底地のよくあるトラブル|正しい解決方法と適切な相談先を紹介
底地のよくあるトラブル|正しい解決方法と適切な相談先を紹介

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本記事は、底地を所有する地主様や、将来相続される方向けのものです。
「借地人との関係」や「相続時の親族間の意見対立」といった、底地にまつわる様々なトラブルについて、問題解決の専門家が分かりやすく解説します。
この記事を読むことで、
- 底地でよくあるトラブル
- 底地のトラブルを解決する方法
- 底地トラブルの適切な相談先
を知ることができます。

【地主様向け】底地でよくある借地人とのトラブルと解決方法
地主が悩みがちな借地人とのトラブルは、以下の通りです。
- 借地人が地代を滞納している
- 借地人が地代の値上げに応じてくれない
- 借地人が承諾なしで増改築を行っている
- 借地人が承諾なしで建物を転貸している
- 借地人が更新料や承諾料を払ってくれない
- 借地人が無断で借地権を売却しようとしている
よくある借地人とのトラブル①:借地人が地代を滞納している
借地人は、土地を利用する権利を借りている対価として、地主に地代を支払う必要があります。
しかし、中には地代を滞納する借地人もいます。
相当期間、地代の滞納が続き、地主と借地人間の信頼関係が破壊されたと判断される場合は、借地契約の解除および土地の明け渡しを要求できます。
地代が滞納されている場合は、以下の方法で対応するのが良いでしょう。
- 電話や対面で地代が滞納されている旨を伝え支払いを促す
- 内容証明郵便で、催促状を郵送する
- 催告に応じない場合、借地契約を解除する旨を通知する
- 建物収去土地明渡請求訴訟を申し立て、明け渡しを命じる
地代の滞納理由は、様々ですが中には「うっかり忘れているだけ」というケースもあります。
そのようなケースでは、地代が滞納されている事実を口頭で伝えるだけで、支払ってくれる可能性が高いです。
借地人から、支払い期限の延長や分割での支払いを交渉される場合もありますが、その際は口頭ではなく書面で、約束のやり取りの記録が残るようにしましょう。
それでも支払いに応じない場合は、「誰が、いつ、誰に対して、どのような内容の意思表示をしたか」を証明できる配達証明付きの内容証明郵便で催告書を送りましょう。
これは、後々訴訟に発展した際に、地代の支払いを催告したことを証拠として残しておくためです。
建物収去土地明渡請求訴訟とは、地代の滞納などを理由に、賃貸借契約を解除し、土地を占有する者に対して、建物を解体し土地を明け渡すことを求める法的手続きです。
よくある借地人とのトラブル②:借地人が地代の値上げに応じてくれない
地代は、土地に対する固定資産税などの公租公課や土地の価格が上がったとき、近隣の地代に比べて明らかに安いときなどに、値上げできる旨が、借地借家法で定められています。
(地代等増減請求権)
第十一条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
引用 借地借家法第11条
地代の値上げ交渉は、以下の手順で行います。
- 当事者同士で直接交渉を行う
- 交渉がまとまらなければ、地代等増減額請求の調停や訴訟を申し立てる
まずは、地代を値上げする根拠(固定資産税の納税通知書や近隣の地代相場など)を明確に示し、借地人との交渉を進めます。
借地人にとっては負担増となるため、長期戦になることを覚悟の上、交渉は慎重に行いましょう。
双方が合意できる着地点を一緒に探すスタンスが重要です。
例えば、一気に値上げするのではなく、段階的に値上げをする、値上げするタイミングを直近ではなく半年後や1年後で提案するなど、借地人に配慮する姿勢を忘れないようにしましょう。
それでも、交渉が難航する場合は、法的措置に移行する旨を借地人に伝え、調停や訴訟を検討しましょう。
裁判所は、地代を値上げする理由や地代の額が適正であるかを、客観的な視点で判断します。
なお、法律上、地代増減請求権は一方的な意思表示で効力が生じる「形成権」とされています。
しかし、借地人が増額に応じない場合、最終的には調停や訴訟で適正な金額が決定されることになります。
また、賃貸借契約書に「一定期間地代を上げない」という不増額特約が明記されている場合は、原則としてその期間中の値上げは難しいでしょう。
よくある借地人とのトラブル③:借地人が承諾なしで増改築を行っている
通常、借地上の建物を増改築する場合、借地人は、地主の承諾を得る必要があります。
借地人が地主の承諾なしで増改築を行っている場合、契約違反(借地条件違反)として以下の対応を検討しましょう。
- 借地人に状況を確認し、工事を中止するよう注意を促す
- 事後的に増改築を認める代わりに、増改築承諾料を請求する
- 是正されない場合、契約違反として借地契約を解除する
増改築が発覚する経緯として多いのは、突然建物の外装に足場が組まれ、工事が始まり地主がその状況を目撃し、発覚するケースです。
注意したい点が、リフォームと増改築の違いです。
建物の構造に影響しないような小規模な修繕やリフォームの場合は地主の承諾が不要ですが、大規模な増改築の場合は承諾が必要です。
まずは、借地人に工事の内容について確認し、増改築にあたるのかどうかを判断しましょう。
借地人によっては、意図せず「地主の承諾が必要であることを知らなかった」というパターンもあり得ます。
また、増改築を認める代わりに、承諾料を借地人から受け取ることもできます。
借地契約で、承諾料に関する特約がある場合は、その規定にしたがって、承諾料を請求します。
特約がない場合でも、承諾の対価として請求するのが一般的です。
増改築の承諾料相場は、更地価格の3~5%とされています。
契約書内に定めがあるにも関わらず、借地人が承諾料の支払いを拒むようであれば、契約違反として借地契約を解除することも可能です。
なお、地主が承諾しない場合でも、借地人は裁判所に対して承諾に代わる許可を求める申立て(借地非訟)ができます。
よくある借地人とのトラブル④:借地人が承諾なしで建物を転貸している
借地上の建物を第三者に転貸する場合も、原則として地主の承諾が必要になります。
増改築と同様に、承諾なしで第三者に又貸ししている場合、信頼関係を破壊する重大な契約違反として、借地契約を解除することも可能です。
ただし、借地権の種類が物権である地上権の場合は、自由に転貸する際に地主の承諾は要りません。(一般的な借地契約は債権である賃借権です)
地上権 | 賃借権 | |
権利の種類 | 物権 | 債権 |
登記義務の有無 | 必須 ※地上権を設定した土地所有者に登記義務あり | 必須ではない ※建物を登記する場合は地主の許可不要 |
地代 | あり | あり |
地主の許可 (譲渡・転貸時) | 必要なし | 必要あり |
存続期間 | 30年以上 | 借地権の種類による 最長50年 |
よくある借地人とのトラブル⑤:借地人が更新料や承諾料を払ってくれない
借地契約において、更新料や承諾料の支払いは、法律上の義務ではありません。
そのため、借地人が支払わないからと言って、借地契約を解除することはできません。
ただし、契約書上に特約がある場合や過去の更新時に支払ってきた経緯があるなど、口頭でも合意がある場合は、借地人は更新料や承諾料を支払う必要があります。
過去に合意したにも関わらず、借地人が支払いを拒否する場合は、債務不履行として借地契約を解除できる可能性があります。
よくある借地人とのトラブル⑥:借地人が無断で借地権を売却しようとしている
地主の承諾を得れば、借地権は売却できます。
しかし、地主にとって、借地人が変更になることは地代の支払い能力不足などのリスクを伴うこともあるため、簡単に承諾したくないというのが本音でしょう。
一般的には、譲渡を認める代わりに譲渡承諾料の支払いを求めることが多いです。
譲渡承諾料の相場は、借地権価格の10%程度とされています。
万が一、地主に承諾を得ずに、借地人が勝手に借地権を譲渡(売却)した場合は、重大な契約違反として借地契約の解除が可能です。
なお、増改築と同様に、地主が譲渡を承諾しない場合、借地人は裁判所に地主の承諾に代わる許可を求める申立て(借地非訟)ができます。
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【相続人様向け】底地を共有名義で相続した際のトラブルと解決方法
底地を複数人で相続した場合、共有名義で底地を所有していることになります。
共有名義で底地を所有すると、共有者同士でトラブルになりやすいと言われています。
底地を共有名義で相続した際にありがちなトラブルは、主に以下の通りです。
- 借地人との交渉を誰が行うかで揉める
- 地代や更新料の分配で揉める
- 底地の売却をめぐって意見が割れる
よくある共有名義の底地相続トラブル①:借地人との交渉を誰が行うかで揉める
先述した通り、地主と借地人は借地契約を結んでいます。
地代の滞納や契約違反があった場合、地代を値上げしたい場合などは、地主が借地人に交渉を行う必要があります。
底地の所有者が複数人いる場合、誰が交渉を進めるかで揉めるケースがあります。
借地人との交渉は、内容によっては一筋縄ではいかない場合もあり、時間や労力がかかります。
交渉には手間がかかるため、誰もが担当者になるのを避けたがる傾向があります。
トラブルを回避するためには、相続時に誰が交渉を担当するか取り決めを行い、できれば書面で残しておくのが良いでしょう。
その際、管理担当者に対して、他の共有者から管理手数料を支払うなどのルールを決めておくと、不公平感をなくすことができます。
センチュリー21中央プロパティーでは、経験豊富なスタッフによる、他の共有者との交渉の代行も可能です。
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よくある共有名義の底地相続トラブル②:地代や更新料の分配で揉める
共有名義で最もトラブルになりやすいのが、地代や更新料の分配方法です。
例えば、借地人との交渉をAが担当している場合、他の共有者(B・C)に比べて労力がかかります。Aの立場からすると、その分取り分を多く貰いたいと考えるのが自然でしょう。

しかし、法律上は、持分割合に応じて地代や更新料を分配することになっています。
トラブルを防ぐためには、遺産分割協議の際に、代償分割(特定の相続人が底地を相続し、他の相続人にお金を支払う方法)や換価分割(底地を売却して現金で分ける方法)などを利用して、共有名義での相続をそもそも避けることが最も有効です。
共有名義で相続する際は、そのリスクをよく理解した上で行いましょう。
よくある共有名義の底地相続トラブル③:底地の売却をめぐって意見が割れる
共有名義の底地を売却する場合、共有者全員の同意が必要です。
例えば、3人で共有している場合、一人でも売却に反対する共有者がいる場合、底地全体を売却することはできません。
ただし、自己持分のみであれば、他の共有者の同意なしで売却できます。
共有者間で意見がまとまらず、全体売却ができない場合は、自己持分の売却を検討してみましょう。
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底地トラブルの適切な相談先はどこ?
底地トラブルの主な相談先は、以下の通りです。
- 借地権に強い弁護士
- 借地権・底地専門の不動産会社
底地トラブルの相談先①:借地権に強い弁護士
底地トラブルの相談先として、弁護士があげられます。
底地のトラブルを解決するには、借地権に関する法的な知識や借地人との紛争解決の手段を裁判所に判断を委ねる、「借地非訟」という手続きが必要になることがあります。
弁護士の中でも、借地権に強い弁護士に相談することで、迅速なトラブル解決が期待できます。
センチュリー21中央プロパティーには、底地・借地権関連の案件に豊富な実績を持つ社内弁護士が常駐しています。
そのため、いつでも法的な観点からの的確なアドバイスが可能です。
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底地トラブルの相談先②:借地権・底地専門の不動産会社
トラブルをきっかけに、「底地を手放したい」「相続前に底地を整理したい」という意向がある場合は、借地権や底地専門の不動産会社に相談するのが良いでしょう。
底地の売却は、通常の土地売却と比べて購入希望者が少なく、難易度が高いと言われています。
理由としては、底地は借地人に土地を貸していることが前提になるため、地主であっても自由に土地を活用することができないからです。
借地権や底地を専門に扱う不動産会社であれば、弁護士とも連携しながら、トラブル解決から底地の売却まで、一貫してサポートしてもらえます。
センチュリー21中央プロパティーは、底地・借地権専門の不動壇仲介会社です。
これまでに4万件を超えるご相談・売却の実績があり、底地・借地権に関するノウハウは他社の追随を許しません。
底地のトラブル解決から好条件での売却まで、どうぞお気軽にご相談ください。

底地トラブル解決&売却は、センチュリー21中央プロパティーにお任せください
本記事では、地主様や相続人様が直面しがちな底地のトラブルについて解説しました。
底地には、借地人による地代の滞納や無断増改築、共有名義での意見の対立など、解決に専門的知識を要する問題が数多く存在します。
トラブルが発生した際は、一人で抱え込まず、借地権に強い弁護士や底地専門の不動産会社といった専門家に相談することが早期解決への近道です。
センチュリー21中央プロパティーは、底地・借地権を専門とする不動産会社です。
これまでに4万件を超えるご相談・売却実績があり、底地・借地権に関する圧倒的なノウハウの蓄積を活用しながら、好条件での底地売却も誠心誠意サポートさせていただきます。
また、底地の管理代行サービスも提供させていただいております。
底地のトラブル解決や管理・運用のご依頼、好条件での売却を検討されている地主様・相続人様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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底地に関してよくある質問
底地の所有や運用に関して、よくある質問をまとめました。
Q1.土地を短期間に限って、一時的に賃貸する方法はありますか?
A.一時使用目的の借地権の設定があります。
一時使用目的の借地権は借地契約の期間についてのルールが適用されず、数か月程度の短期間の借地契約を締結することも可能です。
ただし、単に期間を短く設定するだけで「一時使用目的の借地権」となるわけではなく、短い期間を設定する目的や契約の経緯等の事情を総合的に考慮して、契約期間を短期間に限ることの客観的かつ合理的な理由が必要です。
例えば、短期間の契約が何度も更新されている場合や、借地人が長期間使用可能な建物を建てることを地主が認めている場合、借地契約の際に高額の権利金を受領している場合などの事情があると、「一時使用目的」とは認められにくくなります。
Q2.借地人が無断で行った工事費用は、誰が負担すべきですか?
A.当該工事が土地の利用にとって必要、又はその価値を増加させるものであれば、地主は工事費を支払わなければなりません。(必要費・有益費)

借地人による工事が土地の利用にとって必要なものなのか、必要とまでは言えないが価値を増加する有益なものなのか、いずれに該当するかによって、地主が請求され得る金額が変わってきます。
Q3.借地人が死亡した場合、地代の請求はどうすべきですか?
A.借主が死亡しても、賃貸借契約は終了しません。
借主の相続人は、従前の賃貸借契約を引き継ぐことになるため、賃貸人は相続人に対して、従前の賃料価格(地代)を請求できます。
相続人が複数いる場合は、賃貸人としては全員に対して、賃料請求することができます。
加えて、それぞれの相続人に全額の賃料請求をすることができます。
相続人が不在の場合は、相続財産管理人に賃料請求できます。
Q4.借地人が空き家のまま建物を放置している場合、どうすべきですか?
A.借地契約が終了したときは、借地人側の費用と責任で、借地に附属させた借地上の建物を解体収去して、更地に復した上で、貸主である地主に借地に返還する義務を負います。
例えば、借地人が地代を支払っていないような場合は、地代未払いを理由に借地契約が解除し、建物の解体収去を命じることができます。
なお、地代滞納により契約解除となった場合、建物買取請求権が行使されることはありません。
Q5.借地人が勝手に民泊を運営しているようです。対処法はありますか?
A.借地人が地主の承諾なしに民泊を行うことは、契約内容によっては認められない場合があります。
民泊を行う場合は、旅館業法の許可が必要となる場合があります。
また、賃貸借契約において賃借人は、契約又は目的物の性質によって用法遵守義務が課せられています。
賃借人がこの用法遵守義務に違反した場合には、賃貸借契約を解除することができます。
通常、賃貸借契約の使用目的は居住であるため、宿泊業を営むことは、通常の用法から逸脱していると言わざるを得ません。
無断で民泊を行った場合、地主からの契約解除が認められる可能性があります。

この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。