\ 無料相談・査定をする /

借地権における地上権(物権)と賃借権(債権)の違いとは?|借地権の基礎知識

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:13288

借地権における地上権(物権)と賃借権(債権)の違いとは?

借地権における地上権(物権)と賃借権(債権)の違いとは?

「物権と債権の違いがよく分からない……」
「借地権付きの不動産を今後所有する予定があるけど、そもそも借地権とは?」

このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

借地権付きの物件には「地上権(物権)」または「賃借権(債権)」が設定されます。

どちらも物を使用する権利で、使用の仕方や登記の有無、譲渡や転貸する際の許可などさまざまな違いがあります。

今すでに借地権を持っている方やこれから所有する予定のある方は、それぞれの違いを把握しておく必要があるでしょう。

そこで本記事では、物権と債権の基本的な違いと借地権における地上権と賃借権も詳しく解説します。

1.物権・債権の違い

物権と債権にはどのような違いがあるのでしょうか?

どちらも財産を使用する権利ですが、「物を直接使う」か「人を介して使う」かの違いがあります。

それぞれの特徴を踏まえて比較するので、参考にしてください。

1-1.物権とは

物権とは、「物」に対してつける権利です。

物権の一例として、以下の権利が民法で定められています。

  • 所有権:特定の物を所有・収益・処分する権利

  • 地上権:他人が所有する土地を自由に使用できる権利

  • 抵当権:金融機関が債務者の土地や建物を担保にする権利

  • 地役権:ある目的のために、他人の土地を使用できる権利

  • 占有権:物を所有・支配する権利

財産を支配できる権利の一つである物権は、すべての第三者に対して「これは自分のものです!」と主張する権利を有しています。

つまり、建物の所有者は所有権(物権)を有しています。たとえ第三者が「この建物は私のものだ」と言ったとしても、所有権を有している人以外には権利の主張はできません。

図1_物権とは

(図1_物権とは)

このとき、物権が設定されたものを他人に売却すると、ものと一緒に所有権も移ります。

物権は一度設定されると、その物の上に同じ物権の設定はできません。例えば、土地の所有権が登記簿謄本上に登記されると、ほかの人は登記ができず所有権を設定できないのです。

このように、同じ物の上に同じ物権が存在できない独占性を守るために、以下のルールが定められています。

  • 最初に物権が定められた財産が最優先され、あとから定められた物権は効力を持たない

  • 物権が定められた財産が侵害・妨害されるなどの被害を受けた場合は、返還や妨害排除といった請求権が与えられる

また、物権を用いて第三者に対抗するには、公示が必要です。公示とは、公または私的な機関によって内容が登録され、誰でも閲覧できる状態にすることです。

例えば不動産では、登記簿謄本に権利などの情報を「登記」すると第三者に対抗できます。動産であれば、「引き渡し」を行うことで第三者への対抗が可能です。

建物を売却する場合は、所有権が登記簿謄本上に登記された時点で権利を有します。一方、車の譲渡では、車自体を引き渡した時点で権利を行使可能です。

1-2.債権とは

債権とは、「人」を介して物を抑制する権利です。

以下が、債権の一例です。

  • 売掛債権:商品やサービスを提供した際に、顧客に代金請求できる権利

  • 運送料債権:サービスとして物を運んだ際に、顧客に代金請求できる権利

  • 工事請負代金債権:家の建築やリフォームなどを請負い工事完了後に、顧客に代金請求できる債権

  • 不動産賃料債権:賃貸借契約を締結した際に、顧客に賃料を請求できる権利

目的物について直接的に権限を行使するのではなく、債権者は債権を通じて物を抑制できます。

そして債権自体は契約や法律に基づいて発生するため、契約書を取り交わした時点で、債務者(購入側・お金を借りる側)と債権者(販売側・お金を貸す側)という立場が生まれます。

図2_債権とは

(図2_債権とは)

例えば、AさんとBさんが売買契約を締結した場合、商品を購入したAさんに対し、Bさんは代金を請求できる権利を持ちます。
この請求権は、Aさんにのみ行使できるものであり、無関係の第三者には行使できません。

つまり債権は第三者の誰にでも主張できるのではなく、債務者に対してのみ主張できる「相対的権利」です。

債権には、同じ物の上に複数の債権をつけられる特徴があります。

例えば、住宅建築の依頼を受けた人は工事請負代金債権を有し、さらに追加で別の工事請負代金債権を有する可能性もあります。

1-3.物権と債権の比較

物権と債権の大きな違いは、目的物を直接支配できるか人を介して支配できるかです。共通点は、どちらも財産権であることが挙げられます。

それぞれの違いを比較してみましょう。

物権 債権

支配の仕方

物を直接支配できる

人を介して目的物を支配する

第三者への権利の主張

誰にでも権利を主張できる

債務者に対してのみ権利を主張できる

独占的であるか

独占的である(同じ物の上に同じ内容の物権は成立しない)

独占的ではない(同じ物の上に同じ内容の債権は成立する)

物権の物を支配するという特性から、もしも対象物が侵害された場合は物権的請求権によって取り戻すことが可能です。

例えば、Aが所有する土地に、無関係のBが住宅を建築した場合、BによってAの所有権が侵害されます。この場合、AはBに対して「建物をどけて、土地を返してくれ」と建物収去土地明渡請求を求める訴訟を起こすことが可能です。勝訴できれば、強制的に建物を撤去して、土地を取り返せます。

しかし、債権は債権を介してでしか目的物を支配できないため、物権に比べて支配力が弱い傾向にあります。例えば、株式会社Aと個人Bで売買契約を結び、Bが期日になっても支払わない場合でも、AはBから無理やりお金をもらうことはできません。

そして、物権と債権には独占的であるかの違いもあります。これは第三者に対抗できるかできないかという意味です。例えば、ある土地に対してAが所有権(物権)を持っていた場合、あとからきたBはその土地の所有権を得られません。AとBが同時に一つの土地に対して所有権を持つのは不可能なため、Bが所有権を持つには、Aから譲ってもらう必要があります。

対して、債権は同じ物の上に同じ債権が複数存在しても問題ありません。

2.借地権における物権・債権

借地権とは、第三者から土地を借りて、その土地の上に建物を建てられる権利を指します。

また借地権には、地上権と賃借権があります。地上権とは、他人の所有する土地を使用させてもらう物権のことです。一方賃借権とは、賃貸借契約を締結し、賃料を払い使用させてもらう債権のことです。

地上権と賃借権の違いを詳しく解説します。

2-1.地上権(物権)の特徴

地上権とは、他人の所有する土地を使用させてもらう物権のことです。これは土地の上に建築物を建築したり転貸したりなどができる権利です。

図3を参考に、解説します。

図3_地上権

(図3_地上権)

Aが所有する土地をBが借りる契約をかわし、地上権の行使を確定した場合、土地の借主であるBは土地を自由に利用できるため、地主の許可を取らずに住宅建築が可能です。

そして、借主側が登記簿謄本上に地上権を登記できるため、第三者へ権利の主張ができます。また地上権が設定されていると、抵当権の設定ができるため、借りる側は住宅ローンを組みやすいというメリットがあります。

ただし、地上権の存続期間は最短で30年と決まっており、地上権を有すると最低30年間は、土地所有者の自由には使えないため注意が必要です。

地上権の設定について、より詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
▶︎「地上権とは?地上権の種類と借地権・賃借権との違いを解説

2-2.賃借権(債権)の特徴

賃借権とは、賃貸借契約を締結し、賃料を払い使用させてもらう債権のことです。賃借権は債権であり、債務者にあたる賃借人は賃料を支払う義務が発生します。

図4の場合を考えてみましょう。

図4_賃借権

(図4_賃借権)

地上権と同じように、Aが所有する土地の上に借主であるBは建物を建築できますが、お互いで賃貸借契約を締結する必要があります。また賃借権では人を介して目的物を支配するため、必ず代金の支払いが発生します。

賃借権は地上権に比べると借りた側の自由が少なく、賃借権が設定された土地に建物を建てたり壊したりする場合は賃貸人の許可が必要です。

賃借権の存続期間は、20年以下です。そして賃借権には登記義務はありません。

抵当権の設定に関しては、建物のみ可能です。譲渡や転貸は地主の承諾が必要であり、担保としての提供はできません。

2-3.地上権(物権)と賃借権(債権)の違い

地上権と賃借権の違いは、大きく「登記の義務」「抵当権の設定」「譲渡と転貸の可否」「担保としての提供の可否」「存続期間」に分けて比べてみます。

地上権 賃借権

登記

しなければならない

しなくてもよい

抵当権設定

設定できる

建物にのみ設定できる

譲渡・転貸時の地主承諾

不要

必要

存続期間

最短で30年

20年以下
※ただし、借地借家法が適用される場合は最短で30年

権利

物権(物を直接支配できる権利)

債権(賃貸借契約に基づき、債権者と債務者の間でのみ主張できる権利)

地上権は賃借権に比べて、借りる側・利用する側の権利が強いため、地主が不利になりやすいです。そのため、そもそも借地権において地上権が採用されるケースは少ない傾向にあります。

しかし、所有している土地の上に、橋や地下鉄、トンネルなどの工作物を造り使用する場合は、地上権が設定されます。一般的な用途では賃借権を選択する場合が多く、実際には借地権の多くが賃借権です。

地上権と賃借権に関して、より詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

▶︎「地上権とは?地上権の種類と借地権・賃借権との違いを解説

まとめ

本記事では、物権と債権の違い、借地権の種類を詳しく解説しました。

物権と債権の違いを改めて確認してください。

物権 債権

支配の仕方

物を直接支配できる

人を介して目的物を支配する

第三者への権利の主張

誰にでも権利を主張できる

債務者に対してのみ権利を主張できる

独占的であるか

独占的である(同じ物の上に同じ内容の物権は成立しない)

独占的ではない(同じ物の上に同じ内容の債権は成立できる)

借地権の所有者が気をつけないといけないのは、地上権と賃借権です。地上権は賃借権に比べて、借りる側・利用する側の権利が圧倒的に強いため、地主が不利になりやすい傾向にあります。借地権は専門的な内容であり法律も絡むため、どのように対応したらよいのか不安な方は、不動産会社や弁護士への相談をおすすめします。中央プロパティーでは、借地権に強い専任の社内弁護士が初回のご相談時から同席し、トラブルの解決に向けて親身にお手伝いいたしますので、ぜひご利用ください。

この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

おすすめの記事はこちら