再建築不可の借地権は売却できる?3つの売却方法を紹介
再建築不可の借地権は売却できる?3つの売却方法を紹介

目次
再建築不可の借地権は、建物の建て替えや増改築ができないため、使い勝手が悪く売却が難しいと言われています。
また売却できたとしても、市場価格よりも低い価格でしか取引が成立しない可能性が高く、再建築不可の借地権の売却で悩んでいる方は多いです。
本記事では、再建築不可の条件や再建築不可の状態を解消する方法を解説します。再建築不可の借地権を売却したい方、相続する予定がある方のご参考になれば幸いです。
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再建築不可の借地権とは
再建築不可の借地権とは、建築基準法の改正によって建物の建て替えや改築ができなくなった借地権です。
再建築不可の物件ができた背景には、建築基準法の改正があります。昔の建築基準法では合法だった物件も、法律が改正されたことによって、現行の法律に適用しない物件が生まれました。
現行の建築基準法では、建物の敷地として使用する土地は、建築基準法上の道路に面していなければならないと定めています。建築基準法の道路とは、下記のいずれかを指します。
- 道路:幅員4m以上
- 2項道路:特定行政庁(市長)が指定した幅員4m未満の道路
上記いずれかの道路に建物の敷地が2m以上接することを「接道義務」と言います。接道義務は、火災や地震などが発生した際に、滞りなく救護活動を行うための規定です。
接道義務のイメージは、下記の画像を確認してください。
右の敷地は幅員4mの道路に2m以上接しているため、建築が可能な土地です。
一方で左側の敷地は、幅員4mの道路に接している面が2m未満のため原則建築が認められません。
敷地が道路に2m以上接していると、救急車や消防車などの大型車両が建物に近づけるため、救命活動がスムーズに行えます。
改正前の建築基準法には接道義務の規定がなく、幅員4m未満の道路に接している、道路に2m未満しか接していない場合でも建物が建てられました。
しかしそのような建物の敷地は、現行の建築基準法に適用できないため、再建築不可の物件が生まれました。
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再建築不可の借地権でよくあるパターン
再建築不可の借地権でよくあるパターンを以下3つ解説します。
- 接する道路の幅が「4m未満」
- 旗竿地の接道部分が「2m未満」
- 袋地で道路に面していない
接する道路の幅員が「4m未満」
前述の通り、建物の敷地に面している道路の幅員が4m未満だと原則再建築はできません。
幅員が4m未満だと、一般車両同士であってもすれ違うことは難しいです。車両の通行が困難な道路は火災や地震などが発生した際に、救護活動や避難することが難しくなるためです。
旗竿地で接道部分が「2m未満」
旗竿地(はたざおち)で、接道部分が2m未満の場合も再建築はできません。旗竿地とは道路に接している部分が狭く、接道部分の奥に広い敷地がある土地のことです。
基本的に旗竿地であっても、道路に2m以上接していれば再建築することは問題ありません。しかし道路に接している部分が2m未満だと、救急車や消防車が敷地に侵入できないため、火災が起きた際の救護活動や消化活動に影響が出てしまいます。
安全上の理由から旗竿地の接道部分が「2m未満」だと再建築は認められません。
地で道路に面していない
袋地(ふくろち)とは、借地の周りが他人の土地で囲まれており、他人の土地や私道を通らないと自宅にたどり着けない土地のことです。
袋地はそもそも建築基準法の道路に面していないため、再建築は認められません。
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再建築不可の借地権売却が難しい理由
一般的に再建築不可の借地権は売却が難しいと言われています。ここでは、売却が難しいと言われている理由を3つ解説します。
- 住宅ローンでの購入ができない
- 借地権ならではの利用制限がある
- 建て替えができない
住宅ローンでの購入ができない
再建築不可の借地権の場合、住宅ローンの審査は通りませんので、基本的に買主が住宅ローンを活用することはなく、買主を見つけることは容易ではありません。
通常住宅ローンを設定する際は、購入する土地と建物を担保にします。万が一住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関は担保にした土地と建物を売却して貸金の回収を行います。
しかし借地権の場合、土地の所有権は地主にあるため、地主が協力してくれなければ土地を担保にすることはできません。そのため建物しか担保にできず、返済が滞った際に貸金の回収が難しくなるため、住宅ローンの審査が通らない可能性が高いです。
住宅ローンを使えないと、現金一括で購入できる方しか購入対象にならないため、再建築不可の借地権は売却が難しいと言われています。
借地権ならではの利用制限がある
借地権は購入しても、さまざまな利用制限があるため敬遠される傾向にあります。
以下のようなケースでは地主の承諾を取らないと、土地の賃貸借契約を解除されてしまう可能性があります。
- 借地上の建物を増改築する
- 建物を第三者に売却する
- 使用していない部分を第三者に転貸(又貸し)する
借地権は借りた土地を自由に使える権利ですが、特定の行為に対しては地主の承諾は必要です。また仮に地主が借地権譲渡について承諾してくれた場合でも、借地権価格の10%を譲渡承諾料として支払うケースが一般的で、費用負担も大きいです。
借地権を購入しても自由に利用できず地主の顔色を伺わなければならないため、借地権を買いたい人が少なく売却が難しいです。
建て替えができない
建物の建て替え・増改築ができないことも売却が難しい理由です。
仮に火災や地震などの自然災害で建物が壊れたとしても、役所の許可が不要な範囲での軽微な修繕しか行えません。そのため住宅に何かトラブルがあると、講じられる対策が限られてしまうため購入者のリスクが大きいです。
そのため再建築不可の借地権は、建て替えできないことを前提に「立地に魅力を感じている」または「そこの土地がいい」と考えている方しか購入する可能性が低いため、売却が難しいです。
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再建築不可の状態を解消する方法
再建築不可の状態は、場合によっては解消できる方法があります。
再建築不可の状態を解消する方法は以下の3つです。
- セットバックを行い道路の幅員を4メートル以上にする
- 隣地を借りて間口を2メートル以上確保する
- 救済措置が適用されないか確認する
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セットバックを行い道路の幅員を4メートル以上にする
前面道路が建築基準法の道路(幅員4m以上)ではなかったとしても、セットバックによって接する道路の幅員が4m以上になるのであれば、再建築不可の状態を解消できます。
セットバックとは、建物を新築する際に前面道路よりも後退して(建物の敷地を狭くして)前面道路の幅員を広げることです。
上記の画像を見ると分かるようにセットバックすると建物の敷地面積は狭くなりますが、前面道路の幅員を拡張できます。
前面道路を拡張した結果、幅員が4m以上になると建物の新築・増改築ができるようになり、建築不可状態が解消され売却活動がスムーズになる可能性が高まります。
隣地を借りて間口を2メートル以上確保する
旗竿地の前面道路と面している間口が、隣地を追加で借りると2m確保できる場合は、建築不可状態を解消します。
隣地を借りる際はすべての土地を借りる必要はなく、旗竿地の間口の幅が2m以上確保できる分だけで構いません。
ただし隣地すべてに建物が建っているような状況だと、隣地を借りることは現実的ではないため再建築不可の状態を解消することは難しいです。
救済措置が適用されないか確認する
最後に「位置指定道路」や「43条但し書き道路」の申請ができないか確認しましょう。
位置指定道路とは、都道府県知事や市町村長などから、道路として指定を受けた幅員4m以上の私道です。敷地に面している前面道路が私道であったとしても、位置指定道路指定を受けると、建物の新築・増改築が可能となり再建築不可の状態が解消されます。
43条但し書き道路(43条2項2号許可)とは、建築審査会の許可を受けた接道義務を満たす道路のことです。43条但し書き道路と認められるためには、以下3つの条件を満たさなければなりません。
- 建物の敷地周辺に広い空地を有すること
- 各自治体が交通上・安全上・防災上・衛生上支障がないと認めること
- 建築審査会の同意を得て許可を得ること
ただし43条但し書き道路の判断基準は自治体によって異なるため、この土地であれば確実に許可が出るということは言えません。43条但し書き道路について詳しく知りたい方は、中央プロパティーまでお問い合わせください。
再建築不可の借地権を売る方法3選
再建築不可の借地権付き建物を売却する方法は、以下の通りです。
- 地主に借地権を買い取ってもらう
- 再建築可能な状態にして売却する
- 借地権専門の不動産会社に売却を依頼する
地主に借地権を買い取ってもらう
まずは借地権を地主に買い取ってもらう方法を検討しましょう。
地主は借地権を買い取ると土地を自由に使えることになり、以下のような選択肢が生まれるためメリットは大きいです。
- 新たな借地人と高い地代で賃貸借契約を結ぶ
- 再建築可能な状態にして高値で売却する
- 専門業者に依頼し売却する
地主が借地権の購入にメリットを感じている場合は、最も高値で売却できる可能性が高い方法です。
再建築可能な状態にして売却する
再建築可能な状態にして借地権を売ることも1つの方法です。
- 敷地をセットバックし、道路の幅員を4m以上にする
- 隣地を購入して、道路に接している敷地の間口の幅を2m以上にする
- 「位置指定道路」「43条但し書き道路」の申請をする
どれも簡単な方法ではなく、上2つの方法は多額の費用もかかります。再建築可能な状態にして売却価格が上昇したとしても、セットバック費用や土地の購入費用を回収できるとは限りません。
そのため、借地権を再建築可能な状態にしての売却を検討している方は、借地権に詳しい不動産会社に相談することをおすすめします。

借地権専門の不動産会社に売却を依頼する
再建築不可の借地権付き建物を売る方法として、最もおすすめなのが借地権に詳しい不動産会社に売却を依頼することです。
場所や条件にもよりますが、借地権専門の買取業者は、再建築不可の状態でも建物を買い取ってくれる可能性があります。買取業者は、買い取った後にリフォームをしたり、隣地の土地を売ってくれるように交渉したりして、再建築不可の借地を活用しようとします。
地主へ買取交渉をしたり、再建築不可な状態を解消することは、非常に複雑な手続きとなります。
そのため、再建築不可の借地権付き建物を売却したい場合は、まずは借地権に詳しい不動産会社に相談してみましょう。
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まとめ
この記事では再建築不可の借地・借地権について詳しく解説しました。
再建築不可の借地とは、建築基準法の改正により現行の接道義務を満たさなくなった土地です。
接道義務を満たさないと、建て替えだけでなく各自治体の許可が必要な大規模な増改築も行えません。そのため売却が難しく、仮に売却できたとしても相場より低い価格でしか売却できないケースも多いです。
センチュリー21中央プロパティーは、借地権専門の不動産会社です。一般的に、買い手が見つかりにくい借地権付き建物も、独自のネットワークを通じて購入希望者を見つけます。
仲介手数料など、売却に伴う諸費用は0円です。再建築不可の借地権の仲介実績もございますので、まずは以下のフォームまたはお電話にてご相談ください。

この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。