借地権を返還する場合、
更地にする必要があるのか?|借地権関連|法律・税金
借地権を返還する場合、
更地にする必要があるのか?
質問 Aさんとの間の借地権契約が終わりましたが、建物は取り壊して、更地にして返還する必要があるのでしょうか。せっかく建物があってもったいないと思いまして。

借地権を返還する場合、原則として原状回復(更地)し貸主に返還する必要があります。
詳細解説
借地権契約が終了した場合には、借地権者は土地を更地にし、返還する義務がありますが、借地権者には建物買取請求権(借地借家法13条1項)と言う権利もあります。
借地借家法13条1項:「借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。」
とあります。

更地にして返還する前に建物買取請求を考えてみてはいかがでしょうか。
地主がそんなこと認めなそうと不安に思うかもしれませんが、建物買取請求権は形成権と言って、相手の同意も不要です。つまり、建物買取請求権を行使した段階で、売買契約が成立する権利になります。そのため、地主が認めないということは認められませんので、ご安心ください。
ただ、注意点として、判例では地代の不払い等の債務不履行で契約が解除された場合の建物買取請求権の効力は否定されています(最判昭和35年2月9日民集14巻1号108頁)。
地代を払っていないような借地権者を保護する必要はないという考えがそこにはあります。
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また、借地人は、建物買取請求権を行使すれば、地主から建物売買代金の支払があるまで土地明渡を拒むことができます。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。地代滞納、建物明け渡しなど借地権・底地権の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。