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底地の所有者が変わった場合、地代の支払いはどうなる?|弁護士Q&A

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作成日:
コンテンツ番号:822

底地の所有者が変わった場合、地代の支払いはどうなる?

相談事例

Bは地主Aから建物所有目的で、甲土地を賃貸し、建物乙を建築しました。 地主AはCに対し甲土地を売却し、CはBに対して今月から自分が地主なので、地代は今後Cに支払うようにと通知が来ました。 その後、地主AはDにも甲土地を売却し、Dは所有権移転登記を具備しました。 ところが、甲土地として売った3分の1が実はEの土地も含まれていました。地主Aの責任、及び地代の支払いについてはどのようになるのでしょうか。

地主が底地を二重売買した場合の図

売主の責任

1. Cに対する責任

Aは甲土地を二重に譲渡してしまいました。

民法177条:「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

とあり、Cは登記をしていなければ、第三者に対抗することはできません。
本件ですとすでに、Dがすでに登記を備えてしまっています。そのため、CはDに対して甲土地について所有権があるとの主張をすることができません。
それでは、CはAに対してどのような責任を追及することができるのでしょうか。

民法415条:「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。」

とあります。Cとしては、甲土地を引き渡す義務を履行しなかった、債務不履行として損害賠償責任の追及をすることになるでしょう。また、刑事上の責任として詐欺罪に問われる可能性もあります。

2. Dに対する責任

DはCとは異なり、甲土地について所有権移転登記を備えていることから、所有権を確定的に取得することができました。
ところが、甲土地として譲り受けた土地の3分の1がEの所有でした。そのような場合どのような責任を負うのでしょうか。

民法560条:「他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。」

まず、上記にあるように、AはEの権利部分を取得して、Dに対して移転する責任を負います。
その上で、Eから所有権を移転することができない場合は、

民法563条1項:「売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。」

とあります。
本件でいえば、甲土地のEの所有部分である3分の1の代金の減額を請求することができます。既に、全額支払ってしまっている場合には、Aに対して不当利得返還請求権を行使し、代金の3分の1を請求することができると考えられます。

同条2項:「前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。」

とあるように、3分の2の部分であれば、甲土地を買わないような事情があれば(他人物であることを知らない(善意)ことが必要)、契約の解除をすることができます。

地代の行方

Bは地主に対して地代を支払わなければなりませんが、Cからの地代支払いに対して応じなければならないのでしょうか。

♦参考判例:最高裁 昭49年3月19日判決

判旨:「被上告人としては上告人に対し本件宅地の所有権の移転につきその登記を経由しなければこれを上告人に対抗することができず、したがつてまた、賃貸人たる地位を主張することができないものと解するのが、相当である」

簡単にいうと、登記が無いと賃借人に対して賃貸人たる地位の主張ができず、また、賃料請求も当然できないということです。
本件の場合、CがBに対して賃料の請求をしていますが、Cには登記はありませんので、Bは賃料をCに支払う必要はありません。もちろん、登記を有するDからの賃料請求には応じる必要があります。

登記を基準に判断をすれば、賃借人は調査をすることで、真の賃貸人か否か判断することができます。そうすることで、賃料の二重支払いを防止することにもつながります。

この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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