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借地権譲渡の許可は得られたが、
地主からローンの承諾をもらえない|弁護士Q&A

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:808

借地権譲渡の許可は得られたが、
地主からローンの承諾をもらえない

質問 私(A)はBから借地権設定契約をしてもらい土地を借りていますが、これを娘の婿に譲渡しようと考え、地主に承諾を求めました。
その時、地主は快く承諾をしてくれ一安心でした。
ところがその後、娘の婿が家を建て替えローンを借りるため、地主に相談したところ、ローンの承諾はしませんと言われてしまいました。
どうしたらよいでしょうか。

借地人が地主に『借地権の譲渡はいいけどローンは承諾しないよ』と言われ困っている図

詳細解説

借地の譲渡には地主の許可が必須

借地権を譲渡する際、地主の承諾は必須です。

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
民法612条1項:「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」
同条2項:「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」

引用元: より

家は自分で建てた、家を第三者に譲り渡しても問題ない!と思うかもしれませんが、家は土地なくして存在することができません。そのため、借地上の建物を譲渡する=借地権も当然についてきます。よって、地主の許可がいるのです。

仮に、地主の許可なく、無断で譲渡してしまった場合には、そもそもの借地権設定契約を解除されてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
本件では、借地権の譲渡承諾自体はあるので、この点には問題はなさそうです。

ローンの借り入れの際、地主の承諾がいる

借地上の建物のローンを銀行などの金融機関と組む場合、地主の承諾書がいります。地主の承諾書がないと、そもそもローンが組めないということになってしまいます。

地主の承諾がないとローンの契約が出来ないイメージ

「え!」と思う方もいるかもしれませんが、残念ながら実務ではそうなっている金融機関が多いです。それでは、実際にどのような運用をしているのか少々解説していきます。

1. 「借地上の住宅に融資しない」金融機関も存在する

借地上の住宅には融資はしないとする金融機関があります。
その理由は、借地権というのは、完全な所有権に比べるととても不確実な権利です。借地人は地主に地代を支払う義務があり、この地代の未払いが続くと債務不履行を理由に契約を解除(=土地を返せ!)、ということができてしいます。

そのため、借地上に家を建てる場合、銀行は融資に慎重になるのです。
もちろん、借地でも融資してくれる金融機関も多くあります。まずは問い合わせましょう。建物の融資が受けられます。(各金融機関により条件が異なる場合があります。)

2. 地主の承諾書が必要

さて、借地上の建物に融資をしてくれる金融機関が見つかり一安心と言いたいところですが、融資を受ける際、必ず地主の承諾書がいります。借地上に住宅を建築することを、地主が承諾する書類が必要になります。承諾書に印鑑を押してもらうことが必要です。
この理由は1と同じく、借地という権利関係が不安定なためです。

また、承諾書の中には地代が滞って賃貸借契約を解除する場合、解除前に金融機関に連絡することなど金融機関に有利な文言が入っていることがあります。ローン手続きの最終段階になって、地主の承諾書がもらえないと、ローンの契約そのものができなくなります。

  • なお、借地権への抵当権設定については、金融機関によっては地主の承諾がなくても承認される場合もあるようです。

本件のような場合、ローンの申し込みの前段階で、地主の承諾書を取っておくことが、建替えを成功させるポイントと言ってもいいかもしれません。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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