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【弁護士Q&A】地代の値上げについて相談です|弁護士Q&A

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【弁護士Q&A】地代の値上げについて相談です

借地権は償却できる?減価償却の仕組みと借地権の種類を解説

現在、借地に家を建てて、年金で生活をしています。
昨年末に地主さんが亡くなり、息子さんがその土地を相続したのですが地代の値上げを要求してきました。
私たちの毎月の年金からは今以上の金額の支払いは難しいのですが、新しい地主の要求を拒否することはできないでしょうか?

地代の条件は、他の契約条件と同様、当事者の合意によって決められるものであり、契約期間中は、合意によって定められた賃料に拘束されます。この原則からすれば、契約当事者間で別途合意が成立しない限り、地代は増額も減額も出来ず、固定化されることになります。

しかし、借地契約は、長期間にわたり継続される前提の契約であるところ、時間の経過とともに、(1)租税その他の公課の増減、(2)土地の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動、(3)近隣類似の土地の地代との比較、等の事情により、当初定めた地代が(設定当初は適正なものだったとしても)不相当になることが想定されます。

そこで、借地借家法では、借地契約の当事者が、将来に向かって地代の額を相当な金額へ増額あるいは減額するよう請求することが出来るものとしています(借地借家法11条1項)。この請求権は形成権とされ、請求の意思表示が相手方に到達した時点から将来に向かって増減額の効力が生じます。

なお、借地契約の中で、地主からの地代増額請求を認めないとの特約がされている場合、地主は増額請求権を行使できませんが(借地借家法13条1項但書)、借地人からの地代減額請求を認めないとの特約がされていても、借地人からの減額請求は妨げられません(最高裁平成15年6月12日判決)。

この増減額請求で認められるのは、あくまで相当な金額の地代への変更であり、請求した通りの金額がそのまま認められるというものではありません。

地主が増額請求してきた金額が相当とは言えない借地人側が判断する場合、借地人は、裁判所の判断が確定するまでの間は、借地人自身が相当だと認識する金額の地代を地主に支払う限り、債務不履行責任には問われません(借地借家法13条2項)。

但し、その後、裁判所で確定された地代より、借地人が相当と認識して支払っていた地代の方が低かった場合には、借地人は、差額の不足分及び不足額に対する年1割の利息を地主に対して支払うことになります(借地借家法13条3項)。

したがって、地主が一方的に請求する金額に従う義務はないものの、裁判所の最終的な判断次第では、増額自体は避けられないことにご留意ください。

まとめ

  • 地代は契約当事者間の合意で決められるものなので、変更には当事者の合意が必要であるのが原則ですが、借地借家法では、契約当事者双方に、相当な金額への地代の増減額請求権が認められています。
  • 裁判所の判断が確定するまでの間は、借地人自身が相当と認識する地代を支払う限り、債務不履行責任は生じませんが、裁判所の確定額より支払額が不足するときは、差額分に年1割の利息を付けて支払う義務があります。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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