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借地権の買取請求権とは

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借地権の建物買取請求権とは?行使できる要件と流れを解説

「借地権の買取請求権ってなに?」
「買取請求権はどのような流れで進めるの?」

借地人は更新手続きをせず、地主に建物を買い取ってもらう「買取請求権」を行使することが可能です。しかし行使するには要件をクリアし、正しい手順で手続きしなければいけません。

この記事では借地権の買取請求権の概要と要件、手続きの流れについて紹介します。

買取請求権が拒否できるかについても解説しますので、借地権でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

関連記事:地主に借地権付き建物を買い取ってもらうには?

1.借地権の買取請求権とは 

借地権の買取請求権とは、借地権付きの建物を借地人が地主に買取依頼できるという権利のことを指します。

借地権の買取請求権を利用すれば、借地権の契約期間満了時に、更新が行われない場合は地主に建物を買い取ってもらうように請求することができます。

2. 買取請求権が認められる要件

買取請求権は以下の要件がすべて揃っている場合に認められます。

  1. 契約期間が満了するタイミングであること
  2. 契約更新する前であること
  3. 借地上に建物があること
  4. 地主へ契約更新の依頼をしたものの拒否されたこと
  5. 地主側から契約更新前に更新しないと伝えられていること
  6. 借地人が地主に建物を買い取ってほしいと伝えていること

それぞれの要件について解説します。

2-1 借地権の契約期間が満了していること

買取請求権が認められる要件のひとつとして、借地権の契約期間が満了するタイミングであることです。借地借家法では以下の条項となっています。

<借地借家法13条1項>
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

引用:借地借家法第13条 – Wikibooks

後ほど紹介しますが、借地権の買取請求権は契約期間満了前に地主と打ち合わせしている流れとなります。

2-2 契約を更新しないこと

借地権の契約期間が満了するタイミングで契約更新をしないことが要件です。更新してから買取請求権の制度を利用することはできません。

2-3 借地上に借地人が所有する建物があること

借地権の買取請求権は借地上に建物がなければいけません。すでに建物を解体してしまい、借地権だけを買い取ってほしいということはできません。

2-4 地主側に正当事由があること

借地人が契約更新したかったもの、地主から正当な事由があって更新拒否された場合、買取請求権が認められます。

主な正当事由は「土地の使用用途があり、必要性が高いこと」や「借地人が地代の滞納などを行っている」などが挙げられます。

しかし正当事由は最終的に裁判所が決めるため、地主は建物収去土地明渡の訴訟を申し立てることになります。

2-5 契約更新しない旨を借地人に事前通知

地主は契約期間が満了のタイミングで借地人に対して契約更新をしない旨を伝えている必要があります。先程の正当事由の流れでいうと、「借地人は地主に契約更新したい」と先に伝え、「地主に正当事由があるため、更新しない」と契約満了前に話し合いをしている必要があるということです。

2-6 買取請求権を行使したい旨を借地人から地主に伝えること

契約更新を拒否された借地人は、地主に対して建物を買い取ってほしいと買取請求権の行使を行う旨を伝えている必要があります。もちろん契約期間が満了するタイミングで伝えなければいけないため、買取請求権を行使するためには、事前に地主と今後の借地権について話し合いをしている必要があるということになります。

3. 買取請求権の流れ

ここでは買取請求権の手続きの流れについて解説します。

3-1 契約期間の満了後、借地人が建物買取請求権を行使する

始めに契約期間が満了するタイミングで、借地人は買取請求権を行使します。

地主から契約更新はしないと言われた借地人は、地主に対して建物を買い取ってほしい旨を伝えなければいけません。

請求時は、書類などを作成して提示する必要はなく、口頭で伝えれば問題ありませんが、後日通知の有無で争いになることも考えられるので、内容証明郵便で通知する方をおすすめします。

3-2 借地人と地主の間で買取価格を協議する

その後、地主と借地人の間で買取価格の協議を行います。買取価格は一般的に「時価」を基準にすると借地借家法13条1項で定めています。

時価には「未償却残高」や「鑑定評価額」などを基準にすることが多いですが、ここでは地主と借地人が納得する価格であれば問題ありません。

ただし借地人が注意すべきは、住宅ローンの残債務が残っている場合、完済しなければいけないため、買取請求権価格の「時価」が残債務以上の価格である必要があります。

さらに後の売買契約を締結するため、その契約に関する諸費用も考慮しないと自己資金をねん出して買取請求権を行使することになります。

一般的に建物の売却に関わる費用は以下の通りです。

  • 住宅ローンの残債
  • 売買契約時の仲介手数料「(売買価格×3%+6万円)×消費税」
  • 抵当権抹消登記費用(数千円程度)
  • 売買契約印紙代(数万円程度)
  • 譲渡所得税(課税譲渡所得に15%または30%を掛けた値)

上記の費用を算出したうえで、買取価格を協議する必要があります。とはいえ金額の算出は専門家である借地権に強い不動産会社や不動産鑑定士に相談してから価格を決めましょう。

また価格を巡って地主と折り合いが付かないケースもあるため、不動産会社に仲介役としてサポートしてもらうのがおすすめです。

関連記事:借地権を地主に買い取ってもらうには?交渉術や買取相場を解説

3-3 支払い後建物と土地を明け渡してもらう

価格の同意ができた後は、地主と借地人で売買契約を締結します。

締結時には仲介手数料を不動産会社に支払い、契約印紙を用意します。

契約書に署名・捺印し、地主から代金を受け取ったタイミングで、金融機関の住宅ローンを完済。抵当権抹消登記も同時に手続きします。その後、所有権移転登記がされ、建物と土地を地主へ明渡し、手続きが完了します。

4.地主は買取請求権を拒否できない

買取請求権の要件を満たしていた場合、地主は買取を拒否することはできません。

建物の価格も高額であるため、買い取りたくないと思う地主も多いです。そのため地主は借地人から買取請求権を行使されないために、契約時の条項に「買取請求権は行使できない」と記載しておく方法を検討する地主もいらっしゃるでしょう。

契約書に明記されていれば、借地人は建物を地主に買い取ってもらうことはできないと考える方もいらっしゃいますが、借地借家法第16条の「強行規定」に該当するため、無効となります。

そのため地主は借地人から買取請求権が行使された場合は建物を買い取らなければなりません。

まとめ

借地権の買取請求権は、地主に建物を買い取ってもらう制度です。買取請求権を行使する際、注意しなければいけないのは建物買取請求権の行使要件と買取価格です。借地人と地主で意見が相違することもあり、なかなか手続きが進まないケースも考えられます。

お互いの意見を尊重すると、価格に納得できず、時間がかかる可能性も高いため、借地権に強い不動産会社に仲介に入ってもらい勧めることをおすすめします。

当社は借地権を専門に取り扱う不動産会社として、これまで多くのトラブル解決やサポートを行ってきた実績がございます。

さらに相談料無料でご対応させて頂いているため、借地権に関して悩んでいる方。ぜひ中央プロパティーへご相談くださいませ。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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