借地権
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借地権付建物とは?メリット・デメリットや購入の注意点を解説

新しく一戸建て住宅購入を検討するとき、できるだけ条件がよい物件をより安く買いたいと考える人は多いでしょう。価格の安さに着目して不動産を探す際、気を付けなければならないのが借地権付建物です。借地権付建物には、一般的な不動産売買とは異なるメリットとデメリットがあるため、慎重に検討しなければなりません。

当記事では、借地権付建物の概要やメリット・デメリット、購入するときの注意点を解説します。購入に向いている人の特徴も紹介するため、通常の土地建物と借地権付建物で迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

 

1.借地権付建物とは?借地権の種類

借地権付建物とは、土地所有権は地主が持ったまま「土地を借りる権利」と「建物の所有権」を購入する不動産のことです。土地の所有権自体は移らないため土地購入金額は抑えられるものの、土地の賃貸料を地代として払い続ける必要があります。

下記は、借地権付建物にまつわる基礎用語です。

借地権 他人が所有する土地を借りる権利
地上権 借りた土地を直接使用する権利であり、権利の売却・転貸も自由
賃借権 借りた土地を契約通りに使用する権利であり、売却・転貸は許可が必要
借地権付建物 他人が所有する土地とそこに立つ建物
借地権者 土地を借りる人。借地人
借地権設定者 土地を貸す人。地主・底地人
底地 借地権が設定されている土地
底地権 底地を自由に使用する権利
底地人 底地権の所有者。地主・借地権設定者

借地権は借地借家法で認められた権利であり、2022年時点で「旧法借地権」「普通借地権」「定期借地権」の3種類があります。

出典:e-GOV法令検索「借地借家法」

 

1-1.旧法借地権

旧法借地権は、1992年以前に結ばれた借地契約に適用される借地権です。旧法借地権では、建物の堅固さによって下記のように契約期間が異なります。

堅固な建物
(鉄筋造・鉄筋コンクリートなど)
非堅固な建物
(木造など)
最低契約期間 30年20年
存続期間 60年30年
更新後の期間 30年20年

それぞれの建物に、必ず上回る必要がある最低期間と、契約で期限を指定しなかった場合に契約の続行が確定している存続期間が定められています。また、旧法借地権には下記のような内容が定められていました。

  • 契約更新は双方の合意をもって行われる
  • 正当な理由が認められない限り、土地の明け渡しを請求できない
  • 更新に制限がない
  • 建物が老朽化などで朽ちた場合は借地権がなくなる

旧法借地権は、一度契約を結ぶと半永久的に土地を借り続けられるなど、借地人にとって有利な内容となっていました。地主からの反発が強くなったことを受け、双方が平等に利益を享受できるよう改定されたのが新法借地権です。

1992年以降の契約は、すべて新法借地権となります。旧法借地権の契約が新法借地権へ自動的に切り替わることはありません。新法借地権は、さらに普通借地権と定期借地権の2種類に分類されます。

 

1-2.普通借地権

普通借地権では、旧法借地権のように建物の構造によって契約基準に差は生じません。普通借地権の特徴は下記の通りです。

最低契約期間 30年
存続期間 30年
契約更新の条件 建物の現存
更新後の最低契約期間 初回20年・2回目以降10年
建物滅失後、再築による契約期間の延長 地主が承諾した場合に限り20年
契約終了による建物の買い取り請求 可能
契約方法 特に定めなし

普通借地権でも旧法借地権と同じく、契約更新には借地人の意向が優先されます。ただし、地代の不払いや建物が現存しないなど、正当な理由があると判断されれば地主が更新拒否することも可能です。

出典:e-GOV法令検索「借地借家法」

 

1-3.定期借地権

定期借地権は、契約更新が行われない借地権です。建物の構造や状態にかかわらず、契約満了と同時に必ず土地を返却しなければなりません。

一般定期借地権 建物譲渡特約付借地権
契約期間 50年以上30年以上
契約終了時の建物 取り壊す地主が時価で買い取る
契約方法 書面特に定めなし

一般定期借地権の場合、建物の取り壊し費用は原則借地人が負担します。建物譲渡特約付借地権では建物の買い取りとともに借地権は消滅するものの、建物の賃貸借契約へ切り替えて住み続けることも可能です。

なお、定期借地権には事業用借地権もありますが、こちらは用途が事業用建物に限定されており、家を建てることはできません。

出典:国土交通省「定期借地権の解説」

 

2.借地権付建物を購入するメリット

新しく家を手に入れる際、土地と建物をセットで購入する人が多いでしょう。しかし、土地を購入せずに借地権付建物を選ぶ場合、下記のようなメリットがあります。

  • 購入価格を抑えられる
  • 土地に関する税金を払う必要がない
  • 半永久的に住み続けられる場合がある

ここでは、借地権付建物を購入するメリットについて詳しく解説します。

 

2-1.購入価格を抑えられる

借地権付建物は、家の初期費用を安価に抑えられることが大きなメリットです。借地権付建物では土地を購入しないため、必要な金額は借地権分の価格のみです。地代を払い続ける必要はありますが、浮いた分の予算を建物の建築費用や設備の充実に回すこともできます。土地と建物をセットで購入する場合よりも安価に、こだわりのマイホームを手に入れられるでしょう。

借地権の価格は借地権割合によって異なるものの、土地代の60~80%程度に設定されているケースが一般的です。ただし、借地権の価格に関しては明確な相場が制定されていないため、土地のある地域や地主の意向などでも変動します。借地権割合について詳しく把握したい場合は、下記のリンク先をご一読ください。

借地権割合とは?調べ方や評価額の計算方法も解説

 

2-2.土地に関する税金を払う必要がない

土地には、固定資産税や都市計画税といった税金がかかります。ただし、課税されるのは土地所有者である地主だけであり、土地を借りて住んでいる借地人に支払い義務は生じません。同じ広さの土地に住んでいても、毎年かかる税金のコストを抑えられることが借地権付建物のメリットと言えるでしょう。

ただし、建物の取得や借地権の相続などに対しては通常通り下記の税金がかかります。

  • 不動産取得税
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 相続税
  • 贈与税

出典:東京主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

 

2-3.半永久的に住み続けられる場合がある

借地権契約には存続期限が定められており、契約が満了したら土地は所有者である地主に返却しなければなりません。しかし、借地権付建物の契約が旧法借地権・普通借地権の場合、借地権の契約を更新できます。

借地権の契約では基本的に借地人の意向が優先されるため、更新を希望すれば無理やり契約解消される恐れはありません。地主側から立ち退き要求や更新拒絶するときは、正当事由があると認められる必要があります。

何をもって正当とするかは個々の事情にもよりますが、土地を使用する必要性や利用状況などが重視される傾向です。「今住んでいる土地にこれからも住み続けたい」と言う場合、契約違反せず地代を払い、常識的に使用していれば、ほとんどのケースで契約更新が認められます。

よほどのことがない限り長期間住み続ける権利が保証されているため、安心して借りることができます。

 

3.借地権付建物を購入するデメリット

借地権付建物の購入にはメリットがある一方、下記のようなデメリットがあることも把握しておかなければなりません。

  • 地主に地代を払い続ける必要がある
  • 銀行から融資を受けられないことがある
  • 建て替えやリフォームに地主の許可がいる
  • 定期借地権だと更地にして返還しなくてはならない

ここでは、借地権付建物を購入するデメリットについて解説します。

 

3-1.地主に地代を払い続ける必要がある

家を買う初期費用は抑えられるものの、ランニングコストが必要になることは借地権付建物のデメリットの1つです。借地権付建物は土地を借りる権利を買い取るだけであり、土地そのものは地主が所有し続けます。あくまでも「対価を払って借りている」状態であるため、「地代」として毎月の使用料金を支払い続けなければなりません。

地代は地主との契約によって異なりますが、固定資産税の3~5倍程度が一般的な相場です。また、地代は周辺の土地相場によって見直されることが多く、地域の環境が充実したり利便性が上がったりした場合は値上げを要求される可能性もあります。

 

3-2.銀行から融資を受けられないことがある

金融機関によっては借地権付建物を住宅ローンの査定対象にしないところがあるため、注意が必要です。借地権付建物の場合、土地の所有者は地主です。基本的に借地人が抵当権を設定できるのは建物部分のみとなり、土地は担保として見なされません。

法的には借地権に対して抵当権を設定しても問題ありませんが、多くの金融機関が地主の許可を求めます。ただし借地権への抵当権設定は地主にとって特にメリットがなく、ときにはデメリットにもなるため、承諾を得られる可能性は低いと言えるでしょう。

借地権付建物は、土地と建物の両方に抵当権を設定できる場合よりも担保評価が下がり、融資が受けられない・融資額が下がる可能性があるため、注意が必要です。

 

3-3.建て替えやリフォームに地主の許可がいる

建て替えや増改築、大規模なリフォームを行う際、地主の許可が必要となるケースがほとんどです。借地権付建物では土地の使用方法が細かく指定されている場合が多く、増改築禁止特約が盛り込まれていることも珍しくありません。無許可で工事を行うと、契約解除に発展する場合があるため注意が必要です。

雨漏りの修理や壁紙の張り替えといった小規模な修繕であれば、無許可でも行えます。しかし、どこまでを小規模と見なすかは人によって基準が異なるため、後々のトラブルを避けるためにも都度地主に許可を求めたほうがよいでしょう。

 

3-4.定期借地権だと更地にして返還しなくてはならない

借地権付建物の中でも、定期借地権は契約の更新ができません。基本的に、契約期間が満了したら更地に戻してから土地を返還する必要があります。また、更地にするための解体費用などは借地人持ちです。

一般定期借地権で契約している場合、居住期間の長さや建物の状態にかかわらず、期間満了とともに立ち退かなければならないことを覚えておきましょう。建物譲渡特約付借地権で契約した場合、建物に資産価値があれば地主が時価で買い取るため、そのまま借家として住み続けられる場合もあります。

 

4.借地権付建物は売却できる?

借地権付建物が不要になった場合は売却が可能です。ただし、借地権付建物の売却は基本的に借地そのものを売るのではなく、「借地契約上の借地人としての地位を売却する」ことになります。そのため、借地権付建物を売却する際は地主の許可が必要となり、承諾にあたって承諾料などを請求される場合がある点には注意が必要です。

借地権付建物の売却方法は、主に下記の選択肢が考えられます。

  • 建物と借地権を第三者に売却する
  • 建物を取り壊し、借地権を第三者に売却する
  • 借地権を地主に売却する
  • 借地権を地主の持つ底地権と合わせて土地そのものを第三者に売却する
  • 借地と底地を等価交換して所有権を得た土地を第三者に売却する

借地権付建物の売却については、下記リンク先もご参考ください。

借地権の売却方法とは|売却の流れや借地権の相場も解説

また、契約内容の折り合いがつかなかった場合などは、地主からの許可が得られないケースもあります。

 

4-1.売却の際、地主の許可が下りなかったら?

借地権付建物の売却に地主の許可が下りず、話し合いで解決する見込みがない場合は、裁判所から許可を得ることで売却が可能です。裁判所に土地賃借権譲渡許可申立を行い、地主にとって著しく不利な条件がないことを認められれば、地主の承諾に代わる許可が与えられます。

ただし、裁判所からの許可を得て借地権付建物を売却する場合でも、名義書き換えにあたって承諾料の支払いが必要となるケースがほとんどです。また、地主が介入権を行使して自ら借地権を買い取った場合、借地人が売却相手を選べなくなる点も覚えておきましょう。

 

5.借地権付建物を購入するときの注意点

借地権付建物は土地付きの建物より特殊な権利構造をしているため、購入して住むときには下記のような注意点があります。

  • 更新料を支払うケースがある
  • 相続税の対象になる
  • 地主とのトラブルが発生しないよう注意する

注意点を把握しておくことでトラブルを未然に防ぎ、安心して長く住み続けられるでしょう。ここでは、借地権付建物を購入するときの注意点を3つ解説します。

 

5-1.更新料を支払うケースがある

多くの場合、借地権付建物の契約更新時には更新料を請求されます。法律的には借地権の更新料について定められていないため、双方の合意がなければ支払い義務は生じません。ただし、下記の条件に該当する場合は支払う必要があります。

  • 契約書に更新料の支払いが明記されている
  • 借地人と地主の間に合意がある

なお、明確な合意がなくても過去に更新料の支払い実績がある場合は、裁判でも支払い義務ありと判断されるケースがほとんどです。また、将来建て替えやリフォームが必要になった場合、地主の許可が必要となるため、地主との関係性は良好に保つ必要があります。金額が常識の範囲内であれば気持ちよく支払ったほうがよいでしょう。

一般的に、借地権更新料の相場は借地権価格の5%程度と言われています。ただし、トラブルが発生した際に現在裁判所が実際に判断している金額は、更地価格の3%程度です。

出典:国土交通省「定期借地権の解説」

まとまった出費になることが多いため、更新のタイミングと更新料についてはしっかりと把握しておきましょう。

借地権の更新料は支払うべき?更新料の計算方法やトラブルの対処法も

 

5-2.相続税の対象になる

借地権は相続財産の1つであり、相続税の課税対象です。これは普通借地権・定期借地権のどちらでも変わりません。

普通借地権の相続税評価額は、「借地権割合」を更地状態の土地評価額にかけることで算出できます。借地権割合は国税局が設定しており、地域・不動産ごとに割合が異なります。

土地の評価額・借地権割合は、路線数や倍率表などで確認が可能です。定期借地権の場合、土地の評価額に対して基準年利率や複利年金現価率など複数の要因を絡めて計算するため、複雑な計算が必要になります。

借地権の相続に関する詳細は、下記リンク先もご覧ください。

借地権を相続したら?よくあるトラブルと相続放棄手順も解説

 

5-3.地主とのトラブルが発生しないよう注意する

借地権は地主とトラブルが起こりやすい傾向があります。下記は、借地権付建物に関して起こり得るトラブル事例です。

  • 地代の値上げ・値下げ交渉
  • 地代の滞納
  • 更新料の支払い
  • 借地の立ち退き要求
  • 借地権の売買交渉
  • 借地権の相続

借地権で起こりやすいトラブルは?対処法も解説

地主とトラブルが発生した際、裁判所に申し立てて解決することも可能です。しかし「土地に長く住み続けたい」「円満に譲り渡したい」と考えるのであれば、話し合いで解決するほうがよいでしょう。

地主としっかり話し合い、双方が恨みなく納得するためには、普段から地主と良好な関係を築くように心がけることがポイントです。

 

6.借地権付建物はどのような人に向いている?

借地権付建物にはさまざまなメリット・デメリットがあるため、購入にあたっては向いている人と向いていない人に分かれます。以下の条件に当てはまる場合は、借地権付建物の購入を検討してみてもよいでしょう。

・初期費用を抑えて家を建てたい人

土地ごと購入する場合に比べ、マイホーム購入費用を抑えられることが、借地権付建物の魅力です。土地を購入すると建物代が足りないと感じる人や、契約満了後別の土地に新しく家を建て直す資金を温存したいと考える人には向いていると言えるでしょう。また、将来的に所有地の処分を考える必要がないため、誰かに建物を相続させる予定がない人にも向いています。

・好立地の場所に家を建てたい人

周辺環境や交通手段が整ったエリアの不動産は人気があり、土地価格も高額です。好立地の土地を手放したがらない地主は少なくありません。「手放す気はないが貸すなら構わない」と考える人もいるため、立地を優先して家を建てたい場合は借地権付建物も候補に入れるとよいでしょう。ライフステージの変化に伴った住み替えを考えている人にも向いた選択肢です。

 

まとめ

借地権付建物は、地主から家を建てる土地の使用権を期限付きで購入します。初期費用や税金を抑えられる一方、地代や更新料の支払いが発生するため、最終的なコストについては十分な検討が必要です。借地権付建物を購入するか否かは、自分自身のライフスタイルが変化する可能性も考慮してプランを検討することをおすすめします。

借地権付建物が不要となった場合は、借地権を地主や第三者に売却することも可能です。ただし、借地権の売買には地主の承諾が必要となります。借地権付建物の購入・売却を検討している人は、ぜひ一度中央プロパティの専門家にご相談ください。

この記事の監修者
山口 義重氏名 山口 義重
会社名 ワールド法律会計事務所
資格 税理士
東京税理士会登録番号::117651
経歴
  • 中央大学法学部卒業
  • 国内大手生命保険会社、税理士法人レガシィ資産税部門、税理士法人フロンティア税務会計
  • 会計部門を経て平成26年1月より現職
書籍情報
  • 【DVD】9割が知らない「所得拡大促進税制」で手元にお金を残す方法

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