【底地-4】登記していた借地権建物が
無くなったとき借地権は消滅するか|借地権関連|法律・税金

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【底地-4】登記していた借地権建物が
無くなったとき借地権は消滅するか

質問 BさんはAさんから土地を借りて住んでいましたが、ある日火事で建物が全焼してしまいました。
建物を立て直して住みたいのですが、建物が消滅した場合、借地権はどうなるのか?

借地人の建物が全焼した図

旧法適用(平成4年8月1日よりも前)の場合、新法適用(平成4年8月1日以降)の場合、で異なります。

詳細解説

まず、借地権は建物があって成立する権利のため、建物が無くなった場合には借地権もなくなってしまうと考えることも出来ます。ただ、借地権者からすると、またそこに建物を建てて住みたい場合が多いでしょうし、新しくまた土地を探すとなると経済的にも負担が大きくなります。

旧法適用(平成4年8月1日よりも前)の場合

平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約について、借地上の建物が滅失した場合であっても、当然に借地契約は終了しません。
借地人は借地契約の期間中は建物を所有して借地を使用する権利をもっているため、建物が滅失しても、再築して借地を使用することができます。滅失した場合借地権者としては当然、建物の再築を考えます。ただ、地主としてはより丈夫な建物を建てられると建物の存続可能期間が伸びてしまい不都合な場合もあります。

この点を調整するため、地主は異議を述べることが出来ます。地主が遅滞なく異議を述べたときは、もとの期間がそのまま維持されることになります。異議がない場合、借地人が、借地契約の残存期間を超えて存続する建物を再築する場合、原則として借地契約の期間は、建物が滅失した日から、堅固な建物については30年、非堅固な建物については20年となる、という期間延長の制度が定められています。

新法適用(平成4年8月1日以降)の場合

1. 「最初の更新の前」の滅失・再築

借地借家法7条1項「借地権の存続期間が満了する前建物の滅失があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から二十年間存続する。…」

借地借家法7条2項前段「借地権者が借地権設定者に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合において、借地権設定者がその通知を受けた後二月以内に異議を述べなかったときは、その建物を築造するにつき前項の借地権設定者の承諾があったものとみなす。…」

とあります。簡単に説明すると、滅失後、借地権者以前より丈夫な建物を建てた場合は、地主の承諾があれば、20年は存続することが出来ます。なお、当事者間でそれより長い期間を定めた時はその期間によります。(借地借家法7条1項但し書き)

例えば、30年と合意すればそちらが優先されるということです。地主さん側は、借地人から再築が通知された後2ヶ月以内に地主が異議を述べなかった場合には、承諾があったものとみなされてしまいます。そのため、地主が借地契約の期間延長を望まない場合には、必ず2ヶ月以内に異議を述べることが必要です。

2. 「更新後」の滅失・再築

これに対し、更新後の再築については、

借地借家法7条2項但し書き:「…ただし、契約の更新の後(同項の規定により借地権の存続期間が延長された場合にあっては、借地権の当初の存続期間が満了すべき日の後。次条及び第十八条において同じ。)に通知があった場合においては、この限りでない。」

とあります。更新した「後」の場合は「この限りではない」すなわち、期間延長の制度は原則として認められていません。
仮に地主の承諾を得ないで借地契約の残存期間を超えて存続する建物を再築した場合、地主は借地契約を終了させる申入れをすることができます。

  • この場合借地権者は、再築にやむを得ない事情がある場合には、裁判所に対し、地主の承諾に代わる許可を求めることができます(借地借家法18条1項)。

地主さんが承諾してくれない場合は裁判所が代わりに許可を与えることで、借地権を正当に継続することが出来ます。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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