借地権の相続における司法書士への依頼内容と手続きの流れを解説
目次
借地権の相続では、建物の名義変更や借地契約の確認といった複雑な手続きが必要です。
そのため、大半の方はそれらの手続きを「司法書士」に依頼することになります。
本記事では、借地権の相続時に司法書士へ依頼すべき内容や費用相場、その他司法書士ではなくご自身で行うべき対応について解説していきます。
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借地権の相続で司法書士に依頼する内容
借地権を相続する際、司法書士に依頼する主な内容は次の3つです。
- 相続登記
- 遺産分割協議書の作成
- 借地契約(土地の賃貸借契約)内容の法的な確認・調査
内容①:相続登記【重要】
借地権を相続したタイミングでは、借地上の建物の所有者は被相続人(亡くなった方)の名義になっています。
建物の所有者の名義を相続人に変える「相続登記」は、司法書士の主要業務です。
必要な戸籍の収集や複雑な申請書の作成・提出など、相続登記に関わる業務を司法書士がワンストップで代行してくれます。
必要な書類が非常に多く、専門家でない方が行うのは大変難しい内容であるため、司法書士への相続登記の依頼はマストといっても過言ではありません。
なお、相続登記は2024年4月から義務化されており、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料が課される可能性があるため、司法書士への依頼は可能な限り早く済ませるようにしましょう。
また、そもそも建物が未登記だった場合も将来的なリスクの火種となるため、このケースにおいても速やかに司法書士に依頼し、登記するようにしてください。
内容②:遺産分割協議書の作成
遺言書が存在せず、かつ相続人が複数いる場合は、相続人全員で「誰がどの財産をどのような割合で相続するか」を話し合う「遺産分割協議」を行います。
借地権に関しても、この遺産分割協議で相続人を決めるケースは珍しくありません。
協議の内容に全員が合意したら、その内容を記した「遺産分割協議書」の作成が必要です。この書類は、上記の相続登記や預貯金の解約にも使用します。
遺産分割協議書は自身でも作成できますが、知識も経験もない相続人が行うとさまざまな不備や不足が出てくる可能性も否めません。
司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼すれば、法的に有効な形式での協議書として仕上げることができます。
内容③:土地借地権契約(土地の賃貸借契約)内容の確認・調査
借地権を相続する際は、親や祖父母など最初に借地契約を結んだ人と当時の地主が交わした「土地賃貸借契約書」の内容を確認しなければなりません。
土地賃貸借契約書には、相続した借地権の法律上の分類や支払いに関する特約、契約期間に関する記載など、その後の借地の活用に欠かせない重要事項が記載されているため、隅々まで確認・把握する必要があります。
しかし、専門用語も多く含まれた契約書を完全に理解するのは難しいものです。
そのため、土地賃貸借契約書を司法書士にチェックしてもらうことで、相続した借地権に関する重要なポイントを分かりやすく正確に把握することができます。
万が一契約書がない場合でも、法務局で登記事項証明書を取得することで、権利関係を調査してもらうことが可能です。
司法書士に相続登記を依頼する場合の流れと費用相場
ここからは、司法書士へ依頼した際の手順と、費用の目安を見ていきましょう。
- 借地権の相続時に司法書士が行う手続きの流れ
- 司法書士に依頼する際の費用相場
司法書士に相続登記を依頼した時の流れ
借地権における相続登記を司法書士に依頼した場合の流れは、以下の通りです。
- 必要書類(戸籍等)の収集
- 相続人調査・相続関係説明図の作成
- 遺産分割協議・協議書の作成
- 法務局への登記申請
- 登記識別情報(権利証)の受領
Step1.必要書類(戸籍等)の収集
まず、相続人を確定させるために戸籍謄本や住民票などを集めます。
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍が必要となり、収集作業は非常に煩雑であるため、なるべく早期に司法書士に依頼しておくことが大切です。
Step2.相続人調査・相続関係説明図の作成
集めた戸籍から法定相続人を確定させ、その結果を「相続関係説明図」という家系図のような書類にまとめます。
これは法務局で戸籍原本を返却してもらう際にも役立ちます。
Step3.遺産分割協議・協議書の作成
遺産分割協議を行い、話し合いがまとまったら遺産分割協議書を作成します。
ここには相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。
Step4.法務局への登記申請
書類が揃い次第、借地上の建物の所在地を管轄する法務局へ申請します。
現在はオンライン申請が主流で、司法書士が代理で行います。
Step5.登記識別情報(権利証)の受領
申請から1〜2週間で完了します。
新たな権利証となる「登記識別情報通知」が発行されるので、司法書士から受け取り、相続登記は完了となります。
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司法書士に相続登記を依頼した場合の費用相場
司法書士に相続登記を依頼した場合の費用相場は以下の通りです。
| 費用の目安 | |
| 司法書士報酬 | 10万円程度 |
| 書類代等 | 数千円~1万円程度 |
| 登録免許税 | 評価額 × 0.4% |
このうち、司法書士報酬は相続人数や案件の複雑さなどによって変動します。
借地権の相続で自分が行うべき手続き
司法書士は相続登記や法的な書類作成のプロですが、地主への対応までは代行してくれません。
そのため、以下のような地主とのやり取りは、相続した人が自分で行うこととなります。
- 地主への挨拶・通知(相続発生の連絡)
- 今後の地代支払い方法の変更・確認
地主への挨拶・通知(相続発生の連絡)
借地権を相続する際は、地主との今後の関係を考えてその旨を必ず通知しておきましょう。
借地権の相続に地主の承諾や承諾料は原則として不要ですが、だからといって地主になんの連絡もしないと、「なぜ報告しないのか」と心証を悪くしてしまう可能性も大いにあります。
相続後に地主とストレスなく付き合っていくためにも、こうした節目ではなるべく速やかに連絡することを心がけましょう。
地代支払い方法の変更・確認
借地権を相続したら、地代の振込名義人の変更と支払い方法の確認を行いましょう。
地主から指定がある場合もあるため、都度確認を取りながら進める必要があります。
親の銀行口座から「自動引き落とし」にしていた場合、銀行が親の死亡を知った時点で口座を凍結してしまいます。
そうなると、最悪の場合地代を滞納していると見なされてしまうため、この手続きは可能な限り速やかに行ってください。
なお、このタイミングで地主から「契約書の書き換え」を求められることがありますが、相続の場合は契約書を作成し直す義務はありません。
こうしたケースでは不利な特約を追加されるリスクもあるため、安易にサインせず司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
借地権を相続した際は、個人では難しい複雑な手続きが必要となるため、司法書士に依頼することが一般的です。
相続後に予想外の不利益を被らないよう、相続登記や遺産分割協議書の作成、契約内容の確認など、専門知識が必要な場面では司法書士の力を借りることを強くおすすめします。
また、法的な手続き以外にも「地主とのやり取り」という借地権ならではの手間が存在しますが、こちらに関しては司法書士ではなくご自身が行わざるを得ません。
相続後にストレスなく地主と付き合っていけるよう、借地権を相続した旨の通知や地代支払い方法の変更・確認などは速やかに行うようにしましょう。
このように通常の不動産とは異なる借地権ですが、センチュリー21中央プロパティーは、これまで多くの借地権にまつわる問題解消のお手伝いをしてまいりました。
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この記事の監修者
司法書士
司法書士・司法書士ALBA総合事務所 代表
平成16年に司法書士試験合格以来、一貫して司法書士業界で研鑽を積む。東京司法書士会新宿支部所属。
特に借地権に関する登記手続き(借地権設定登記、名義変更、解除など)において、豊富な実績と深い知見を持つ。複雑な借地権の権利関係を整理し、スムーズな登記を実現する専門家。
また、不動産登記全般(共有持分、権利変更など)や、会社設立などの商業(法人)登記にも精通。相続手続きや債務整理の経験も活かし、多岐にわたる法的ニーズに対応可能。