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連れ子に遺産(底地)を取得させるには|底地の売却・相続

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作成日:
コンテンツ番号:1063

連れ子に遺産(底地)を取得させるには

質問 A(地主)は若い時に妻を亡くしましたが、息子B(実子)がいます。
20年前に後妻Cと結婚し、自分の息子B、Cの娘D(Aの子ではない当時15歳)と4人で暮らしてきました。
その後、Aは脳卒中で病に倒れてしまいましたが、Dの献身的な看病により、一人で歩けるようにまでなりました。
Aは本当の親でもない自分に対してここまで看病してくれたDに自己の財産を残したいと思っています。
どのよう方法がありますか?

連て子に財産を相続させたいと地主が考えている図

夫の存命中に養子縁組をしておくか、遺言のいずれかの方法によることが主です。

養子縁組

養子縁組とは、「具体的な血縁関係とは無関係に人為的に親子関係を発生させることをいう。」法律的には親子関係が生じ、当然相続人としての地位を得ることができます。
養子縁組には2つの種類が大きくあります。

1. 特別養子縁組

(特別養子縁組の成立)

民法817条の2:「家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。」

(養子となる者の年齢)

民法817条の5:「第八百十七条の二に規定する請求の時に六歳に達している者は、養子となることができない。…」

特別養子縁組とは、「6歳」未満の子どもで、子どもとその実親側との法律上の親族関係を消滅させ、実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組

2. 普通養子縁組

特別養子縁組は6歳未満という形式的要件があるため、本件ではできません。そのため、普通養子縁組の方法をとることが考えられます。普通養子縁組は特別養子縁組とは異なり、戸籍上は実親との関係は残り、二重の親子関係になる縁組(吉は養親、実親両方の相続権があります)

養子縁組の効果

(嫡出子の身分の取得)

民法809条:「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。」

とあるように、実子と同様の地位を得ることができます。そのため、養子縁組をすることで、Dは相続人としての地位を得ることができます。

遺言

養子縁組がすんなりできればよいのですが、周囲の反対などもあり、縁組ができない場合もあります。そこで、遺言を残しておくことにより、Dに財産を残す方法が考えられます。

(普通の方式による遺言の種類)
民法967条:「遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。」

引用元: より

遺言書の内容は基本的に自由ですが、その形式を間違うとそもそも遺言書としての効果が認められないばかりか、残された相続人の間でトラブルになる可能性もあります。

そこで、まずは弁護士などの専門家に相談することは必須です。そして、可能であれば、公正証書により遺言書を作成することをお勧めいたします。

  • 公正証書遺言とは、普通方式の遺言の一種であるが,証人立会いのもとに公証人によって作成され、公証人が保管するものであり、遺言の存在および内容の真正確保の点からみて最も安全確実とされるものです。

自筆証書遺言よりも少々費用や手間がかかってしまいますが、ほぼ確実に遺言通りの内容を実現することができます。

その他:特別縁故者の財産分与

相続人がいない場合に限られてしまいますが、特別縁故者に対する財産分与の制度というものがあります。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)

民法958条の3:「…相当と認めるときは、家庭裁判所は、①被相続人と生計を同じくしていた者、②被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。」

  1. 被相続人と生計を同じくしていた者

  2. 被相続人の療養看護に努めた者があった者

  3. その他被相続人と特別の縁故

がその対象になります。本件では、D以外に相続人がいることは明らかなため、Dに財産を残すには養子縁組をするか遺言書を残す方法しかなさそうです。

この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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