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代理権が無い者と交わした借地権設定契約の行方|弁護士Q&A

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コンテンツ番号:2193

代理権が無い者と交わした借地権設定契約の行方

代理権が無い者と借地権設定契約を交わす図

質問 地主の息子が地主から借地権設定契約の代理権を授与されているとのことで、そのまま借地権設定契約をしました。 その土地に家を建てて数年したところ突然地主がやってきて、息子に代理権は与えていないので、借地権設定契約はそもそも存在しないから出て行けと言われてしまいました。 出て行かなければならないのですか(代理権がない相手と契約)。

地主の息子が地主の代理人として借地人と契約。しかし地主が息子に代理権授与無かった為地主から借地人が『出ていけ!』と言われる図

出て行かなければならない可能性が高いです。

条文関係

民法102条:「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」

民法117条1項:「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

2項:「前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。」

解説

代理権が無い者との契約をしてしまった場合、契約関係はどのようになるのでしょうか。上記民法の条文によると、本人が追認(認める)すれば、効力が及びますが、追認しない以上、効力は生じません。
本件事例の場合、地主(父親)の追認が得られない場合には代理人(息子)と借地人との借地権設定契約の効力は本人に及びません。

よって、借地人は地主に対しては原則として何の文句も言うことができません。真の権利者が出て行けと言っている以上は出て行かなければならない可能性が高いです。

息子(無権代理人)への責任追及

借地人としては息子へ文句を言いたいのが正直なところだと思います。法(民法)でも当然悪い無権代理人は責任を取りなさい(2項)としています。責任を追及する方法としては、下記どちらかになります。

  1. 相手方に対して履行

  2. 損害賠償の責任

1の履行請求は本件では地主が承諾しない可能性が高く難しいと考えらます。そこで、息子(無権代理人)に対して2の損害賠償請求をすることになります。ただし、借地人側は117条2項の要件を満たさなければなりません。

すなわち、「…他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、…は適用しない」とあります。借地人が息子に代理権が無いことにつき、知っていた場合(悪意)は息子に対して責任追及することはできません。

さらに、過失がある場合も同様です。具体的には、普通の人であれば息子が代理権をもってないと明らかにわかるような場合や、疑って調査をすればすぐわかるような場合は過失があるとされ、無権代理人への責任追及ができなくなってしまいます。
借地人としては、そのような事態を防ぐために、代理人と契約をする際は、慎重に、かつ本人への確認を必ず怠らないことが重要となります。

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この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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