旧法借地権を相続する手続きと注意点は?名義変更や地主対応を解説
目次
相続した実家が旧法借地権付きの建物だった場合、相続手続きに不安を感じる方は少なくありません。
本記事では、旧法借地権をスムーズに相続する手続きや、地主への連絡方法、費用、注意すべきトラブルについて分かりやすく解説します。
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そもそも旧法借地権とは?
借地権とは、「地主から土地を借り、建物を立てて利用する権利」のことです。
つまり、借地権付きの実家を相続する場合、家(建物)だけでなくこの権利も引き継ぐということになります。
一口に借地権といっても契約締結の時期によってその種類は異なるため、以下の2つの視点から、今回ご紹介する「旧法借地権」の概要を解説していきます。
- 旧法借地権=1992年7月以前に結ばれた借地契約に適用される権利
- 旧法借地権の特徴と新法借地権との違い
1992年7月以前から存在する借地権付き建物は旧法の可能性大
旧法借地権は、1992年7月31日以前に結ばれた借地契約に適用される借地権のことで、「旧借地権」とも呼ばれます。
一方で、1992年8月以降に結ばれた借地契約には新法に基づく借地権(普通借地権・定期借地権)が適用されます。
相続時には土地の賃貸借契約書で調べる必要はありますが、1992年7月31日以前から借地にご実家が存在する場合、旧法借地権である可能性が濃厚です。
旧法借地権は借地人の権利が非常に強い
旧法借地権の最大の特徴は、「借地人の権利が非常に強い」ことです。
| 借地権の種類 | 契約の時期 | 特徴 | 更新 | 契約期間 |
| 旧法借地権 | 1992年7月31日以前 | ・借地人の権利が強く、正当事由がない限り半永久的に更新可能。 ・一般的な戸建て住宅に多い。 ・現在最もよく見られるタイプの借地権。 | あり | ・最低20年 |
| 普通借地権(新法) | 1992年8月1日以降 | ・旧法に近いが、更新拒絶の要件が明確化し、期間は短くなる傾向。 ・一般的な戸建て住宅に多い。 | あり | ・初回更新まで:最低20年 ・更新2回目以降:最低10年 |
| 定期借地権 (新法) | ・期間満了で借地権が消滅。更新はなく、更地返還が必須。 ・マンションや建売住宅に多い。 | なし | ・最低50年 |
上記の表の通り、旧法借地権は新法の借地権に比べて契約期間が長く、また更新拒否もされづらいことがメリットといえます。
このように、旧法借地権は「長期に渡り安定的に住み続けられる借地権」であるといえます。
旧法借地権の相続に地主の許可は不要!
旧法借地権の相続時のポイントとして、次の2点をご紹介します。
- 法定相続人が相続する場合は地主の承諾不要
- 原則として「名義変更料(承諾料)」の支払いも不要
ポイント①法定相続人が相続する場合は地主の承諾不要
配偶者や子供などの法定相続人が借地権を相続するのは「権利の承継」であり、新契約ではありません。
そのため、旧法借地権の相続に地主の承諾は不要です。
ただし、地主の心証を損ねないために、後述の通り「相続した旨」の一方は必ず入れるようにしましょう。
ポイント②原則として「名義変更料(承諾料)」の支払いも不要
相続の承諾が不要であることから、「名義変更料」「承諾料」といった一時金の支払い義務も原則ありません。
これが売買であれば承諾料が発生するのですが、相続は先述の通り被相続人からそのまま権利を引き継ぐ行為であるため、承諾もそのためのお金も不要なのです。
ただし、賃貸借契約書に「相続時に承諾料を支払うものとする」などの一文が明記されている場合など、支払わざるを得ないケースもあるため、相続時にはしっかりと確認しましょう。
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旧法借地権を相続する手続きの具体的な流れ
ここからは、旧法借地権の相続手続きの流れについて、次の5つのステップから解説していきます。借地権相続の相続は、次の5つのステップに沿って手続きを進めます。
- 遺言書の確認
- 遺産分割協議
- 地主への連絡
- 相続登記
- 相続税の申告・納税
Step1.遺言書の確認
まずは、被相続人(財産を遺す人)の遺言書の有無を確認してください。
自宅のほか、銀行の貸金庫や法務局、公証役場などに保管されている可能性もあるため、相続発生時には所在の確認を急ぎましょう。
遺言書があれば、原則としてその内容に従って相続を進めます。
ただし、遺留分(法定相続人が受け取れる財産の最低限の取り分)が保証されていない内容であるなど、内容に不満がある場合には、Step2の遺産分割協議を開くことになります。
Step2. 遺産分割協議
遺言書がない場合、あるいは上記の通り内容に不満がある場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を行います。
遺産分割協議は、「誰がどの財産をどのくらいの割合で相続するかを話し合いで決める」ための協議です。
協議成立後は「遺産分割協議書」を作成し、全員が署名・捺印を行います。
なお、旧法借地権を兄弟などの複数人の共有名義で相続すると、将来的な活用方法などを巡って相続人同士のトラブルになる可能性がありますので、誰か1人の単独名義で相続することを強く推奨します。
Step3. 地主への連絡
旧法借地権の相続人が決まったら、地主へその旨の連絡を入れましょう。
先述の通り、相続には地主の承諾や承諾料の支払いは不要であるものの、相続したこと自体を黙っていると、「土地を貸しているのに相続の連絡も寄越さないのか」と心証を悪くすることもあります。
相続後に地主との良好な関係を続けるためにも、このタイミングで欠かさず連絡することに留意してください。
Step4. 相続登記
相続人が決まったら、法務局で相続登記を行います。これは、相続した建物を相続人の名義に変更する手続きです。
また、相続登記は2024年から義務化されており、怠ると10万円以下の過料を課される可能性もあります。
そのため、司法書士に依頼し、かならず相続登記を行いましょう。
司法書士に相続登記を依頼した場合の費用相場
司法書士に相続登記を依頼した場合の費用相場は以下の通りです。
| 項目 | 費用の目安 |
| 司法書士報酬 | 10万円程度 |
| 書類代等 | 数千円~1万円程度 |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額 × 0.4% ※相続した借地権つき建物の評価額が5,000万円の場合は5,000万円×0.4%=20万円 |
このうち、司法書士報酬は相続人数や案件の複雑さなどによって変動します。
Step5. 相続税の申告・納税
借地権は相続税の課税対象であるため、遺産総額が基礎控除額を超える場合、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に申告・納税が必要になります。
不備がないよう、税理士に相談して手続きを進めましょう。
旧法借地権の相続時によくあるトラブルと注意点
旧法借地権の相続で地主との間で発生しがちなトラブルとしては、以下の5点が代表的です。
- 立ち退き(土地の返還)を要求される
- 借地契約の更新を拒否される
- 地代の値上げを要求される
- 建物の増改築・建て替えを拒否される
- 借地権の売却を拒否される
それぞれの対処法についてもご紹介していますので、ぜひご参照ください。
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トラブル①立ち退き(土地の返還)を要求される
旧法借地権を相続したタイミングで、地主から立ち退き(土地の返還)を要求されることがあります。
特に、相続により建物が空き家になった場合に多く、「住む人間がいないのなら土地を返せ」という理由が一般的です。
【対処法】正当事由がなければ応じる必要はない
建物が空き家になっても、地主からの立ち退き要求に応じる必要はありません。
旧法借地権において、地主が借地契約の解除や更新拒絶によって立ち退きを要求できるのは、借地人に地代滞納などの重大な契約違反がある場合などの「正当事由」があるケースに限定されます。
相続で建物が空き家になったことは正当事由に当たらないため、立ち退き要求の撤回を求める理性的な交渉をしてみましょう。
トラブル②借地契約の更新を拒否される
借地契約の更新を拒否されるトラブルもたびたび発生します。
特に、相続と借地契約の更新時期が重なったタイミングで起こることが多く、地主が自分の土地を取り戻そうとして借地権の更新を拒否するのが一般的です。
【対処法】正当事由がなければ応じる必要はない
地主からの一方的な更新拒絶に応じて土地を返還する必要はありません。
立ち退きと同じく、旧法借地権においては、正当事由がない限り地主は契約更新を拒否することはできないのです。
旧借地法により定められた借地人の強い権利であるため、地主に対してその旨を冷静に伝えましょう。
トラブル③地代の値上げを要求される
借地権の相続に伴い、地主から地代の値上げを要求されるトラブルも少なくありません。
将来も変わらず借地に住み続けたい場合、毎月(あるいは毎年)の支払いが必要な地代の値上げは、家計にとって大きな負担となります。
【対処法】理由によるが法外な値上げ要求に応じる義務はない
地代の値上げには、地価や経済情勢の大きな変動などの客観的な理由が不可欠であるため、まずは、地主の地代値上げに対して上記のような根拠があるかを尋ねてください。
その回答を踏まえ、根拠のある妥当な理由であれば値上げに応じざるを得ない場合もあります。
ただし、その上でも法外すぎる値上げの場合は弁護士などに相談し、最終的には家庭裁判所に法的な手続きを求めることも可能です。
トラブル④建物の増改築・建て替えを拒否される
相続のタイミングで地主に家の増改築や建て替えを交渉したものの、それが拒否されることもあります。
建物が新しく丈夫になった場合、地主にとっては土地を取り返す可能性が低くなるため、そのような状況を避けたいと考えるのです。
【対処法】交渉を重ねても変わらなければ法的手段を用いる
増改築や建て替えの拒否は地主側の正当な権利であり、地道に交渉を続けなければなりません。
その際は、土地を占有したいのではなく、「家が古くて危ない・あるいは不便なので、安心して暮らせるよう許可してほしい」など、やむを得ない事情であることを伝えましょう。
どうしても話がまとまらない場合、裁判所から地主に変わる承諾を出してもらうために「借地非訟」という法的手段を用いることができますが、これは負担が大きい上に地主との関係性にも致命的な亀裂が入るため、あくまで最終手段と考えましょう。
トラブル⑤借地権の売却を拒否される
借地に住む人がいなくなった場合には「借地権を売りたい」と考える相続人も多く、このような場合に地主が承諾しないというトラブルも頻繁に発生します。
地主によっては、安定した地代収入が消えることや、新しい借地人との関係構築の手間などを不安視し、借地権の売却を承諾してくれないのです。
【対処法】交渉を重ねても変わらなければ法的手段を用いる
増改築・建て替えと同様、地主が売却を拒否するのは正当な権利であるため、地道に交渉を続けていかなければなりません。
交渉がまとまらない場合、最終手段として裁判所に「借地非訟」という法的手段を申し立てることが可能です。
こちらも個人で進めるにはハードルの高い手段となるため、やむを得ず借地非訟を選ぶ場合は借地権に実績のある不動産業者などの専門家を頼りましょう。
まとめ
旧法借地権は、借地人の権利が強く安定して長期間住み続けられる借地権です。
相続の際、地主の承諾や承諾金の支払いは不要ですが、相手方の心証を損ねないよう相続した旨の連絡は必ず入れましょう。
また、相続時にトラブルが発生した際は、旧法借地権で保護された権利を根拠とし、不利益を被らないよう適切な対応を取ることが大切です。
しかし、相続したての時点では地主に比べて知識が少なく、ともすれば不利な条件を飲んでしまうことも大いにありえます。
そんな不安をお持ちの方は、ぜひ当社にお声がけください。
センチュリー21中央プロパティーは、社内弁護士を抱える借地権専門の不動産会社として、多くの相続トラブルを解決に導いてきました。
旧法借地権を相続した際の不明点や懸念、さらに売却のご相談など、ご要望に応じて最適なサポートをお約束いたします。
まずは一度、お気軽にお声がけください。
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旧法借地権の相続に関するよくある質問
Q.借地上の建物が古くても相続できますか?
A. はい、問題なく相続できます。
ただし倒壊の危険がある廃屋は契約解除のリスクがあるため、リフォームや建て替えの必要があります。
その際は地主の承諾と承諾金の支払いが必要になるため、留意しておきましょう。
Q.旧法借地権付き建物だけを相続放棄できますか?
A. 借地権付き建物だけの放棄はできません。
相続放棄は、預貯金などプラスの財産も、借金などマイナスの財産も、全ての財産が対象です。
旧法借地権付き建物のみ不要なら、相続後に売却するか、地主へ放棄(返還)の交渉をする必要があります。
センチュリー21中央プロパティーは、借地権専門の不動産仲介会社として多くの実績を積み上げてまいりました。
売却をご検討の際は、ぜひ一度お声がけください。
Q.地主との賃貸借契約書が見つからない場合は?
A. 賃貸借契約書を紛失していても借地権は有効です。
地代を支払っており、建物が登記されていれば借地権の権利は成立しています。
もし契約書の紛失を理由に地主から「新契約書を作ろう」と提案された際は、内容が不利でないか入念な確認が必要です。
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この記事の監修者
司法書士
司法書士・司法書士ALBA総合事務所 代表
平成16年に司法書士試験合格以来、一貫して司法書士業界で研鑽を積む。東京司法書士会新宿支部所属。
特に借地権に関する登記手続き(借地権設定登記、名義変更、解除など)において、豊富な実績と深い知見を持つ。複雑な借地権の権利関係を整理し、スムーズな登記を実現する専門家。
また、不動産登記全般(共有持分、権利変更など)や、会社設立などの商業(法人)登記にも精通。相続手続きや債務整理の経験も活かし、多岐にわたる法的ニーズに対応可能。