借地の契約書がない!相続時の対応や立ち退きを迫られたらどうするべき?
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借地の契約書がない!相続時の対応や立ち退きを迫られたらどうするべき?

借地の契約書がない!相続時の対応や立ち退きを迫られたらどうするべき?

「借地権を相続したけど、契約書が見つからない…」

特に、旧法の借地契約では、契約書が存在しないケースは珍しくありません。

なぜなら、借地の契約期間は20年や30年以上と長く、契約を交わした時期が何十年も前になるためです。

この記事では、借地権の契約書が必要となる場面や、ない場合の対処法について解説します。

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借地契約書とは

借地契約書とは、正式には「土地賃貸借契約書」と呼ばれる、借地権の契約内容が記載された書面です。

借地の契約書は誰が作成しても問題ありませんが、一般的には土地を貸す貸主(地主)が作成します。

借地契約書は、土地を借りる借主(借地人)が作成する場合もあれば、契約を仲介する不動産会社が地主と借地人の間に入って作成する場合もあります。

借地の契約書(土地賃貸借契約書)に記載されている内容は、以下の通りです。

  1. 契約の基本情報
  2. 賃料(地代)と支払方法
  3. 契約期間と終了
  4. 借地上の建物に関する事項
  5. その他の重要な事項

記載内容①:契約の基本情報

内容補足事項
当事者の表示土地の賃貸人(地主)と賃借人(借地人)の氏名・住所。権利義務を負う当事者を明確にする。
契約の目的物賃貸借の対象となる土地の表示(所在地、地番、地目、地積など)。登記簿謄本に基づき正確に記載する。
契約の種類契約が「旧法上の借地権」か「普通借地権」か「定期借地権」かを明記。特に「定期借地権」の場合は更新がない旨を特約として明記する必要がある。

記載内容②:賃料(地代)と支払方法

内容補足事項
地代の額賃借人が賃貸人に支払う地代(月額または年額)。消費税の扱いについても明記する。
支払方法支払期日(毎月末など)、支払場所、振込口座など。滞納した場合の遅延損害金についても定めることがある。
地代改定経済情勢の変化などによる地代の増減額請求権の取り決め。借地借家法に基づき地代の改定は可能だが、契約書で協議事項などを定めることが多い。

記載内容③:契約期間と終了

内容補足事項
契約期間賃貸借契約の期間(開始日と終了日)。普通借地権は最低30年、定期借地権は50年以上など、借地借家法の制限を受ける。
契約の更新契約の更新に関する取り決め。普通借地権は原則として更新されるが、定期借地権は更新がないことを明記する(法定更新を排除する)。
契約終了時の取り決め契約期間満了時における建物の取り扱い。建物買取請求権(借地人が建物の時価での買取を請求できる権利)についてなど。

記載内容④:借地上の建物に関する事項

内容補足事項
建物の種類・構造・規模借地人が建てる建物の用途や制限。住居用か事業用か、木造か鉄筋かなど。
増改築の制限借地人が建物の増改築を行う際の賃貸人の承諾の要否や、承諾料の取り決め。無断での増改築を制限し、土地の保全を図る。
建物の滅失時の取り扱い建物が火災などで滅失した場合の再築の可否や、契約解除に関する事項。

記載内容⑤:その他の重要な事項

内容補足事項
譲渡・転貸の制限借地権を他人に譲渡したり、土地を転貸したりする際の賃貸人の承諾の要否原則として賃貸人の承諾が必要であり、承諾料について定めることが多い。
担保責任土地に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合の賃貸人の責任。
公正証書作成の有無契約の証拠力を高めるため、公正証書とするかどうかの取り決め。定期借地権では公正証書などの書面による契約が必須とされる。
特約事項上記の項目以外で、当事者間で特別に合意した事項。契約解除事由や違約金、敷金の取り決めなど。

特に契約期間が終了するときは、地主から更新を拒絶されたり、更新料を請求されたりするため、契約期間についてはよく確認しておく必要があります。

また、賃料(地代)の支払方法は口座振込ではなく地主の家に持参して支払うように定められている場合もあるため、注意して確認しなければなりません。

土地賃貸借契約書については、以下の記事も参考にしてください。

旧法の借地契約では契約書がないケースが多い

借地の契約期間は20年や30年以上と長いため、契約書がどこに保管されているのかわからなかったり、そもそも契約書を残していなかったりなど、契約書がないケースもあります。

実際、現在において設定されている借地権は、1992年の7月以前に締結された「旧法借地権」であることがほとんどです。

詳細は後述しますが、旧法借地権で契約書がなくても、契約は有効であることに注意しましょう。

図2:借地権の歴史

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借地権の契約書がなくても契約は有効

借地の契約が口約束でしかされておらず、契約書がなかったとしても、契約自体は成立しています(民法第522条第2項)。

そのため借地権は無効ではなく、借地権の相続人は引き続き借地に建っている建物を使用できるとともに、地代を支払うなど借地権の契約内容を守らなければなりません。

もっとも、地代を支払わないなど債務不履行がある場合には、地主から契約を解除されることもあります。この場合は借地権が消滅となり、借地人は建物を解体して更地で地主に土地を返さなければなりません。

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借地権の契約書が必要となるシーン

借地の契約書が必要なシーンは、主に次のとおりです。

  1. 借地権を相続したとき
  2. 地主から契約の条件変更を要求されたとき
  3. 借地権を売却するとき

それぞれのシーンについて、なぜ契約書が必要で、本来はどのように契約書を確認すべきかを解説します。

シーン①:借地権を相続したとき

借地権の実家を相続したとき、契約内容を確認したいと考える人は多いでしょう。

実家が借地権の場合、地主とのやり取りは、親に任せきりだったというケースがほとんどです。しかし、借地権契約を継続する場合は、これまで同様に相続人が地代を支払う義務が生じます。

支払方法が持参払いなのか銀行振込なのかを契約書で確認しておきましょう。

また、借地権付きの実家を活用する予定がない場合は、第三者への売却や転貸を考えることもあります。

第三者への売却や転貸についても、どのような契約内容になっているのか相続人は必ず確認するようにしましょう。

賃借人の相続をきっかけに、地主とのトラブルに発展するケースも少なくありません。相続時には借地権の契約内容を確認し、後々の地主とのトラブルを未然に防ぎましょう。

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シーン②:地主から契約の条件変更を要求されたとき

地主から、次のように契約条件の変更などを要求されることがあります。

  • 名義変更料や譲渡承諾料を要求された
  • 立ち退きを要求された
  • 地代の値上げを要求された

借地権を相続した相続人にとって負担が大きい要求であるため、契約はどうなっていたのか気になり、契約書を確認したいと考えるケースが多いでしょう。

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シーン③:借地権を売却するとき

借地権の売却や転貸をしたいときも、契約書をもとに契約内容を確認したいと考えるでしょう。

相続した借地権付きの実家に誰も住まないため、売却や転貸をしようと検討する相続人も少なくありません。

原則として地主の承諾がなければ借地権の売却や転貸はできません(民法第612条)。

しかし、例外として契約書に承諾不要という文言があれば、承諾を得ずに借地権の売却や転貸が可能です。

また、稀に借地権が土地の賃借権ではなく地上権の場合もあり、地上権の場合には地主の承諾なく売却や転貸ができます。

契約書がない場合も、土地の登記事項を確認して地上権の登記があれば、その借地権が地上権であることがわかります。

なお、建物自体は借地人の名義であるため、特に契約で制限されていなければ、地主の承諾なく借家として建物のみの賃貸が可能です。

ただし、借地人(契約者)と建物所有者の名義は原則同一でなければなりません。

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借地権の契約書がない場合の対応

借地権の契約書がない場合の対応

借地の契約書がない場合の対応について、前述した契約書が必要なシーンごとに解説します。

シーン①:借地権を相続したとき

借地権を相続したときは、必ず地主に報告しましょう。その際に、地主に直接、地代や契約期間などの契約内容について確認しましょう。相続により借地権が移転しますが、相続の場合には地主の承諾は不要です。

また、改めて借地の契約書(土地賃貸借契約書)を作成する義務はありません。ただし、契約内容を忘れてしまわないように、書面などに残しておくのがおすすめです。

借地権の登記状態を確認するためには、法務局に対して不動産の登記事項証明書の交付請求をします。オンラインで交付請求し、自宅で受け取ることも可能です。

借地権を相続したときに必要な対応について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

シーン②:地主から条件変更を要求されたとき

地主から条件変更を要求されたとき、契約書がなければどのような条件であったのかわからず、トラブルになるケースが少なくありません。

借地権を相続した相続人としては、手元に契約書がなく自分が契約したわけでもないのに、契約の内容を把握することは困難でしょう。

このような場合は、基本的に地主との話し合いで解決していく必要があります。

しかし、借地権は契約の更新などに関して法律の定めを適用する部分があるため、適用される法律も把握しなければなりません。

現在の借地権は、現在の法律(新法)が平成4年(1992年)8月1日に施行されるよりも前に設定されているものがほとんどです。

平成4年7月31日以前に設定された借地権を「旧法借地権」、平成4年8月1日以後に設定された借地権を「新法借地権」といいます。

地主との話し合いが必要になったら、早めに弁護士など専門家に相談するのがおすすめです。

ただし、すべての弁護士が地主との交渉経験があり借地借家法に強いというわけではないため、借地権トラブルに強い弁護士に依頼することが重要です。

借地権に強い弁護士の探し方などを知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。

シーン③:借地権を売却するとき

借地権を売却したいとき、土地賃貸借契約書がなくても、借地権の売却は可能です。

土地賃貸借契約書がなくても借地権の売却が可能なのは、前提として地代を支払っていたこと、建物が借地人名義で登記されていることを証明でき、借地権の契約が成立していたと明らかにできる場合です。

地代を支払っていたことは、領収書や振込の履歴で証明できます。建物が借地人名義で登記されていることは、法務局に登記事項証明書の交付を請求し、登記事項証明書で確認しましょう。

具体的には、建物の登記事項証明書の権利部(甲区)のうち、「権利者その他の事項」に所有者として借地人の氏名が記載されていることを確認します。

また、土地の登記事項証明書についても、同様の部分に所有者として地主の氏名が記載されていることを確認しましょう。

借地権の契約書がなくても借地権を売却したいとき、確認すべき内容をまとめたものが図3です。

図3:契約書がない場合

なお、相続登記をしていない場合は、建物の所有者が亡くなった親名義のままになっていることがあります。

この場合は、借地権について自分が土地を借りていること、自分の建物であることなどを第三者に主張(対抗)できませんので、すぐに相続登記を完了しましょう。

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まとめ

借地権の契約書とは、地主から土地を借りて建物を所有するための権利(借地権)について、契約期間や地代、支払方法、禁止事項などが記載された書面です。

借地権の契約期間は20年や30年以上と長く、契約を交わした時期が何十年も前になるため、契約書が見つからない場合や、そもそも契約書が作成されていないケースも少なくありません。

しかし、契約書がなくても借地権の契約自体は有効に成立しており、相続人は地主に地代を支払う必要があります。契約書がない場合は、相続を地主に報告するときに地主に直接確認しましょう。

もし地主から条件変更を要求されたときなどは、法律を把握しながら地主と話し合いで解決しなければなりません。

借地権を売却するときも基本的に締結済みの土地賃貸借契約書が必要ですが、地代の支払いと建物の登記を証明できれば、契約書がなくても借地権を売却できます。

地主から明渡しや契約変更などを要求された場合や、借地権を売却したい場合などは、ぜひ借地権の取扱実績が豊富なセンチュリー21中央プロパティーにご相談ください。

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この記事の監修者

塩谷 昌則

弁護士

エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍するスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。

特に借地権における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、借地権更新料問題、地代増減額請求、借地非訟事件、建物収去土地明渡請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。

著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。

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