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法定存続期間よりも短い期間での契約|弁護士Q&A

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作成日:
コンテンツ番号:2237

法定存続期間よりも短い期間での契約

質問 20年前に地主Aと借地権設定契約を締結しましたが、契約終了を通告され、立ち退きを要求されています。立ち退かなければならないのですか?(昭和44年11月26日判決参考)

地主に借地人が『出て行って!』と言われている図

立ち退く必要はありません。

詳細解説

借地権の契約期間の原則

借地借家法3条:「借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

とあります。条文では、存続期間が30年で、それより長い契約期間(例:40年)であれば、契約期間はその期間になるということを意味しています。

それでは、その逆の短い期間はどうでしょうか。仮に20年や、10年と短い期間を当事者が合意した契約は有効なのでしょうか。
日本では契約自由の原則といって、公序良俗に反しない限りは基本的には当事者間で契約内容を決めるのは自由という考えがあり、それに従えば契約期間も自由に決めることが出来るのでは?ということです。

参考判例

それに関する参考判例を見てみましょう。

♦参考判例1:昭和44年11月26日判決

判旨:「借地権の存続期間に関しては(30年とする)、…その趣旨は、借地権者を保護するため、法は、借地権の存続期間…三〇年と法定するとともに、(三〇年以上の)存続期間を定めた場合に限り、前記法定の期間にかかわらす、右約定の期間をもつて有効なものと認めたものと解するのか、借地権者を保護することを建前とした前記法条の趣旨に照らし、相当てある。したかつて、…期間より短い存続期間を定めたときはその存続期間の約定は、同法二条の規定に反する契約条件にして借地権者に不利なものに該当し、同法一一条により、これを定めなかつたものとみなされ、当該借地権の存続期間は、右二条一項本文所定の法定期間によつて律せられることになるといわなけれはならない。

としています。
借地借家法が法定存続期間を定めたのは、借地人を保護することが大きな目的です。立場上借地人の方が不利になることが多かったことから、存続期間を定めています。これは強行法規といって、その内容に反する契約は認められません。つまり、30年の法定期間よりも短い20年などとすることは原則認められず、法定期間での契約なります。

その他の判例

例えば、1日だけ短い場合などは、どうなるのでしょうか。上記の原則論から言えば法律に反してしまうことになりますが、一日程度であれば、そこまで大きな差はないのでは?との判断も考えられます。

♦参考判例2:最判昭57年2月4日

判旨:「原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、本件借地契約における借地期間を昭和三六年一月八日から昭和五六年一月七日までとする旨の約定は、その形式、文言にかかわらず借地権の存続期間を二〇年と定める趣旨のものと認めるのが相当であるとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。」

としています。
つまり、一日短い程度の契約であれば、問題はないとしています。ただ、法定契約期間よりどの程度短くても適法かは明確ではないので、契約を締結する際は、契約期間については注意をし、後々トラブルにならないようにすることが重要になります。

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この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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