借地権の譲渡承諾料相場はいくら?地主が損をしないための交渉術
目次
借地人から突然「借地権を第三者に売りたいので、譲渡を承諾してほしい」と言われたとき、多くの地主がまず悩むのが 「譲渡承諾料はいくらが相場なのか」 という点です。
安く承諾してしまえば大きな損失になりますし、逆に強硬に拒否すれば、裁判(借地非訟)に発展する可能性もあります。
本記事では、地主が損をしないために知っておくべき譲渡承諾料の相場と、実務で使える交渉術をわかりやすく解説します。
借地権の「譲渡承諾料」とは?
譲渡承諾料とは、借地人が借地権を第三者に譲渡(売却)する際に、地主が承諾する対価として受け取る金銭です。
借地権はあくまで「他人の土地を借りる権利」であり、地主の承諾なく第三者へ勝手に譲渡することはできません。
そのため、
- 地主が不利益を被る可能性
- 将来のリスク増大
これらを金銭的に補填する意味合いで、譲渡承諾料が支払われます。
法律上、支払い義務はない
民法第612条により、借主が借地権を譲渡するには地主の承諾が必要です。
しかし、法律で「承諾料をいくら支払え」という明文規定はありません。
あくまで「地主様の承諾を得るための慣習的な対価」ですが、実務上は後述する「借地非訟(裁判)」の手続きにおいても、承諾料の支払いが前提となります。
承諾料と更新料・名義書換料との違い
- 譲渡承諾料(名義書換料): 第三者へ権利が移る際に発生。
- 更新料: 契約期間が満了し、契約を継続する際に発生。
- 建替承諾料: 借地上の建物を建て替える際に発生。
これらは別物です。譲渡のタイミングで「建替え」も伴う場合は、両方の承諾料を合算して交渉するのが一般的です。
借地権の譲渡承諾料の相場はいくら?
実務上の相場は、借地権価格の5%〜15%程度、特に多いのが 約10% です。
たとえば、
- 借地権価格:3,000万円
→ 譲渡承諾料の目安:300万円前後
これはあくまで目安であり、条件次第で上下します。
金額幅が大きくなる理由(地域・契約内容)
譲渡承諾料は一律ではありません。
次のような要因で大きく変わります。
- 都市部か地方か(地価水準)
- 旧法借地か新法借地か
- 契約書に承諾料の記載があるか
- 地代が適正水準かどうか
特に都心部・商業地では、10%を超えるケースも珍しくありません。
実務で多い金額例(数百万円〜数千万円)
実際の相談現場では、
- 住宅地:200万〜500万円程度
- 商業地・都心部:1,000万円超
- 一等地・高額借地権:数千万円
というケースもあります。
譲渡承諾料はどうやって決まる?相場を左右する5つの要素
① 借地権の価格(路線価・実勢価格)
すべてのベースになるのが借地権価格です。
路線価だけでなく、実際に売買される価格(実勢価格)が重視されます。
② 契約書に承諾料の定めがあるか
契約書に「譲渡承諾料は借地権価格の○%とする」などの定めがあれば、交渉はその範囲内が基本になります。
ただし、記載がなければ相場ベースで請求可能です。
③ 借地の利用状況・建物の内容
- 老朽化した建物
- 違法増築がある
- 商業利用でトラブルリスクが高い
こうした場合、地主のリスクは高くなり、承諾料も高くなりやすくなります。
④ 譲渡先(個人・法人・反社リスク)
新借主が誰かも重要です。
- 資力の乏しい個人
- 事業内容が不明確な法人
の場合、将来の地代滞納リスクを理由に、承諾料を上乗せする合理性があります。
⑤ 地主が被る将来リスクの大きさ
借地権譲渡は、地主にとって「一生付き合う相手」が変わる行為です。
そのリスクを金銭で調整するのが承諾料の本質です。
地主が損をしないための「交渉術」5選
借地権の譲渡は、単にお金をもらうだけでなく、契約内容を正常化・有利化する最大のチャンスです。
1. 地代の値上げ交渉をセットで行う
譲渡は「新借主との契約」です。現在の地代が周辺相場より低い場合、承諾の条件として地代改定(値上げ)を提示しましょう。
「新しい借主になるなら、今の適正相場に合わせるのが条件」という論理が通ります。
2. 更新料や建替承諾料の再確認・条文化
古い契約では更新料の規定が曖昧なことが多いです。
将来のトラブルを防ぐため、次回の更新料の算定基準(例:更地価格の○%)などを承諾書に明記させましょう。
3. 「借地非訟」を過度に恐れない
借主が「地主が承諾してくれない」と裁判所に申し立てるのが借地非訟です。
地主様は「裁判は面倒」と避けがちですが、裁判所も通常は相場(10%程度)の支払いを命じます。無理な安値で妥協する必要はありません。
4. 名義変更だけでなく「契約期間」をリセットしない
新借主になっても、基本は「旧借主の残り期間」を引き継ぎます。
新しく30年などの期間を設定し直す場合は、その分「新規契約」に近い承諾料を上乗せ交渉すべきです。
5. 地主による「優先買い取り」の検討
第三者に売らせるのではなく、地主様が借地権を買い戻す方法です。
底地と借地権が合体して「完全な所有権」に戻れば、土地の価値は数倍に跳ね上がります。
承諾料をもらうより、長期的に見て大きな利益になる場合があります。
承諾料以外にチェックすべき「損をしないポイント」
- 買主(新借主)の属性:
支払い能力はあるか、反社会的勢力ではないか、近隣トラブルを起こしそうな職種でないかを厳格にチェックします。 - 境界確定の有無:
譲渡を機に、借主の費用負担で境界確定測量を行わせましょう。将来の売却や相続の際に地主様の負担が減ります。 - 建物の状態:
違法建築や雨漏りの放置がないか。問題があれば承諾前に是正させることが鉄則です。
譲渡を承諾しないとどうなる?地主側のリスクと注意点
①借地人は裁判所に「代諾許可」を求められる
地主様が正当な理由なく拒否し続けると、借主は裁判所から「地主の代わりの許可」を得る手続き(借地非訟)をとります。
②裁判になった場合の承諾料はどう決まる?
裁判所が選任した鑑定士が評価額を決め、それに基づき承諾料が決定します。
③結果的に「相場以下」になるケースも
地主側の態度が不誠実とみなされたり、土地に特殊な事情があったりする場合、相場の10%を下回る決定が出るリスクもあります。
「意固地に拒否」するのではなく、「条件交渉の場」として活用するのが賢明です。
専門家に相談すべきケースとは?
- 借地権価格が高額な場合:
1%の差で数百万円変わるため、鑑定士の視点が必要です。 - 相続・法人譲渡が絡む場合:
税務上の問題(みなし贈与など)が発生する可能性があります。 - 過去にトラブルがある借地人の場合:
直接交渉は感情的になりやすいため、弁護士を介するのがスムーズです。
借地権の譲渡承諾料でよくある質問
Q:譲渡承諾料に税金はかかる?
A:かかります。
地主様が個人の場合は「不動産所得」として所得税の対象になります。
Q:分割払いに応じるべき?
A:おすすめしません。
譲渡承諾料は一括払いが原則です。支払えないような買主は、将来の地代支払いも滞るリスクがあります。
Q:相場より高く請求すると無効になる?
A:公序良俗に反するほど高額でなければ無効にはなりませんが、 借主が「借地非訟」を申し立てるきっかけになり、結局相場に落ち着いてしまいます。
Q:契約書に定めがない場合はいくら請求できる?
A:定めがなくても相場の10%を請求できます。
借地権の譲渡には地主の承諾が必要であるという民法の規定が優先されるからです。

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まとめ
借地権の譲渡承諾料は、単なる臨時収入ではありません。
地主様の大切な資産である土地の権利関係を整理し、将来にわたって収益性を高めるための重要なターニングポイントです。
「相場がわからない」「借主の不動産業者に押し切られそう」と不安を感じたら、まずはプロに相談することをお勧めします。
借地権の譲渡承諾料に関するお悩みは、借地権専門で10年以上の実績、センチュリー21中央プロパティーへご相談ください。
地主様の利益を守る最適なアドバイスをいたします。

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この記事の監修者
弁護士
エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍するスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。
特に借地権における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、借地権更新料問題、地代増減額請求、借地非訟事件、建物収去土地明渡請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。
著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。