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【弁護士Q&A借地権】借地の契約書について相談です

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【弁護士Q&A借地権】借地の契約書について相談です

相続不動産を売却するには?流れと注意点・早めに売却するメリットも

借地権の契約書について質問です。

祖父が50年ほど前に地主さんから土地を借りて家を建てました。
契約書は作らず口頭で約束した形ですが、地代も滞納することなく毎月支払っています。

先日、借地人である祖父が亡くなり、地主さんからこれを機に借地の契約書を作りたいと言われました。

契約書を作ると旧借地法が適用されなくなり、借主側が不利な状態になるのではないかと心配しています。
契約書に記載すべき事項や注意点などありましたら教えていただきたいです。

我が国の借地・借家に関連する法制度としては、建物保護法・借地法(以下、旧借地法と言います。)・借家法の3つの特別法が存在していましたが、これらの特別法を統一する形で、現在の借地借家法が成立しました。借地借家法の施行日は平成4年8月1日で、同施行日以後の建物所有目的の借地契約については、同法の規律が適用されることになります。


もっとも、従来の法制度の下で保証されていた不動産の権利関係に重大な変更が生じることは、法的安定性の観点から望ましいことではないため、借地借家法は、同法の施行日より前からの借地契約にも原則として遡及適用されるものとしつつ(借地借家法附則4条本文)、旧借地法等により生じた効力を妨げないと定め(同条但書)、さらに、借地借家法のいくつかの規定に関しては、施行日前の借地契約への遡及適用が否定されています。その結果、借地借家法の施行日前後で、借地契約に適用されるルールには異同が生じます。


従来の法制度が借主を過度に保護してきたことの見直しとして借地借家法が作られたという経緯もあり、旧借地法と現在の借地借家法を比較すると、旧借地法の方が借主にとって有利な点が多いと言えます。
今回、借地人の代替わりを機に、賃貸借契約書の作成を地主より求められているとのことですが、まず、契約書が存在しなくても、従来の借地契約は有効に存在しており、また、その契約は、約50年前に交わされた契約ということですので、旧借地法のルールが適用される契約となります。


今回作成することになる契約書が、従来の契約内容の確認、あるいは従来の契約の更新としてされるものであれば、契約書作成以降も、引き続き旧借地法時代=借地借家法施行前に設定された借地権という扱いなろうかと思います。
これに対し、従来の契約を一旦終了させて新規に契約をやり直すという趣旨にされてしまうと、借地借家法施行後の新規借地契約として、借地借家法のルールが適用される恐れがあります。
契約書を作成するに当たっては、例えば、旧借地法が適用される契約であることの確認文言を入れるなど、借主側に不利な内容が適用されないように工夫するのが宜しいかと考えます。

まとめ

  • 借地借家法施行日前に設定された借地契約には、法的安定性の見地から、旧借地法のルールが適用されます。
  • 従来の契約を終了させた上での新規契約として契約書が作られると、借地借家法のルールが適用されるリスクがあります。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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