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借地権付き建物の売却について知っておきたいポイント|借地権の売却・買取

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:13813

借地権付き建物の売却について知っておきたいポイント

「借地権付き建物とは何なのか」
「借地権付き建物を売却するにはどうすればいいのか」
というお悩みを持っていませんか?

実は、借地権付き建物に関する基礎知識をしっかり理解すれば、売却することはそれほど難しくありません。
この記事では、借地権付き建物の定義やメリット・デメリット、売却する手順について解説します。

また、地主とのトラブルを避けるための注意点もお伝えします。
借地権付き建物の基礎知識を理解して、売却をスムーズに進めましょう。

1.借地権付き建物のメリットとデメリット

借地権付き建物を知るうえで、まずは借地権付き建物とは何なのか?そしてメリット・デメリットを抑えておくことが重要です。
そうすれば借地権付き建物の売却についての全体像が見えてきますので、まずはここをしっかりと理解しましょう。

1-1 借地権付き建物

借地権とは、建物を建てるために地代を支払い第三者から土地を借りる権利のことです。土地を借りる目的は建物の所有に限られますので、駐車場や資材置き場には借地権は発生しません。

借地権は、地上権と賃借権の2種類に分かれます。
地上権は、借地権を自由に譲渡できることが特徴で、地主の承諾を得る必要がありません。
一方、賃借権は第三者に譲渡するときに地主の許可が必要です。
日本国内においては、賃借権が採用されることがほとんどです。

借地権付き建物とは、借りている土地の上に建つ建物のことです。
一般的によく見る建物は、土地と建物の名義が同じものをイメージすると思います。しかし、借地権付き建物は建物だけが自分の所有で、土地は地主が所有している状態なのです。

1-2 借地権付き建物のメリット

借地権付き建物にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは借地権付き建物のメリットを3つ紹介します。

1-2-1 安価に購入できる

まずメリットのひとつ目は、安価に購入できるという点です。

借地権付き建物は、土地を購入する必要がありません。そのため、通常の所有権と比較して住宅購入時の初期費用を抑えることができます。
できるだけ低予算で住宅を取得したい方におすすめです。

1-2-2 土地分の税金負担がない

土地や建物を所有すると、毎年固定資産税や都市計画税を支払う必要があります。不動産によっては毎年10万円以上かかることもありますが、借地権付き建物は、土地を所有しないため、土地の固定資産税と都市計画税を支払わずに済みます。

土地にかかる税金負担がないことで、毎年のランニングコストを抑えることができるということがふたつ目のメリットです。

1-2-3 土地は長期的に借りられる

借りている土地上に建物が建っているとはいえ、長期にわたり安定的に借りられる点もメリットです。

借地権は借地借家法という法律が適用されます。借地借家法は借地人の権利が強く、地代を払わないなどの正当な理由がなければ地主から退去を求めることができません。もし正当な理由なく退去を求める場合には、地主が立ち退き料を支払う必要があるので、借地人は急に住む場所を失うようなリスクは少ないと考えてよいでしょう。
また、住宅用土地の場合は30年未満での賃貸契約を結ぶことができないため、契約期間が長いという点も安心材料になります。

1-3 借地権付き建物のデメリット

借地権付き建物には費用面や安心面でのメリットがありましたが、デメリットもあるので注意が必要です。

1-3-1 地代が発生する

土地を借りている分、毎月の使用料として地主に地代を支払うことが必要です。借地権付き建物を購入する場合、初期費用は安く済みますが、長期にわたるコストが発生することも意識しなければいけません。

さらに、借地借家法で守られているとはいえ、場合によっては地代の見直しで値上げを要求されることもあります。借地権付き建物は、土地の税負担がないとはいえ、住宅ローンと地代の両方がかかるということが大きなデメリットだといえます。

1-3-2 建て替えや売却には地主の承諾が必要

長期間にわたり借地権付き建物を使用していると、建て替えや売却を検討することがあります。しかし、あくまで借りている土地を利用しているので、建て替えや売却、譲渡する際は地主の承諾が必要になります。

また、地主の承諾を得る場合は譲渡承諾書や承諾料が必要です。所有権と違い、借地権の場合には通常かからない手続きや費用がかかるという点に注意が必要です。

1-3-3 銀行の融資が受けにくい

借地権付き建物を購入する際は、銀行融資が受けにくいという点もデメリットです。通常、銀行は不動産の担保評価を鑑みて融資を決定するのですが、借地権付き建物の場合は土地が自己所有でないということから、担保評価が低くなる傾向があるのです。

そのため、融資金額が低くなり住宅ローンが希望額に満たないリスクが発生します。つまり、借地権付き建物を購入する場合は、初期費用を安く抑えられますが、その分自己資金を多めに用意する必要があります。

2.借地権付き建物を売却する方法

借地権付き建物の定義や特徴を解説しましたが、場合によっては売却を検討する方もいるでしょう。ここからは、借地権付き建物を売却する方法を具体的に紹介します。

2-1 地主に承諾を得て第三者に売却する

借地権付き建物は地主の許可があれば第三者に売却することが可能です。売却先の第三者とは個人はもちろん、不動産会社も含まれます。

注意する点は、地主の譲渡承諾を得るためには承諾料が必要なことです。一般的に承諾料は、借地権の売却価格の10%程度だといわれています。

その他にも売却後の借地料や契約期間など、地主との調整項目が多数あるため、円満に手続きを進めるためには専門性が必要です。そのため、借地権付き建物の売却の際には経験と実績がある不動産会社に相談することが必須だといえます。

2-2 地主に買い取ってもらう

一般的によくおこなわれるケースは、借地権を地主に返す形で売却する方法です。地主側からすると、底地権であった土地が完全所有権として返ってくるので、土地の資産価値が上がるというメリットが、売却を円満に後押しすることがあります。

地主に買い取ってもらう方法には「更地にして土地を返却する形の売却」と「借地権とともに建物を残したまま売却」する2種類がありますので、慎重に選びましょう。

2-3 底地とセットで第三者に売却する

底地と借地権をセットで売るという方法もあります。底地と借地権をセットにすることで「完全所有権」となり自由に扱える土地になるので、一般的に流通されている不動産と同じく、この方法は第三者に売却しやすい方法だといえます。

しかしこの場合、当然のことながら地主が土地を手放さなくてはいけないというデメリットが発生するので、交渉が難航する可能性が高くなります。

2-4 等価交換した後に第三者に売却する

土地の広さを十分に確保できる場合、等価交換した後に第三者に売却する方法も考えられます。地主と借地人がおこなう等価交換の方法とは、借地面積の一部と、地主が所有している底地権の一部を同じ価値だけ交換するというものです。例えば100坪の借地面積の内50坪を地主に返却し、代わりに残った50坪の借地面積の底地部分50坪を地主からもらい、価値が不均等な場合は差金で精算をおこない調整を図ります。

そうすることで土地の一部の完全所有権を得ることが可能になり、借地権のときより資産価値が上がります。

借地人と地主双方にメリットがある方法ですが、注意点もあります。地主との交換比率の調整、土地の測量や分筆登記などの時間や手間がかかるので、等価交換は時間や費用に余裕を持って取り組むことが重要です。

2-5 建物を解体し更地にして地主に返還する

もし借地権だけ買い取ってもらう場合には、建物を解体して地主に返還する方法があります。その解体費用は売主負担ですので、別途費用がかかる点も覚えておきましょう。

注意点としては、建物の築年数が浅い場合でも解体しなければいけないということです。もし建て替えて間もない時期であれば他の方法も検討するべきです。

3.借地権付き建物を売却する流れ

借地権付き建物の売却方法についてわかったところで、次に売却する流れを理解しましょう。全体像を把握することでスケジュール感や注意点がわかります。

3-1 地主(借地権設定者)に相談

借地権付き建物を売却したいと考えたときは、まず地主に相談することが第一です。

先述したとおり、借地権付き建物の売却には地主の承諾が必要です。地主への相談をせずに手放そうとすると、トラブルに発展してしまいます。

地主への相談は、売却の流れの重要なポイントのため、交渉に不安がある方は、次のステップである不動産会社に相談することから始めてみるのも良いでしょう。

また、借地権付き建物の売却の際、借地権譲渡の承諾料が必要になるケースがあります。承諾料の目安としては、借地権価格の10%程度ですが、ケースごとに異なるので注意が必要です。

3-2 不動産業者に相談

借地権付き建物を売却するうえで地主への交渉は簡単ではありません。借地人と地主それぞれの権利を守るため、法律が絡むこともあります。

そのため、借地権に関する実績が豊富な不動産会社に相談することが重要です。無理に自分で交渉を進めようとせず、、複数の不動産会社へ査定依頼を出してみましょう。

「借地権の売却実績や地主交渉のノウハウが豊富か」「借地権に強い弁護士と提携しているか」が不動産会社を選ぶ判断基準です。
また、複数社に査定依頼を出すことで様々な角度からの評価を知ることができ、販売価格の参考にもなります。

早めに不動産会社へ相談しましょう。

3-3 売却活動スタート

売却を進めるための条件が固まれば売却活動がスタートします。

不動産会社は、買主を探すためにポータルサイトや不動産流通機構などに物件情報を掲載します。また、チラシなどの紙面広告で宣伝をしたり、内覧の手配をして売却活動を進めますが、中には独自の投資家ネットワークを構築し入札方式で買主とマッチングする専門仲介業者も出てきています。

さらに、売却活動を行っている間、専任媒介を結んでいる場合は2週間に一度、専属専任媒介契約を結んでいる場合は1週間に一度、経過報告を受けることになります。売却活動の状況を把握できるように、報告にはしっかり目を通すようにしましょう。

3-4 売買契約締結

無事条件に合う買主が見つかれば、売主と買主の間で不動産売買契約を結びます。

まず不動産会社は買主に重要事項説明書を交付し、その後売買契約を締結します。ですが、借地権付き建物の場合は、売買契約が締結されただけでは効力を発揮しません。

売買契約書が正式な効力を生じるのは、地主の譲渡許可を得る借地権譲渡承諾書を交わしてからになります(停止条件)。借地権譲渡承諾書とは、借地権を売却してもいいという地主の承諾書です。

借地権譲渡承諾書には、承諾料の金額や借地権の譲渡日などの承諾条件が記載されていて、借地権付き建物の取引には欠かせない書類です。地主から借地権譲渡承諾書を受け取ることにより、譲渡許可を得たことになり無事売買契約が成立します。

3-5 決済・引き渡し

不動産売買契約が成立すれば、最終段階である引き渡しが行われます。物件の残代金を受領し、所有権移転登記手続きと同時に買主へ物件が引き渡されます。

所有権移転登記手続きが行われなければ、第三者に権利を主張することができません。不動産会社の担当者と協力して、登記手続きを行う司法書士への段取りも忘れずにしましょう。

4.地主に借地権付き建物の売却許可が得られない場合

借地権付き建物を売却するなかで、地主から売却の許可が得られないことも考えられます。その場合はどのようにすればいいのでしょうか?

4-1 借地権に詳しい不動産業者に相談

地主との交渉や条件の調整がうまく進まない場合は、借地権に詳しい不動産会社に相談しましょう。

借地権付き建物に関する交渉は、不動産や法律など、専門知識が要求されます。そのため、素人である個人がすべて解決することは非常に難しいのです。

地主とのトラブルを避けるためにも、借地権の取り扱いに慣れた不動産会社を選ぶことが重要です。借地権の知識がない不動産会社を選んでしまうと、相場よりも安い金額で査定されてしまうだけではなく、円満に交渉が進まず時間や費用が無駄になってしまうこともあります。

4-2 借地非訟手続きを行う

借地非訟手続きとは、地主と借地人の間で借地をめぐるトラブルが起きた場合に、裁判所へ地主の代わりに許可を求める手続きのことです。

たとえば、借地権を第三者に譲渡するための「賃借権譲渡・土地転貸許可申立」や、建物の構造や用途を変更する際に地主の承諾が得られない場合の「借地条件変更申立」などがあります。

借地非訟手続きで、地主の承諾に代わり裁判所の許可を得るためには、買主が決まっていること、地代の支払いを継続的にできる買主であることが前提です。つまり、借地非訟手続きは買主を見つける前にはおこなうことができません。あくまで、最終手段として考えるようにしましょう。

まとめ

今回は、借地権付き建物を売却するうえで知っておくべきポイントをお伝えしました。借地権付き建物は地主の譲渡許可を得ることができれば売却が可能です。

しかし、借地権付き建物の売却には様々な専門知識や交渉力が必要です。中央プロパティーでは、20名以上の弁護士・不動産鑑定士などの専門家が、交渉・売却手続き・売買契約締結まで徹底サポートいたします。

また、借地権付き建物の売却で地主に承諾を得られない場合も中央プロパティーにお問い合わせください。各分野の専門家と連携し、トラブル解決や売却手続きなど総合的にサポートさせていただきます。

借地権付き建物の売却でお悩みの際はぜひ中央プロパティーにご相談ください。

この記事の監修者

山口 義重ヤマグチ ヨシシゲ

税理士

税理士。東京都出身。中央大学法学部を卒業し、ワールド法律会計事務所代表。借地権の相続案件で多く相談される相続税が得意分野だが、生前贈与や、親族間の不動産売買等相続対策にも豊富な経験・実績のあるスペシャリスト。

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