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定期借地権とは?メリット・デメリットと取得にかかる費用を解説

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定期借地権とは?メリット・デメリットと取得にかかる費用を解説

定期借地権とは?メリット・デメリットと取得にかかる費用を解説

定期借地権とは、借地借家法に基づく借地権の1つで、分譲マンションなどにも設定される身近なものです。
しかし、中には「定期借地権付きの建物を所有しているけれど、どのような権利なのか詳しいことは分からない」という人もいるかもしれません。

この記事では、定期借地権の定義やメリット、デメリットについて紹介します。後半では取得にかかる費用についても触れるため、定期借地権に関する理解を深める参考にしてください。

定期借地権とは?普通借地権の違い

定期借地権とは?普通借地権の違い

定期借地権とは、借地借家法が適用される借地権のうち、あらかじめ定められた契約期間が満了した時点で、建物を解体して更地にし、土地を地主(オーナー)に返還しなければならないものを言います。

定期借地権には原則として「更新」の概念がありません。

これに対し、同じく借地権の1つである普通借地権は、借地人が希望すれば、地主に正当な事由がない限り契約期間終了後も更新が可能です。

定期借地権と普通借地権の大きな違いは、「契約更新の有無」と「契約終了時の土地の扱い」であると言えます。

  • 定期借地権:契約更新がなく、期間満了後は更地にして土地を返還する。
  • 普通借地権:正当事由がなければ契約更新が可能。更新しない場合は、地主に建物を買い取るよう請求できる(建物買取請求権)。

このように、定期借地権は貸主である地主の権利が比較的強く保護されている制度です。

出典:国土交通省「定期借地権の解説」

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定期借地権の3つの種類

定期借地権は、以下の3種類に分類されます。

  1. 一般定期借地権
  2. 事業用定期借地権
  3. 建物譲渡特約付借地権

定期借地権の種類①:一般定期借地権

一般定期借地権は、存続期間を50年以上とし、土地の用途制限が設けられていない定期借地権です。
存続期間50年以上という長期間の設定を条件に、公正証書等の書面によって以下の3つの特約を結ぶことで成立します。

  1. 契約の更新をしないこと
  2. 建物の再築による契約期間の延長をしないこと
  3. 期間満了後の建物買取請求をしないこと

平成4年(1992年)に施行された借地借家法より前の旧法のもとでは、上記3つの特約が借地人に不利とされ、無効と扱われていました。
しかし、現行の借地借家法における定期借地権に限り、上記特約が認められています。

また、一般定期借地権には、建設する建物の用途制限が設けられていません。
そのため、住宅やマンションなどの居住用建物以外に、飲食店や病院などの事業用建物など幅広い用途に活用されます。

ただし、あらかじめ定められた契約期間が満了した時点で、借地人は建物を取り壊して土地を貸主に返還する義務を負うのが原則です。

定期借地権の種類②:事業用定期借地権

事業用定期借地権とは、専ら事業の用に供する建物(居住用を除く)の所有を目的として設定される定期借地権のことを言います。
存続期間を10年以上50年未満で設定できます。

存続期間が10年以上30年未満の場合は、一般定期借地権と同様に、契約の更新や再築による契約延長、契約期間満了後の建物買取請求を認めない旨の特約が自動的に適用されます。

しかし、存続期間を30年以上50年未満に設定する場合には、先述の3つの特約(1.契約の更新をしないこと、2.建物の再築による契約期間の延長をしないこと、3.期間満了後の建物買取請求をしないこと)を定めるかどうかは任意となります。
つまり、事業用定期借地権は設定期間の違いによって契約内容に違いが発生し得るため、契約書を作成する際などには注意が必要です。

他にも次のような特徴があります。

  • 存続期間が10年以上50年未満で、一般定期借地権より幅広い期間設定が可能
  • 一般定期借地権は、公正証書以外の書面契約が認められているのに対し、事業用定期借地権は必ず公正証書により契約を締結しなければならない

定期借地権の種類③:建物譲渡特約付借地権

定期借地権の種類③:建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権は、契約から30年以上が経過した時点で、地主が借地上の建物を相当の対価で買い取る特約が付いた借地権です。
地主が建物を買い取ることで借地関係が確定的に終了するため、定期借地権の1つに数えられます。

存続期間は30年以上であり、借地上に建つ建物の種類は問われません。
建物譲渡特約付借地権を設定する場合は、他の定期借地権と異なり、法律上は書面による必要がありません。
ただし、将来のトラブルを予防する観点から、契約書を作成することが望ましいとされています。

なお、地主が借地上の建物を買い取って借地権が消滅した後も、借地人が希望すれば、当該建物を地主から賃借して住み続けることが可能です。
これにより、借地人は住み慣れた家を離れる必要がなくなります。

定期借地権のメリット

借地人にとっての定期借地権のメリットは、主に以下の通りです。

  1. 比較的長期間の契約が可能
  2. 土地の所有権を購入するより安価

定期借地権のメリット①:比較的長期間の契約が可能

定期借地権のメリットとして、まず長期間の契約が可能な点や、契約期間の調節が可能な点が挙げられます。

例えば、一般定期借地権の存続期間は最低でも50年以上で、上限がありません。
建物譲渡特約付借地権についても契約期間は最低で30年以上、かつ上限がないため、一般定期借地権と同様に長期間の土地利用が可能です。

また、事業用定期借地権の場合は、10年以上50年未満であれば自由に契約期間の調節ができます。
事業者のプランに合わせて契約できるため、長期間の事業を行う場合も安心です。

契約期間が30年以上の場合は、契約の延長や買取請求権が認められる点もメリットです。

定期借地権のメリット②:土地の所有権を購入するより安価

定期借地権付き土地に建物を建てる場合、土地の所有権を購入するのに比べて初期費用を抑えられる点も魅力です。

特に事業開始段階は、資金のやり繰りが重要なポイントですが、事業用定期借地権付きの土地を利用することで初期費用を抑えて事業を開始できます。

定期借地権のデメリット

借地人にとっての定期借地権のデメリットは、主に以下の通りです。

  1. 契約更新がない
  2. 原則としてローンを組むのが難しい
  3. 建物の使用目的が限られる場合がある

定期借地権のデメリット①:契約更新がない

一般定期借地権には契約更新という概念がなく、契約時に定めた期間が終了すれば、建物を解体して更地にして引き渡す必要があります。
自分の住宅を建てたとしても、契約当初に決めた期間以上は原則住めません。

ただし、貸主と借主双方の合意があれば、期間満了後に改めて契約(再契約)を結び直せる可能性はあります。

定期借地権のデメリット②:原則として住宅ローンを組むのが難しい

定期借地権付きの建物は、土地の所有権がないため担保価値が低いとみなされがちです。
そのため、金融機関によっては住宅ローンの審査が通りにくい、または利用できるローンの種類が限られる場合があります。

ローンを利用する際は、定期借地権付き物件に対応している金融機関を探す必要があります。

定期借地権のデメリット③:建物の使用目的が限られる場合がある

定期借地権は建物の使用目的が限られるケースがある点にも注意しましょう。

一般定期借地権や建築譲渡特約付借地権は建物の用途制限がないのに対し、事業用定期借地権では建物の使用目的が事業用に限定されます。
もし途中で事業期間が終了したとしても、自分の住居としては使用できず、土地や建物が無駄になってしまう可能性があります。

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定期借地権の利用にかかる費用

定期借地権の利用にかかる費用

定期借地権を利用する際にかかる費用として代表的なものは「地代」「保証金」「権利金」です。

地代は多くの場合、更地の価格を基準として定められるため、都道府県や地域によっても異なります。
更地の価格は、固定資産税評価額か時価、路線価のいずれかを使って計算されます。
年間の地代は更地価格の1〜2%程度が相場と言われています。

定期借地権の契約を結ぶ際には、地代とは別に保証金の支払いも必要です。
保証金とは、賃貸物件契約時の敷金にあたるもので、地代の滞納などを担保する目的で預けるお金です。
土地価格の10〜20%程度を支払うのが一般的です。
この保証金は、地代の滞納などがなければ契約満了時点で全額返還されます。

また、契約内容によっては「権利金」の支払いが必要な場合もあります。
権利金は地主への謝礼のような性格を持つ一時金で、保証金とは異なり返還されません。

定期借地権を利用する場合も、初期費用が全くかからない訳ではありません。
しかし、土地を所有権で購入するよりは費用を安く抑えられるのが特徴です。

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定期借地権は、契約の更新がない代わりに、土地の所有権を購入する場合に比べて初期費用を抑えられるメリットもあります。
一方で、契約期間満了後には土地を更地にして返還する必要がある、ローンが借りにくいといったデメリットも存在します。

定期借地権付き建物の売却をご検討される際には、その特性ゆえのデメリットや、適正価格での売却が実現できるかといったご不安を抱かれる方も少なくありません。

なお、センチュリー21中央プロパティーは借地権専門の不動産仲介会社です。
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この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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