まずは無料相談で、あなたの抱える不安や疑問を私たちにお聞かせください。

この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21 中央プロパティー 代表取締役/宅地建物取引士
都内金融機関、不動産会社での経験を経て、2011年に株式会社中央プロパティーを設立。長年にわたり不動産業界の最前線で活躍するプロフェッショナル。
借地権の売買に精通しており、これまでに1,000件以上の借地権取引や関連する不動産トラブル解決をサポート。底地や借地権付き建物の売却、名義変更料や更新料の交渉など、複雑な借地権問題に従事。
著書に「地主と借地人のための借地権トラブル入門書」など多数の書籍を出版。メディア出演やセミナー登壇実績も豊富で、難解な相続不動産問題も「わかりやすい」と説明力に定評がある。