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【弁護士Q&A】勝手に地代を値上げされました|弁護士Q&A

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コンテンツ番号:14831

【弁護士Q&A】勝手に地代を値上げされました

借地権付きのマンションに住んでいます。先日、通知なしに地代が値上げされておりました。
地主に問い合わせしたところ、「契約書に書いてある」の一点張りです。契約書に何が書いてあっても、事前の通知や、適正とする証明や説明がないのはおかしいと思います。
地主が承諾しなければ売却ができないので、手放すこともできないと思います。今後どのようにしたらよいのでしょうか?専門家の観点からアドバイスいただきたいです。

地代の条件は、借地契約の契約条件の1つである以上、契約当事者は、その契約期間中は、合意によって定められた地代に拘束されることになり、契約期間の途中で地代の金額を変更するには、相手方当事者の同意を得ることが必要となります。したがって、地主が一方的に地代の金額を地主の言い値に変更することは出来ません。

しかし他方で、借地契約は、法律関係が長期継続するものであるところ、時間の経過とともに、(1)租税公課の金額の増減、(2)地価の増減その他の経済事情の変動、(3)近隣類似の土地の地代相場の変動などによって、契約当初は適正と判断して設定した地代が、やがて不相当となってしまうという事態が生じることが想定される契約類型でもあります。このようなときに、契約当事者の合意が形成できないことを理由に、地代の増額も減額も一切認められなくなるとすると、既に適正とは言えない地代が固定化されてしまいます。

そこで、借地借家法では、契約当事者双方に、将来に向かって地代を適正な金額へ増額あるいは減額するよう請求する権利を認めています(借地借家法11条1項)。この増減額請求権は形成権と呼ばれるものであり、権利を行使した時点で、将来に向かって地代の増減額の効果が生じるものとされています。

但し、認められるのはあくまで相当な金額への変更であり、増減額を請求した者の言い値がそのまま相当な金額となる訳ではありません。もし、地主の主張する増額地代が、借地人側では相当な金額と認められなず、協議が調わないときは、裁判所に判断して貰うことになります。

もっとも、裁判所の結論が出るまでには時間がかかるところ、その間、借地人は、自身が相当だと認識する金額の地代を支払えば、地代滞納の責任を免れることが出来ます。但し、自身が相当だと認識して支払っていた地代が、最終的に裁判所で確定した相当な地代額よりも少なかった場合は、差額に年1割の利息を付して地主に支払う必要があります(借地借家法11条2項)。

まとめ

  • 契約条件である地代を、地主が一方的に変更することは出来ません。
  • 借地契約の法律関係が長期継続することを踏まえ、借地借家法では、契約当事者双方に、相当な金額への地代の増減額請求権を認めています。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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