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【弁護士Q&A】借地権の抵当権設定について教えてください。

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作成日:
コンテンツ番号:13515

【弁護士Q&A】借地権の抵当権設定について教えてください。

質問 経営している会社の事業資金が必要で、現在住んでいる借地権付きの戸建てを担保にローンを借り入れたいと考えています。銀行に行ったところ、借地権付き建物の場合には、抵当権設定の許可を地主にもらう必要があると言われました。 借地権付き建物に抵当権を設定する場合、地主の許可は必要なのでしょうか?

まず、借地上の建物に抵当権を設定するという行為の意味合いについて、ご説明いたします。
この場合、直接行なわれているのは、建物に対する抵当権の設定手続だけですから、借地権には何の影響もないようにも思われます。しかし、借地人が担保権者にお金を返済しなかったことで建物が競売され、買受者が現れた場合を想定したときに、もとの抵当権の効力が借地権に及んでいないとしたら、買受人は、借地権を持っていないので、地主の承諾を得られない限り、落札した建物を収去して土地を明け渡さざるを得なくなってしまいます。これでは極めて不都合ですし、そんなことになるのでは、融資の際の担保として機能しません。そのため、借地権が建物に付従する権利であることから、借地上の建物に設定された抵当権は、借地権にも及ぶものとされています。
とはいえ、借地人は、あくまで自己所有の建物に抵当権を設定しているのですから、法律上は、この抵当権の設定に地主の承諾は不要ということになります(なお、借地契約の中で、地主の承諾を事前に得る旨の特約をしているのであれば、その特約に従う義務がありますが、承諾を得ずに抵当権を設定したことのみをもって契約解除が可能かは別に検討が必要です)。
しかし、実務上、融資を実施する金融機関側は、殆どの場合で、抵当権設定に関する地主からの承諾書の取付けを、融資の条件として要求してきます。その理由は、以下の通りです。
もし、借地人の地代未払いが原因で借地契約が解除された場合、借地権は消滅し、建物の担保価値は大きく毀損してしまいます。金融機関としては、既に地代未払いがあるのであれば、担保価値を維持するため、それを解消し(解消させ)、借地契約の解除を回避したいと考えますが、それには、借地人の滞納の有無・金額を正確に把握する必要があります。
そこで、実務上、金融機関は、抵当権を設定することについて地主の承諾書を求め、その承諾書の中に、借地人の地代未払いなど債務不履行が生じた場合は、借地契約の解除の前に地主から金融機関へ通知する旨の条項を盛り込むことを求めてくるのが一般的です。 この地主の許可については、借地条件変更や増改築許可のような、裁判所による代諾許可の制度は設けられていませんので、地主の許可を任意に得られなければ、金融機関からの融資は下りないことになります。

まとめ

  • 法律上は、借地上の建物への抵当権の設定に関し、地主の承諾は不要です。

  • しかし、融資を実施する金融機関側は、殆どの場合、抵当権設定に関する地主からの承諾書の取付けを融資の条件として要求しています。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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