借地権を相続したら地代は上がる?
目次
「親から借地権を相続したら、地主から地代の値上げを要求された」
「代替わりのタイミングで契約書の巻き直しを求められている」
このような事態に直面し、地主の言われるままに応じて良いものか悩んでいませんか?
実は、借地権を相続したという理由だけで地代を上げる正当な根拠にはなりません。
地主からの要求が適正か、法的なルールを知っておくことで無用なトラブルや出費を防げます。
この記事では、相続時の地代ルールや適正相場の調べ方、地主への対処法をわかりやすく解説します。
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借地権を相続しても地代は変わらない
まず前提として、相続によって借地契約の内容がリセットされることはなく、前の借地人が亡くなってもその権利義務は、原則そのまま相続人に引き継がれます。
借地権の相続において、地代を含む契約は相続前と変わらないという事実について、次の2つの視点から解説します。
- 借地契約の内容は相続人にそのまま引き継がれる
- 新たに契約書を作り直す必要はない
借地契約の内容は相続人にそのまま引き継がれる
借地権は、預貯金などと同様に相続財産の一部です。
相続人は被相続人(借地権を遺した人)が結んでいた契約上の地位(借地期間、更新時期、地代の金額など)をそのまま承継します。
そのため、後述するような正当な理由がなく、「相続した」という理由のみで要求される地代の値上げに応じる必要はないのです。
また、借地権の相続に地主の承諾は必要なく、原則として「名義変更料」や「承諾料」といった一時金の支払い義務もありません。
したがって、地主へは「相続が発生し、私が借地権を取得しました」と通知すれば手続きとしては十分といえます。
新たに契約書を作り直す必要はない
借地権の相続時、地主から「名義が変わったから契約書を作り直そう」と提案されることがあります。
しかし、先述の通り従来の契約内容がそのまま有効であるため、これにも応じる義務はありません。
現状で問題なければ、「契約書は従来のものを引き継ぎます」と伝えましょう。
このタイミングで提案される新しい契約書には、地代の増額や不利な特約などが盛り込まれているリスクもあります。
もし新しい契約書への同意を強く要求された場合には、決して安易に署名・捺印をせず、司法書士や借地権専門の不動産会社などに相談することが大切です。
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相続のタイミングで地主が地代値上げを要求できる4つの正当事由
先述の通り、「借地権の相続」は地代の値上げ理由になりませんが、地主が地代増額を請求すること自体は権利として認められています。
ここでは、地主が地代を値上げする根拠となる、4つの「正当事由」をご紹介します。
参照:借地借家法第11条
法律で認められる値上げ条件①:土地にかかる税金の増税
1つ目の正当事由は、地主が払う「固定資産税」や「都市計画税」の負担が大きくなった場合です。
借地上の建物は借地人のものですが、土地は地主の所有物であるため、土地の固定資産税・都市計画税は地主が負担しています。
そのため、土地の税負担が大幅に増えたときは、その分を地代に上乗せする要求が認められる可能性があります。
法律で認められる値上げ条件②:土地価格の上昇
2つ目の正当事由は、借地周辺の地価が高騰し、現在の地代が土地価格に見合わなくなった場合です。
特に都市部においては再開発などの影響で地価が高騰傾向にあり、借地契約を結んだ時代の地代では地主の負担が大きくなることがあります。
こうしたケースに当てはまる場合、地主から地価の上昇の根拠となる査定書などを根拠に地代の値上げを求められる可能性があります。
法律で認められる値上げ条件③:経済情勢の変動
3つ目の正当事由は、経済情勢の変動によって契約当初よりも物価高が進んだ場合です。
現在は土地を問わずあらゆる物価が高騰しているため、それに伴って地代の値上げを要求されることも決して珍しくありません。
親や祖父母の世代から契約している借地であれば、契約当初より物価が大きく上がっていることもあり、地代値上げに応じざるを得ないケースもあります。
法律で認められる値上げ条件④:近隣相場との乖離
4つ目は、近隣の似たような借地と比べて現在の地代が著しく安い場合です。
このケースも、親や祖父母世代からなど地主と長年の付き合いがあり、「私とあなたの関係だから」と安い地代で借りていたケースに多く当てはまります。
相続時には借地人だけでなく地主も代替わりしていることも多いため、「近隣の地代と比較して適正な値段に上げたい」と要求される可能性があります。
提示された地代が高いか安いか?相場の確認方法
前章でお伝えした通り、地代の値上げに正当な理由があれば応じざるを得ないこともあります。
その地代が相場に合った適正な金額であるかどうかは、以下の基準で判定できます。
- 適正な地代の目安:要求された地代の年額=底地の固定資産税・都市計画税の合計額の3~5倍程度
立地などにより多少の差異はありますが、上記に当てはめた金額から大きくズレていなければ、適正な地代といえるでしょう。
逆に、この数値よりも大幅に高額な場合は相場からかけ離れた金額である可能性があるため、安易に受け入れずに借地権専門の不動産会社などに相談することをおすすめします。
なお、基準となる固定資産税・都市計画税は借地人の所有物である建物ではなく、地主の土地に課せられる金額が基準となりますが、借地人は土地に対して利害関係があるため、役所などで書類をもらい、土地の税額を知ることが可能です。
ただし、その際は賃貸借契約書や地代の領収書等が必要になるため、その点は留意しましょう。
地主から地代の値上げを要求された時の対処法
借地権の相続時、地主から地代の値上げや名義変更料などの一時金を要求された場合の対処法をご紹介します。
- 地代の値上げを要求された場合
- 名義書換料(承諾料)を請求された場合
ケース①地代の値上げを要求された場合
いきなり値上げ額を振り込むのは避け、まずは「根拠資料を見せてほしい」と依頼してください。
根拠となる資料を提示され、それが先述の正当理由に当たるものであれば値上げに応じざるを得ないこともあります。
ただ、それでも急な値上げに応じられないことも多いため、地主との関係性を壊さないよう努めつつ、「増額の幅を小さくしてほしい」「増額開始の時期を遅らせてほしい」などの交渉をしてみましょう。
もちろん、正当な理由がない・あるいはあまりにも法外な値上げには「応じられない」と冷静に伝える必要があります。
ただ、話がこじれてしまうと地主がそれ以降の地代の受け取りを拒否したり、土地の返還を求めるような事態にもなりかねません。
そうした場合は、自分が不利益を被らない専門的な交渉が必要になるため、早期に弁護士や借地権専門の不動産会社などに相談しましょう。
センチュリ-21中央プロパティーでは、借地権トラブルや交渉に長けた専門スタッフが地主との窓口を代行いたしますので、ぜひお声がけください。
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ケース②名義変更料や承諾料を請求された場合
先述の通り、借地権の相続に名義変更料や承諾料といった一時金は不要です。
しかし、相続したてで知識が不足している借地人の場合、「慣例的に払わなければならない」と勘違いしてしまうケースも数多く存在します。
こうした要求を受けた際は、「相続は売買と異なり、法律上承諾料は不要と理解しています」と冷静に説明してください。
ただし、遺言で法定相続人以外(孫や知人など)に譲る「遺贈」の場合は、第三者への譲渡と同じ扱いになり、地主の承諾と承諾料の支払いが必要になるため注意が必要です。
地代トラブルが解決しない・維持が難しい場合の出口戦略
相続した借地権を活用する予定がない場合、あるいは相続時の地代値上げや承諾料の要求などで地主との関係性が悪化してしまった場合などは、売却によって借地権を手放すことも有効な手段です。
借地権の売却について、次の2つの方法をご紹介します。
- 地主に売却する
- 第三者に売却する
売却方法①地主に売却する
借地権は、交渉次第では地主自身に買い取ってもらうことも可能です。
この場合、土地の持ち主である地主が買い手になるため、第三者への売却であれば必要になる承諾や承諾料の支払いが不要になります。
売却価格に関しては、更地価格の50%程度が一般的な目安です。
ただし、地主に借地権を買い取る意思と資金があることが前提の方法であるため、売買が成立しない可能性も大いにあります。
特に相続時の地代値上げや承諾料の要求で話がこじれている場合、売買の話をまとめるのも非常に難しくなるため、そのようなケースでは下でご紹介する第三者への売却をおすすめします。
売却方法②第三者に売却する
地主以外の売却方法として、「買取業者に借地権を売却する」、あるいは「借地権専門の仲介業者に買主となる第三者を仲介してもらう」という方法があります。
第三者への売却となるため、地主の承諾と承諾料の支払いが必要になりますが、地主との交渉は業者がサポートしてくれることが一般的です。
それぞれのメリット・デメリットと売却金額の相場は以下の通りです。
| 売却方法 | メリット | デメリット | 売却金額の相場 |
| 買取業者への売却 | 借地権をスピーディーに現金化できる。 | 市場価格に比べて売却金額は大幅に下がる。 | 更地価格の50%以下 |
| 仲介業者を通じた第三者への売却 | 借地権を高額・好条件で売却できる。 | 契約完了までに2~4週間程度の時間が必要になる。 | 更地価格の60%~70%程度 |
上記を参照し、スピーディーに借地権を現金化したい方は買取業者、できるだけ高額・好条件で借地権を手放したい方は仲介業者と、優先したい目的に応じた方を選びましょう。
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まとめ
借地権を相続した時、「相続した」という理由だけで地代の値上げ要求には応じる必要はありません。
しかし、地主側に正当な理由があれば応じざるを得ないこともあるため、まずは値上げの根拠を確認してみましょう。
判断に迷った場合や、理由があっても法外な値上げを要求された場合には、ぜひ当社にご相談ください。
センチュリー21中央プロパティーは、社内に弁護士と借地権のプロを抱える借地権専門の不動産会社として、これまで多くの相続トラブルを解決に導いてきました。
法的なアドバイスからご売却のお手伝いまで、ご要望に応じた丁寧なサポートをお約束いたします。
相続した借地権でお困りの方は、お気軽にお声がけください。
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この記事の監修者
弁護士
エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍するスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。
特に借地権における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、借地権更新料問題、地代増減額請求、借地非訟事件、建物収去土地明渡請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。
著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。