借地権の更新料の相場はいくら?高すぎる場合の対処法や支払い義務を解説
借地権の更新料の相場はいくら?高すぎる場合の対処法や支払い義務を解説

目次
借地権の更新料は、地主と借地人の間でトラブルになりやすいポイントの一つです。
借地権の更新料は、法律上での規定がないため、地主から高額な更新料を請求されるケースも少なくありません。
この記事では、借地権の更新料の相場、高すぎる場合の対処法、そして、そもそも更新料を支払う義務はあるのか、などについて分かりやすく解説します。

借地権の更新料に支払い義務はないが、支払うことが一般的?

結論から述べると、現在の借地借家法では借地権の更新料の支払いを義務づけてはいません。
ただし、借地権の取引慣行として、更新の際に更新料を支払うことは一般的です。
過去の判例においても、契約書に定めがある場合など、一定の条件下で更新料の支払いを認めています。
借地権の更新料は、主に地主との関係悪化の防止や契約更新を円滑に進める目的で支払われています。
特に以下のようなケースでは更新料の支払い義務が発生するため、注意してください。
また、更新料を支払ったほうがいいケースもあわせて説明します。
◆借地権の更新料の”支払い義務が発生する”ケース
借地権更新料の支払い義務が発生するケースには、主に以下の2つがあります。
- 土地賃貸借契約書に更新料の支払いが明記されている
- 当事者間で支払いの合意がある
支払い義務があるケース①:契約書に更新料の支払いが明記されている
土地賃貸借契約書で更新料について明記されている場合は支払い義務が発生します。
契約書に更新料支払いが記載されており、地主と借地権者(借地人)の署名と押印がなされていれば、更新料の支払いについて合意があると見なされるためです。
借地権の契約をする際には、きちんと内容を確認するようにしましょう。
契約書で更新料の支払いを明記しているのに更新料を支払わなかった場合、債務不履行として借地権の契約を解除されるケースもあるため、注意が必要です。
支払い義務があるケース②:当事者間で支払いの合意がある
契約書に借地権の更新料の記載がないときでも、地主と借地権者の間で更新料について合意がなされている場合には、更新料の支払い義務が発生します。
支払いの合意は、口頭で行われた場合でも効力を発揮します。
しかし、口頭での合意は「言った・言わない」のトラブルとなるリスクもあるため、合意内容は書面で残しておくのがおすすめです。
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◆借地権の更新料を”支払ったほうがいい”ケース
契約書への記載や双方の合意がない場合でも、借地権の更新料を”支払ったほうがいい”ケースは以下の通りです。
- 過去に更新料の支払い実績がある
- 地主との関係を良好に保ちたい
支払ったほうがいいケース①:過去に借地権の更新料の支払い実績がある
過去に更新料を支払っている場合は、当事者間で支払いの慣行があったと見なされ、借主のほうでも更新料が発生することを予測できるため、今回も支払うべきと判断される可能性が高くなります。
「今回から支払いをやめる」という明確な合意が地主との間でなされていない場合は、更新料を支払うほうが無難です。
支払ったほうがいいケース②:地主との関係を良好に保ちたい
借地権が設定された土地上の建物を増改築したり、売却したりするときには、原則として地主の許可(承諾)が必要です。
このとき地主と良好な関係を築いていないと、地主の許可が得られずに増改築や売却ができない恐れがあります。
そのため、地主との信頼関係はとても重要です。
更新料を支払っておくと、建物の売却や増改築の際、地主の承諾が下りやすくなることが期待できます。
また、地主による借地権の更新拒絶を防ぐためにも、更新料の支払いは有効な手段となり得ます。

借地権の更新料の相場は?
借地権更新料の金額は、原則として借地人と地主の合意で決まります。
一般的な借地権更新料の相場は、借地権価格の5%程度、または更地価格の3%程度と言われています。
この相場は、国土交通省の資料などで示されることがありますが、あくまで一般的な目安であり、法的な拘束力を持つものではありません。
事実として、借地権売却の際の譲渡承諾料(名義書換料)は裁判所に算定基準がありますが、更新料については裁判所が明示する基準がなく、あくまで当事者の合意が尊重されます。
そのため、不動産価値の高い都心では更新料が高く、地方では更新料が安くなる傾向にあります。
借地権の更新料を設定するときは、相場を適度に参考にしつつ決定してください。
また、過去に支払った更新料の金額や地主との関係性も、更新料の金額を設定する上で重要な参考情報となります。
借地権更新料の計算方法
ここでは、一般的な相場に基づいた更新料の計算方法を解説します。
例えば、更新料を「更地価格×借地権割合×5%」で算出する場合、以下のようになります。
更新料=更地価格×借地権割合×5% |
更地価格とは、その土地が更地だった場合の市場価格を指し、路線価などを基に算出されます。
路線価は、道路に面する標準的な土地の1平方メートル当たりの価格で、国税庁によって定められています。
この更地価格に借地権割合をかけると、その土地の「借地権価格」を割り出すことができます。
借地権割合は路線価と同様に国税庁が数値を公表しているため、以下の国税庁のサイトから詳細な数値を確認しましょう。
借地権価格を割り出したら、最後に相場である5%など、合意した割合をかけて借地権の更新料を算出します。
しかし、この割合も地主と借地権者の話し合いで決定されるため、更新料は相場通りにはいかない可能性があることを覚えておきましょう。
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高すぎる更新料を提示されたらどうする?
地主から相場より著しく高すぎる更新料を要求された場合は、まず冷静に話し合い、応じられない場合は借地権に強い弁護士や不動産会社に相談しましょう。
借地権の更新料は、借地権価格の5%前後とされていますが、あくまで目安であり法的な根拠はありません。
そのため、土地賃貸借契約書の内容や過去の経緯によっては、減額交渉ができるケースもあります。
高すぎる更新料を請求してくる地主の背景には、「更新を機会に土地を返してほしい」という本音が隠れているケースもあります。
このような場合は、一旦更新をしたとしても、地代の値上げや理不尽な契約違反の指摘など、何かしらのトラブルが再発してしまう可能性があります。
当事者間の話し合いで解決しない場合は、裁判所に借地非訟事件として更新料額の決定を申し立てる方法や、調停を利用する方法もあります。
専門家の助言を受けながら、慎重に対応方法を考えましょう。

借地権の更新料を支払わなければどうなる?

借地権の更新料には法的な支払い義務はありませんが、支払わないとトラブルに発展する恐れがあります。
特に、契約書で更新料の支払いについて明記されている場合には注意が必要です。
ここでは以下の2つのケースに分けて、更新料を支払わなかったときに起こりえるトラブルについて解説します。
- 契約書で更新料支払いが定められている場合
- 契約書で更新料支払いについての取り決めがない場合
ケース①:契約書で更新料支払いが定められている場合
契約書で更新料の支払いや金額が取り決められているにもかかわらず更新料を支払わないでいると、借地権者は契約上の支払い義務を果たしていない(債務不履行)と見なされます。
旧法借地権や新法の普通借地権は、一般的に借地権者が土地を利用する限り更新が可能であり、借地権者の権利が強く保護されています。
しかし借地権者が契約違反を犯した場合、地主からの解約請求が認められ、借地契約が解約される恐れがあります。
借地契約が解除されれば、原則として建物を収去し、更地にして土地を地主へ返却しなければなりません。
土地を継続的に利用したいなら、契約解除にならないよう契約書の取り決めに応じて更新料を支払いましょう。
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ケース②:契約書で更新料支払いについての取り決めがない場合
契約書で更新料支払いの取り決めがなく、土地が属する地域で更新料を支払う慣習もない場合は、更新料を支払わなくとも借地契約がすぐに無効になることはありません。
この場合、契約が自動的に更新される「法定更新」として、これまでと同じ条件で更新されます。
なお、借地権の更新には「法定更新」と「合意更新」があります。
法定更新とは、契約期間が満了しても、借地人が土地の使用を継続し、地主が遅滞なく異議を述べなかった場合に、借地契約が自動的に更新される形態です。
合意更新とは、地主と借地権者が合意した上で契約を更新する形態です。
ただし、地主から更新を拒絶され、話し合いがまとまらない場合は、弁護士や不動産会社など専門家に相談したほうがいいでしょう。
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借地権を更新する3つの方法
旧借地権や普通借地権は、契約期間満了後も原則として更新されます。
借地権の更新には、主に以下3つのパターンがあります。
- 合意更新
- 更新請求
- 法定更新
方法①:合意更新
地主と借地人が話し合いで条件を決める最も一般的な更新方法です。
更新料や更新後の地代などを双方が協議し、合意のもとで新たな契約を結びます。
方法②:更新請求
借地人が地主に更新を請求することで更新が成立する方法です。
借地上に建物が存在していて、地主に正当な事由がない限りは、地主は借地権の更新を拒否することはできません。
契約内容は、原則として以前と同じ条件で更新されます。
方法③:法定更新
更新手続きを行わないまま契約期間が満了しても、旧借地権や普通借地権の場合は、借地上に建物が存在し、借地人が使用を継続していれば、自動的に契約が更新されます。
ただし、地主が「正当な事由」をもって遅滞なく異議を申し立てている場合は、法定更新が認められません。
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まとめ
借地権の更新料は、法的に定められたものではありません。
しかし、契約に明記されている場合、地主と借地権者で合意のある場合は支払い義務が発生するため、注意してください。
借地権更新料は、借地権価格の5%程度、または更地価格の3%程度が一般的な目安です。
「高すぎる更新料を請求されている」
「突然更新料の支払いを求められた」
「地主との話し合いが平行線で進まない」
など、更新料でお悩みの方は、センチュリー21中央プロパティーへご相談ください。
当社は、借地権に強い不動産として、創業以来、4万件以上の借地権トラブルを解決に導いてきた実績があります。
借地権の法律に詳しい専門スタッフが在籍しておりますので、まずは無料相談をご利用ください。

借地権の更新料に関してのよくある質問
借地権の更新料についてのよくあるご質問と、その回答をいくつかご紹介します。
Q1.借地権の更新料の支払い方法は?
A.借地権更新料の支払い方法は、地代と同じ方法になるのが一般的です。
更新料がそれほど高くない場合、更新日の前月、あるいは更新月に地代と一緒に支払うケースが多いようです。
借地権の更新料が高額となり、一括での支払いが難しい場合、分割払いに応じてくれるケースもありますので、相談してみると良いでしょう。
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Q2.借地権の更新料に支払い期限はありますか?
A.借地権の更新を行う場合、通常は更新料の支払いをもって契約更新と見なされます。そのため、借地権更新料は契約期限が切れる前に支払うことが一般的です。
ただし、契約書に更新料の支払期日が明記されているときは、契約書の記載内容が優先されます。例えば、契約書に「更新料は更新月およびその1か月後までに支払う」と記載されている場合、借地権更新料の支払期限は更新月の翌月までとなります。
なお、特段の事情により更新料が支払えない場合は、速やかに地主と相談しましょう。のちのトラブルを避けるためにも、地主への連絡なしに支払期限を超えるような事態は避けてください。
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Q3.借地権の更新タイミングはいつですか?
A.借地権の更新タイミングは、契約期間満了時です。契約期間は、借地権の種類によって異なります。
旧借地権の場合は通常30年、普通借地権の場合は30年(初回)または20年(更新後)が満了期間の目安です。
更新請求や合意更新は満了前に行う必要がありますが、手続きを忘れてしまった場合でも、借地上に建物があり使用が継続されていれば「法定更新」によって自動更新されるのが原則です。
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Q4.地主に更新料の受け取りを拒否されたらどうすべき?
A.借地人が更新料の支払いをしようとしたにもかかわらず地主が受け取りを拒否する場合には、法務局の弁済供託の制度を活用できます。
弁済供託とは、法務局に相当の金額を預ける(供託する)ことで、更新料の支払いの代わりとする制度です。
地主が更新料の金額に納得せず、借地人が更新料やその後の地代を支払おうとしても地主が受け取りを拒否するというケースがあります。地主が自分の都合で更新料を受け取らないとはいえ、そのまま不払い状態が続くことには注意が必要です。更新料や地代の不払いを理由に借地契約を解除される恐れがあるためです。
弁済供託を利用すると、地主が更新料を受け取らない場合でも不払い状態が続くことを防げます。

この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。地代滞納、建物明け渡しなど借地権・底地権の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。