借地権の空き家を相続したら?住んでいない家を処分する方法
目次
借地権を相続したけれど、空き家のまま放置している、今後の活用予定がなく処分方法に困っている、というお悩みを抱える方が増えています。
家は人が住まなくなると、想像以上に劣化が進んでしまいます。空き家が残っていると、倒壊して隣家を破損させたり、放火や不法侵入の温床になったり、火災で延焼したりするリスクがあります。
万が一そのようなことが起こってしまった場合、空き家の所有者は損害賠償などの責任を負わなければなりません。
さらに、倒壊などの危険性が高い「特定空家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が解除されて税額が最大6倍になったり、過料が科されたりする可能性もあります。
しかし、借地権は、地主と土地の賃貸借契約を結んでいるため、通常の不動産と比べて、売却などの処分が難しい側面があります。
この記事では、借地権の空き家をなるべく費用をかけずに処分する方法を紹介します。記事の最後で、空き家の借地権の売却に成功した事例についても紹介しています。
借地権とは?
借地権とは、建物を所有する目的で、地主から土地を借りる権利のことです。
借地権は、地主と借地人の契約で成り立っており、借地人は土地を借りる代わりに、地主に対して地代(賃料)を支払います。
つまり、一般的な所有権の不動産では、土地も建物も同じ名義人ですが、借地権の場合は、土地と建物の名義人が異なるという特徴があります。
借地権の実家を親から相続したケースで考えると、以下の図のように、建物は親名義、土地は地主名義になります。

借地権の種類は、契約時期や建物の構造によって異なります。
借地の空き家を相続したら?まずは地主へ報告

借地権を相続することが決まったら、何よりもまず地主に報告しましょう。
多くのケースでは、親が介護施設に入居するなどの理由で、相続前から空き家になっています。
相続が発生した事実、誰が相続することになったのか、については、地主にとっても、借地契約に関わる非常に大切な事項です。
報告を怠ると、地主との関係性が悪化し、今後の交渉が不利になる可能性も考えられます。
実際に、相続発生時に地主から地代の値上げを要求されるケースや突然立ち退きを要求されるケースも珍しくありません。
地主への報告とあわせて、契約内容や地代の滞納がないかどうかも、確認すると良いでしょう。
相続発生時に地主に報告・確認すること▼
- 相続が発生したこと
- 借地権を誰が相続したのか
- 今後の借地権の利用に関する意向(未定でも可)
- 現在の契約内容の再確認
- 地代の滞納の有無
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借地権の空き家処分が一筋縄ではいかない理由

借地権を相続したものの、活用予定がないため、建物を売却して処分したいと考える方も多いでしょう。
しかし、借地上の建物を第三者に売却するには、地主の承諾が必要不可欠です。
「地主の承諾があれば売却できる」と簡単に考えてはいけません。
多くの場合、借地上の建物を売却する際に地主の承諾を得ることは容易ではないのが実情です。
なぜなら、地主としては、「見ず知らずの第三者ではなく、この機会に土地を返して欲しい」という意図があるからです。
長年土地を貸してきた地主にとって、借地人の相続は、土地を取り戻す絶好の機会と映るのです。
そのため、ほとんどの地主は売却を認めず、建物を解体して更地状態にして返すよう要求してくるのが一般的です。
また、契約期間が残っている場合には、地主側との合意がなければ勝手に契約を終了(解除)することはできません。
そのため、借地契約の期間内であれば、たとえ空き家であっても地代の支払いは続けなければなりません。
使用していない建物であっても借地上にある以上、無断で処分はできませんので、注意が必要です。
こうした複雑な権利関係が絡むため、借地上の建物の処分を検討する場合は、必ず借地権に詳しい不動産会社に依頼しましょう。
ご自身で交渉を進めることで、地主との関係性をこじらせてしまうことがあります。
なお、センチュリー21中央プロパティーは借地権専門の不動産仲介会社として、延べ4万件以上ものご相談・売却実績がございます。
借地権関連のノウハウは業界随一であり、「地主からの譲渡承諾が得られない」「地主との関係が悪化してしまった」などのトラブル解決から、好条件での売却まで誠心誠意サポートいたします。
借地権の専門家が地主との交渉も代行いたしますので、借地権売却でお悩みの方は、ぜひご安心のうえ、お気軽にご相談ください。
借地権の空き家を処分する5つの方法
借地上の空き家を処分する代表的な方法は、以下の5つです。
- 地主に買い取ってもらう
- 底地と「同時売却」する
- 第三者に売却する
- 賃貸物件として活用する
- 更地にして返還する
借地権の空き家を処分する方法①:地主に買い取ってもらう

地主に借地権を買い取ってもらう方法です。
第三者に売却する場合に比べ、交渉がまとまりやすく、譲渡承諾料もかからないため、手元に残る金銭が多くなる可能性が高くなります。
まずはこの方法を検討するべきでしょう。
交渉の際は、建物付きで買い取ってもらうのか、取り壊した上で買い取ってもらうのか、解体費用はどちらが負担するのか、買取価格はいくらか、等を地主と協議してまとめる必要があります。
一般的には、借地人が自ら地主と交渉するのではなく、借地権専門の不動産会社に仲介してもらいながら、地主への買取交渉を進めていきます。
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借地権の空き家を処分する方法②:底地と「同時売却」する

地主が借地権の買取を希望しない場合には、地主が持つ土地の所有権(底地)とあなたの借地権を同時に第三者に売却する方法を提案してみましょう。
土地と建物を一体の「所有権付き不動産」として売却できるため、底地・借地権を単独で売却するよりも市場価値が上がり、高く売却できる点が最大のメリットです。
しかし、地主との合意形成や売却価格の配分など、同時売却は手続きが煩雑です。同時売却を検討する際は、専門家への相談は必須と言えるでしょう。
なお、売却後のお金の分配割合は、国税庁が定める借地権割合を基準に協議するケースが多いようです。
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借地権の空き家を処分する方法③:第三者に売却する

地主への売却や同時売却が難しい場合には、借地権のみを第三者へ売却する方法を検討することになります。
この場合、地主の承諾が必要になり、承諾の対価として「譲渡承諾料」を支払うのが一般的です。
譲渡承諾料の相場は、借地権価格の10%程度とされていますが、これも地主との交渉次第です。
「仲介業者」と「買取業者」どちらに依頼すべき?

借地権を第三者に売却する場合、専門の「仲介業者」に依頼する方法と、「買取業者」に直接売却する方法があります。
「買取業者」と「専門仲介業者」の決定的な違いは、その“目的”にあります。
買取業者は、自社で借地権をできるだけ安く仕入れ、リフォームなどを施して再販することで利益を得るビジネスモデルです。
そのため、できるだけ安く買いたい買取業者と、できるだけ高く売りたい売主様とは、利益が相反する関係になってしまいます。
一方、「専門仲介業者」は、売主様の代理人です。
できるだけ高く購入してくれる買主を探し、売買契約を成立させることで仲介手数料を得ます。
売却価格が高いほど仲介手数料もそれに準じるため、売主様と目的が一致するのです。
こうした理由から、買取業者よりも「借地権専門の仲介業者」に依頼した方が、市場価格に近い、より有利な条件で売却できる可能性が高くなります。
当社センチュリー21中央プロパティーは、借地権専門の不動産仲介会社です。
センチュリー21グループが誇る”買い手ネットワーク”をフルに活用し、可能な限り好条件での買い手をお探しします。
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借地権の空き家を処分する方法④:賃貸物件として活用する
どうしても売却が難しい場合には、空き家を貸し出すことも一つの方法です。
売却と異なり、建物を貸すこと自体には、原則として地主の許可を得る必要はありません。
借地人の判断で行うことが可能です。
ただし、賃貸借契約書に禁止する特約がないか、事前に確認しましょう。
この方法は空き家が居住可能な状態にあることが前提です。
状態が悪い家屋の場合は難しいでしょう。
リフォームして貸し出す方法もありますが、リフォーム費用と将来得られる家賃収入を天秤にかけ、慎重に検討しましょう。
また、大規模なリフォームや増改築を行う場合は地主の許可が必要になります。
借地権の空き家を処分する方法⑤:更地にして返還する
他のどの方法も選択できない場合の最後の手段として、更地にして返還することになります。
土地を返却する場合には、借地人に原状回復義務があります。
すなわち、借地上に存在する建物を取り壊し、更地にして地主に返還する必要があるのです。
借地人側には、建物買取請求権(借地上に存在する建物を地主に時価で買い取ってもらうことができる権利)がありますが、この権利が行使できるのは「借地権の存続期間が満了した場合」で、かつ契約更新がなされない時です。
契約期間中の合意解除などの場合にはこの要件を満たさず、借地人は地主に対して建物買取請求権を行使することはできません。
解体費用は原則として借地人負担ですが、場合によっては地主側が一部を負担してくれることもあります。
これも交渉次第と言えるでしょう。
借地上の建物を解体せずに売る方法

借地上の建物を解体せずに売却する方法は、主に以下の2つの方法があります。
- 地主への「買取請求」または「協議売却」
- 第三者への「借地権付き建物」の売却
1. 地主への「買取請求」または「協議売却」
借地人が、地主に対して「建物買取請求」を行使できる権利があります。
ただし、行使するには、借地契約の期間が満了し、借地人が契約の更新を求めたにもかかわらず、地主が更新を拒否した場合や地主が契約違反以外の理由で契約を解除・終了させた場合に限られます。
例えば、「相続して使わないから…」という理由だけで、建物買取請求権を行使することはできないのです。
一方で、権利に関わらず、地主と交渉し、建物を現状のまま買い取ってもらう方法もあります。地主にとっては、将来的に土地を更地として利用できるメリットがあるため、タイミングや利害関係が合えば、交渉に応じてくれる可能性は十分にあります
2. 第三者への「借地権付き建物」の売却
建物の買い手を見つけ、「借地権」と「建物」をセットで売却する方法です。
ただし、借地権を第三者に譲渡する場合、地主の承諾が必ず必要となります。地主は承諾の見返りとして、一般的に売却価格の10%程度の「承諾料」を請求することが多いです。
この方法は、地主との交渉や法的な手続きが必要になる可能性がありますが、地主への売却額よりも高い価格で売れる可能性があるのがメリットです。
当社センチュリー21中央プロパティーでは、相続した築古の建物でも、耐震性や劣化状態に問題がなければ、解体せずそのままの状態で購入してくれる買主様をお探しできます。
「解体して更地にして返して」と地主に言われた場合でも、当社が仲介に入ることで交渉が円滑に進み、解体せずに売却できた事例も数多くございます。
まずは一度当社へご相談くださいませ。
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空き家の借地権を解体せずに売却できた成功事例

地主から「更地返還」を求められた空き家を、解体せずに売却できた事例です。
東京都目黒区の借地権付き空き家を相続したご姉妹は、地主から「建物を解体して更地で返してほしい」と要求されていましたが、約200万円かかる解体費用の捻出が難しい状況でした。
さらに、空き家のまま月5万円の地代を支払い続けており、地代が年々値上がりしていることにも大きな不安を抱えていらっしゃいました。
当社へご相談いただき、地主様へ粘り強い交渉を続けた結果、第三者への売却承諾を得ることに成功しました。
ご姉妹は解体費用を負担することなく、まとまった売却代金を手にすることができ、長年の悩みから解放されたと大変お喜びいただけました。
より詳しい事例の内容は、以下のページでご覧いただけます。
センチュリー21中央プロパティーなら、費用0円で借地権を売却できる!

この記事では、相続した借地権付き空き家を処分する5つの方法と、費用を抑えるコツを解説しました。
しかし、実際には「地主が売却を認めてくれない」「更地にして返すよう求められている」など、個人での解決が難しい問題が山積しています。
当社センチュリー21中央プロパティーは、ご相談・売却実績4万件超のノウハウを持つ、借地権専門の不動産仲介会社です。
もし地主と揉めていても、現状のまま借地権を売却できるよう、借地権の専門家集団が売却を完全サポートします。
面倒な地主との交渉も、経験豊富な借地権専門家が代行いたしますので、ご安心ください。
ご相談から売却まで、料金はすべて無料となっておりますので、借地権のトラブル解決・売却をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。