借地権の買い取り~最適な売却先は?|借地権を売却する方法|借地権関連
借地権の買い取り~最適な売却先は?
目次
借地権を買い取るまでの流れ

地主が借地権を買い取るまでの流れは、下記のような形になります。
借地人が地主か不動産業者に相談する
まずは売却するにあたって借地人が地主への交渉をすることになりますが、地主と直接のやり取りが難しい場合等は不動産業者を利用すると、よりスムーズに売却できる可能性が高まります。
条件面を交渉する
売却価格や時期、引き渡し条件などの交渉をします。当然両当事者とも自己に有利になるようにしたいと思っているため、より有利に交渉を進めたいのであれば、専門家に依頼するとよいでしょう。
契約を締結する
条件面の折り合いがつけば、いよいよ契約の締結になります。口頭での契約も可能ではありますが、必ず書面で契約し、両当事者が1通ずつ保管するようにしましょう。後々のトラブル防止のためです。
決済・名義移転を行う
契約内容に基づいて決済、名義の移転をします。
※登記をしている場合には、移転登記が必要になります。
借地権を買い取る際の相場

借地権については、周辺の路線価を元に算出されて価値が決まりますので、土地が存在している場所によって相場は大きく変化します。
また、実際の価格については、。周辺相場より高くても安くても、当事者同士が同意のみで自由に設定ができます。ほとんどの借地権者は、借地権割合に基づいた金額での買取を希望しますが、最終的には更地価格の「50%程度」で折り合いがつくことが多いのが実情です。
逆に、「借地権を取り戻したい」と思っている地主から借地権の買取を提案したときは更地価格の「60~70%」が相場になります。
借地人と買取交渉するためのポイント
地主が借地権を買い取るという場合であっても、不動産業者を利用することを推奨いたします。当事者同士だけだと、お互いの意見を主張し合う為なかなか意見がまとまりにくく、同意ができたとしても、お互いの認識違い等があり、後々トラブルになってしまう可能性もあります。
その点、経験豊富な専門業者に間に入ってもらうと交渉をスムーズに進めることができるため安心です。どの専門業者に利用するかは大きなポイントになります。
その他、条件面の交渉をしすぎないことや売却方法を提案することもポイントです。借地人にとって有利に働くような提案ができれば、売却を拒んでいる借地人も気持ちが変わる可能性が出てきます。
例えば、借地権と底地権を同時売却し、分配するような提案です。借地権と底地権をそれぞれ、単独で売却するよりも、完全な所有権として売却できれば、より高額で売却できる可能性が高くなります。
借地人が借地権を手放すということは、その土地に住めなくなるということです。現に借地権付きの建物を利用しているのであれば、引っ越しをしなければなりません。余程のメリットがなければ応じてはくれないでしょう。
しかし、借地人側に相続が発生したタイミングは、むしろ借地権を買い取るチャンスです。借地権を相続しても実際には利用しないため、むしろ地主が買い取ってくれるとありがたいと思っている借地人も多いはずです。地主が借地人から借地権を買い取る場合は、そのタイミングが重要なポイントと言えるでしょう。
借地権の買い取りのためにローンの借り入れはできる?
借地権の買取について同意ができているにもかかわらず、地主側に予算がなく購入することができない場合、ローンの借り入れをすることはできるのでしょうか。ローンについては、住宅ローン、不動産投資ローン等が考えられますが、住宅ローンは住宅を利用する場合でなければ利用することはできないため、注意が必要です。
借地権を購入する際の注意点
地主が購入する場合
登記関連の確認、所有権登記移転、更地にするタイミング等についての記載をお願いいたします。
第三者が借地権を購入する場合
毎月地代の支払いが続く
家のローンだけではなく、地代のローンの支払いも毎月続いてしまいます。
建物の増改築や売買に地主の許可が必要になる
建物を増改築したい場合や売却したい場合、借地人のみの判断だけで行うことはできません。必ず地主さんの同意を得なければならないため、自分の思うように増改築や処分ができない可能性があります。
銀行融資が受けることができない可能性がある
土地を借りてその土地上にマイホームを建てたい、そのために住宅ローンを組みたいと思っていても、住宅ローンが組めない可能性があります。マイホームのローンの場合、借地だと融資をしない金融機関が多いです。
融資を受けられた場合であっても、借地権利用の場合担保にできるのは建物部分のみであるため、融資額が低くなってしまう可能性が高いでしょう。また、そもそも地主の同意が得られなければ、住宅ローンを借り入れることはできません。
借地権買取事例
ここでは、実際に当社にあったご相談内容をご紹介いたします。
相談内容
生活保護受給者の母が先日亡くなり、借地上の約築60年の家屋を解体しなくてはならない状況なのですが、兄妹とも余裕がありません。質問板やネットでいろいろ調べてどうにかならないか試行錯誤していたところ、借地権を売買できるというのを見ました。
ザックリ計算すると、350万円位でした。そこから解体費用約100万円差し引いてもかなりプラスになるので、是非ともそうしたいと考えていましたが、実際には不動産屋さんの査定や買取がされるかにもよると思い、近所の不動産屋さんに相談で聞いてみたところ、借地権を売却できたとしても、解体費用にまでは回せないどころかマイナス査定かもとの事です。
当の借地の場所は神奈川県の田舎にあり、あまり需要のなさそうな場所です。また、地主さんは更地に戻して返して欲しいとの事です。地主さん夫婦は高齢ということもあり、借地権を買い取るのが難しいように思います。アドバイスをお願いします。
当社の回答
借地権については、地主に買い取ってもらうことをまずは考えるべきです。多くの地主は自分の土地が返ってくると喜ぶからです。一度貸し出してしまった土地はなかなか返ってこないため、借地権を一番高く買い取ってくれる可能性があるのは、地主です。
本件ですと、更地にしてほしい旨ありますが、契約期間満了の場合には、借地人は地主に土地上の建物を時価で買い取るよう請求することができます。借地権の契約期間が満了した場合、借地人から申し出があった際は、地主は建物を買い取らなければいけません。しかも地主側に拒否権はありません。
契約途中で土地を返還する場合には、借地人側の負担で更地にする必要はあります。契約の残存期間によっては、契約満了まで待ち、建物買取請求権の行使をすることも一つの手段と考えられます。また、本件ですと、具体的な事情は定かではありませんが、地主が高齢夫婦ということを考えると買い取ってもらえない場合も考えられます。そうすると、地主が買い取ってくれない場合には、第三者への売却を検討しなければなりません。
借地権買取に関するよくある質問
1. 借地権は売却できますか。また、価格はどれくらいになりますか?
借地権を売却することは可能です。ただ、借地権を地主以外の第三者へ売却する場合には、原則として地主の承諾が必要になります。借地権の価格については、更地価格に借地権割合を乗じて算出します。
参考:財産評価基準書
2. 買取業者と仲介業者の違いはありますか?
買取業者は、自社で買い取り、転売しその差額を利益にする形です。一方の仲介業者は借地権を買い取ってくれる第三者を仲介します。買取業者は転売利益が会社の利益に直結するため、買取価格は安くなりがちです。一方の仲介業者は買取業者を利用する場合に比べ高く買い取ってくれるケースが多くなります。
3. 承諾料の相場はどのくらいになりますか?
借地権の名義書換料は地域によっても異なりますが、一般的には借地権価格の10%程度と言われています。
いかがでしょうか。土地は大切な財産です。売買をする際は、可能な限り自分に有利になるようにしたいと思うのは当然です。また、土地に関する売買には専門的な手続きも必要になります。売買をスムーズに進めるためにも、当事者間だけで交渉を進めるのではなく、専門業者へ相談するのがおすすめです。当社では借地・底地に関して豊富な実績がございますので、是非ご相談ください。
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。