借地権

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賃借権の相続について

賃借権とは

賃借権とは借地権の一種で、賃貸借契約に基づく借主(居住者)の権利のことです。賃借権と聞くと家や土地といった不動産を借りる権利のことと思われがちですが、実は賃借権の対象は不動産に限りません。

 (賃貸借)

民法601条:「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。」

とあるように、不動産に限らず、車でもパソコンでも賃貸借契約の対象になります。貸主のことを「賃貸人」、借主のことを「賃借人」と呼びます。

貸借権は特定の人だけにしか権利を主張できない債権であるため、排他的に権利を主張できる物権よりも弱い権利と言われます。しかし、不動産賃借権については、生活の基盤をなす重要な権利なので、特別法(借地借家法)で手厚く保護されています。

本来賃借権を第三者に主張するためには、賃借権の登記をする必要がありますが、建物所有目的で土地を借りている場合には、建物登記があれば第三者にその貸借権を主張できるようになっています。

賃借権の登記は貸主と借主が共同で行わなければならず、貸主はなかなか応じてくれません。そこで、借主が単独でできる建物登記で貸借権に対抗力を付与し、借主の保護を図るようにしています。

賃借権の相続の図

土地や建物の賃借権は相続できるのか?

そんな賃借権ですが、契約当事者が死亡してしまった場合は相続の対象になるのでしょうか。まず、相続の原則について解説していきます。民法866条には、

民法866条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」

とあります。賃借権も同条の「被相続人の財産に属した一切の権利義務」に該当するので、相続の対象になります

  • 借地借家法における借地権や借家権も不動産賃借権に当たり、相続財産に含まれます。

賃貸人が死亡した場合には、賃貸人の相続人がその賃貸人の地位を承継し、賃借人が死亡した場合には、賃借人の相続人がその賃借人の地位を相続し、基本的には従前の契約内容が承継されます。ただ、相続が発生した場合には、再度書面で契約当事者や契約内容について残しておく方がよいでしょう。

また通常の賃貸借ではなく使用貸借の場合は、上記とは異なってきます。

民法599条:「使用貸借は借主の死亡によって、その効力を失う

民法599条にもある通り、使用貸借の場合には、「借主」の死亡によって、その契約が終了します。貸主の死亡によっては終了しない点には注意が必要です。

そもそも使用貸借とは、「当事者の一方が無償である物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することを内容とする契約」です。通常の賃貸借契約とは異なり、無償という点がポイントとなっています。

不動産賃借権は遺産分割が必要か?

前述のように不動産賃借権も相続財産に含まれます。ただ、各共同相続人にその相続分に応じて承継されるものではありません。
不動産賃借権は相続が開始されると、遺産分割が終了するまでの間、その共同相続人間で各自の法定相続分に応じて「準共有」という状態になります。

  • 準共有とは所有権以外の財産権を複数の人が有する状態のことです。

例えば、親の賃借権を兄弟2人で相続した場合、各々の相続分は2分の1ずつになり、相続した賃借権を2分の1の割合で、準共有していることになります。

  • 2分の1しか権利がないから半分しか利用ができないというものではなく、その利用権は全体に及んでいきます。

この準共有の状態を解消するには、遺産分割により、各共同相続人の具体的な相続分が確定させる必要があります。

遺産分割における不動産賃借権の評価

不動産賃借権を遺産分割する場合、その賃借権がいくらの評価になるのかというのは、相続人にとって非常に重要な要素になると思います。借地か借家か、またその場所が都市部か田舎か等で価値は大きく変わってきます。
国税庁が発表している路線価値も参考にはなりますが、適切な評価を求めるのであれば、不動産鑑定士に依頼し、適正評価を下してもらうのがよいと思います。

不動産賃借権の遺産分割の方法

遺産分割の方法はいくつかあります。ここではその代表例である、1.代償分割、2.換価分割、3.現物分割について解説していきます。

1.代償分割について

共同相続人の1人が賃借権を相続し、他の共同相続人に対して、金銭を支払うことで分割をする方法です。すでに共同相続人の一人が利用しているような場合によく使われる分割方法です。

2.換価分割について

賃借権を売却して現金化し、その現金を相続分に応じて分配する分割の方法です。共同相続人の誰も利用することがない場合によく利用される分割方法です。ただこちらの分割方法では売却する際、賃貸人の承諾が必要になります。賃借権を第三者に譲渡することになるからです。

3.現物分割について

文字通り現物を分割します。例えば1つの土地があり、それを複数人で相続し現物分割する場合、遺産分割割合に応じて現に分ける方法です。ただ、賃借権の遺産分割はあまり想定されておらず、推奨はできません。

♦借地権を現物分割した事例
参考:東京地裁平成20年10月9日判決
その他、分割方法として、共有分割という方法、共同相続人間で持分割合を決めて共同所有する方法もありますが、法律関係が複雑化してしまうのであまりお勧めはできません。

現物分割についての図

よくあるご質問

質問 内縁の妻が貸借権を相続することはできるのでしょうか?

内縁の妻が貸借権を相続することはできるのか?を表した図

内縁の妻は原則として、相続権を有しません。生前贈与を受けたり、特別縁故者として相続財産を譲り受けたりする可能性はありますが、原則的には相続権はありません。 しかし、内縁の夫が死亡した場合、相続人がいるか否かで状況は変わってきますので、それぞれの場合に分けて解説していきます。

1. 内縁の夫に相続人がいない場合

借地借家法36条:「居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。」

とあります。本件で言えば、内縁の夫に相続人がおらず死亡した場合、内縁の妻は貸借人としての権利義務を継承することができます。

2. 内縁の夫に相続人がいる場合

内縁の夫に相続人がいる場合はそちらが優先されるため、内縁の妻は貸借人としての地位を継承することはできません。しかし、生活の実態が長きにわたって一緒だったにもかかわらず、相続人がいることで、内縁の妻が一律に住むことができなくなってしまうというのは、あまりに理不尽です。
そこで、判例は一定の要件を元に、内縁の妻に居住する権利を認めることがあるとしています。

♦参考判例: 昭和42年2月21日判決
判旨:「家屋賃借人の内縁の妻は、賃借人が死亡した場合には、相続人の賃借権を援用して賃貸人に対し当該家屋に居住する権利を主張することができるが、相続人とともに共同賃借人となるものではない。」

あくまで、居住する権利を主張できるのみで、貸借人の地位を相続できるわけではありませんので、注意が必要です。1で賃借人としての権利義務を継承した場合でも、2で居住権を取得した場合でも、内縁の妻は地代を支払う義務が発生します。

いかがでしたでしょうか。貸借権と相続については複数人の人の権利関係が絡み合い問題が複雑化してしまうケースが多いです。相続のもめごとが泥沼化、そうならないためにも知識や情報は重要になってくると言えます。

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