法人の借地権売却にかかる税金と手取りを増やす節税対策を解説
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法人の借地権売却にかかる税金と手取りを増やす節税対策を解説

法人の借地権売却にかかる税金と手取りを増やす節税対策を解説

目次

法人が保有する借地権を売却する場合、個人の不動産売却とは異なる税務処理や戦略が求められます。

適用される税金の種類や計算方法が大きく異なるため、事前の知識がないと思わぬ高額納税が発生し、手元資金が減ってしまうリスクがあります。

本記事では、法人の借地権売却における税金の仕組みから、手取りを最大化する節税スキーム、実務上の注意点までをわかりやすく解説します。

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法人と個人ではここが違う!借地権売却における税金の仕組み

個人の不動産売却益は給与等と切り離して計算しますが、法人の場合は事業活動の一部として扱われます。

まずは、借地権売却において、法人・個人で異なる税金の仕組みを、以下の3項目に分けて解説します。

  1. 課税される所得の計算方法
  2. 所有期間による税率の変動
  3. 売却で損失が出た場合の損益通算

1.課税される所得の計算方法

【個人】売却益だけを独立させて計算する「分離課税」

売却益に対し個別に税率を掛ける「申告分離課税」が採用されており、本業の収入額に関わらず、税金の計算ベースは独立しています。

【法人】事業全体の損益と合算して計算する「総合課税」

最終的に法人全体の利益に対して課税される「総合課税」となります。

2.所有期間による税率の変動

【個人】所有期間が5年を超えると税率が下がる

個人の場合、売却した年の1月1日時点での所有期間により税率が変わります。

【法人】所有期間に関わらず税率は変わらない

法人税には、所有期間による税率の変動はありません。

そのため「長期保有してから売った方がお得」という税務上のメリットは原則ありません。

3.売却で損失が出た場合の損益通算

【個人】原則として土地の売却損は給与所得等と相殺できない

個人の場合、借地権の売却で損失(譲渡損失)が出ても、原則として給与所得などの黒字と相殺(損益通算)はできません。

売却損は不動産譲渡所得の中でのみ処理されるため、節税効果は限定的です。

【法人】売却損は他の事業利益と完全に相殺(損益通算)できる

法人の最大のメリットはここにあります。

売却損は事業経費と同様に扱われ、本業の黒字と完全に相殺できます。

法人が借地権を売却する際にかかる5つの税金

法人が借地権を売却し、利益が出た場合に課税される主な税金は以下の通りです。

  1. 法人税(法人税・地方法人税)
  2. 法人住民税
  3. 法人事業税
  4. 消費税(借地権は非課税・建物は課税)
  5. 印紙税(売買契約書への貼付)

税金①:法人税(法人税・地方法人税)

会社の所得に対して課される国税です。

中小法人(資本金1億円以下)には軽減税率の適用など優遇措置があります。

一般的に、下記の地方税と合わせた「実効税率」は、約30%〜34%程度を目安にすると良いでしょう。

税金②:法人住民税

事業所を置く自治体に納める地方税です。

法人税額に応じて課税される「法人税割」と、赤字でも課税される「均等割」で構成されます。

売却益で法人税額が増えれば、法人住民税も増加します。

税金③:法人事業税

法人が利用する公共サービスへの対価としての地方税です。

所得金額に応じて課税されますが、支払った事業年度の「損金(経費)」として算入できる点が特徴です。

税金④:消費税(借地権は非課税・建物は課税)

間違いやすい点ですが、借地権(土地)の譲渡は「非課税」です。

一方、借地権付き建物を売却する場合、建物部分の対価には消費税(10%)が課税されます。

売却代金の内訳を決める際は、土地と建物の価格を明確に区分する必要があります。

税金⑤:印紙税(売買契約書への貼付)

売買契約書に収入印紙を貼付して納める税金です。

契約金額(売却価格)に応じて税額が決まります(例:1,000万円超5,000万円以下なら1万円)。

利益の有無に関わらず、契約書作成時に発生します。

税金だけではない?法人の借地権売却で発生する費用

法人の借地権売却で発生する、税金以外の費用としては、以下のようなものがあります。

  1. 地主への名義書換承諾料(譲渡承諾料)
  2. 借地条件変更や増改築にかかる承諾料
  3. 建物の解体費用(更地渡しの場合)
  4. 仲介手数料

費用①:地主への名義書換承諾料(譲渡承諾料)

借地権を第三者へ売却するには、必ず地主の承諾が必要です。

その対価である「名義書換承諾料」は、一般的に借地権価格の10%程度が相場です。

この費用は売却時の経費(譲渡費用)として計上できます。

費用②:借地条件変更や増改築にかかる承諾料

売却に伴い、建物の構造変更(木造→RC造など)や増改築の許可が必要な場合、別途「承諾料」が発生することがあります。

これらも地主との交渉次第で金額が変動します。

費用③:建物の解体費用(更地渡しの場合)

建物を解体して更地で引き渡す場合、解体費用がかかります。

法人の場合、固定資産除却損や譲渡費用として処理します。

アスベスト等が含まれると高額になるため、早めの見積もりが重要です。

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費用④:仲介手数料

不動産会社への成功報酬です(上限:売買価格の3%+6万円+消費税)。

なお、センチュリー21中央プロパティーでは、相談から売却まで、仲介手数料だけでなく、弁護士費用・相続登記費用・残置物処分費用などがすべて無料です。

買主側が諸費用を負担する独自の仕組みにより、売主様の手取り額を最大化することが可能です。

さらに、センチュリー21グループの広範なネットワークとオークション形式を駆使し、富裕層投資家や不動産投資法人へアプローチすることで、最高値での売却を実現します。

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法人の借地権売却で税務上注意すべき3つのポイント

法人の借地権売却において、税務上注意すべきポイントは以下の3点です。

  1. 売上計上の時期(引渡し日基準と契約日基準)
  2. 低額譲渡(役員等への格安売却)のリスク
  3. 借地権割合と評価額の算出の複雑さ

注意点①:売上計上の時期(引渡し日基準と契約日基準)

売却益の計上時期は、原則「引渡し日」ですが、「契約日」基準も認められます。

決算期末に近い取引では、どちらの期に計上するかで納税時期や決算内容が変わるため、税理士と相談して慎重に決定してください。

注意点②:低額譲渡(役員等への格安売却)のリスク

時価より著しく低い価格で役員や関連会社へ売却すると、「低額譲渡」とみなされます。

注意点③:借地権割合と評価額の算出の複雑さ

借地権の「時価」算出は困難です。

路線価の「借地権割合」はあくまで相続税評価用であり、市場価格とは乖離します。

税務署に対し適正価格であることを証明するには、客観的な根拠が必要です。

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借地権の売却益を最大化するための節税対策・手残り対策

借地権の売却益を最大化するための節税対策・手残り対策としては、以下のようなものがあります。

  1. 事業年度内の赤字(損失)と売却益を相殺する
  2. 役員退職金の原資として計上し利益を圧縮する
  3. 「買換え特例」を活用して課税を繰り延べる
  4. 借地権そのものではなく「M&A(株式譲渡)」を検討する

対策①:事業年度内の赤字(損失)と売却益を相殺する

最も効果的なのは、本業で赤字が出ている期や、設備投資等で経費が嵩む期に合わせて売却することです。

事業の赤字と売却益を相殺(損益通算)すれば、課税所得を圧縮し法人税を抑えられます。

過去の繰越欠損金も活用可能です。

対策②:役員退職金の原資として計上し利益を圧縮する

経営者の引退が近いなら、売却益を「役員退職金」に充てるのも有効です。

退職金は適正額なら法人の損金(経費)となり、売却益と相殺できます。

受け取る個人側も税負担が軽く、双方にメリットがあります。

対策③:「買換え特例」を活用して課税を繰り延べる

条件を満たして新たな事業用資産を購入すれば、「買換え特例」により売却益の約80%に対する課税を将来へ繰り延べられます。

免税ではありませんが、直近のキャッシュフロー確保に有効です。

対策④:借地権そのものではなく「M&A(株式譲渡)」を検討する

借地権を持つ法人そのものを売却(M&A)する方法もあります。

売り手は株主(個人)となり、株式譲渡益への税率は約20%で済みます。

法人税より低率な上、地主の承諾も不要なケースが多く、スムーズな現金化が期待できます。

法人の借地権売却を安心して任せられる不動産会社の特徴

借地権売却は地主との交渉や複雑な税務が絡むため、依頼する不動産会社選びが重要です。

法人の借地権売却を安心して任せられる不動産会社の特徴は、主に以下の通りです。

  1. 借地権専門の税務・法務知識が豊富
  2. 地主との交渉実績(承諾の取得)が十分にある
  3. 税理士や弁護士との連携体制が整っている

特徴①:借地権専門の税務・法務知識が豊富

借地権の売却には、法人税や低額譲渡リスクなどの専門知識が不可欠です。

契約や税務のミスは経営に直結するため、専門家のサポートが必須です。

センチュリー21中央プロパティーには、借地権の実績豊富な社内弁護士が常駐しています。

法的観点からの的確なアドバイスや書類チェックにより、リスクを最小限に抑えた取引を実現します。

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特徴②:地主との交渉実績(承諾の取得)が十分にある

交渉で揉めると売却自体が白紙になりかねません。

センチュリー21中央プロパティーは、借地権トラブルの解決・売却実績を4万件以上有しており、熟練のスタッフが地主との交渉を全て代行します。

地主と揉めている場合や関係が悪化している場合でも、現状のままでトラブル解決・売却が可能です。

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特徴③:税理士や弁護士との連携体制が整っている

売却後の申告まで見据えたアドバイスも重要です。

単に売るだけでなく、手取り最大化の戦略やリスクヘッジについて、チームでサポートできるか確認しましょう。

センチュリー21中央プロパティーでは、司法書士や税理士、不動産調査士といった各種士業との連携により、相続や税務を含む借地権トラブル・売却をワンストップで確実にサポートします。

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まとめ

法人の借地権売却は「総合課税」にあたるため、赤字や退職金との相殺で大幅な節税が可能です。

一方で、消費税や低額譲渡リスク、地主交渉など、専門知識がないと損をするポイントも多々あります。

そのため、借地権売却の成功には、トータルな戦略と交渉力の高いパートナー選びが不可欠と言えます。

地主との交渉から税務相談まで、お客様の利益を最大化するワンストップサポートを提供します。

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法人の借地権売却についてよくある質問

法人の借地権売却についてよくある質問と、その回答をご紹介します。

Q1.赤字決算のタイミングで売却すれば、法人税は安くなりますか?

法人の売却益は事業所得と合算されます。

本業の赤字や繰越欠損金と相殺(損益通算)することで課税所得が減少し、法人税額を抑えることができます。

Q2.借地権の売却代金には、消費税はかかりますか?

土地(借地権)の譲渡は非課税ですが、借地権付き建物の場合、建物部分の対価には消費税(10%)がかかります。

Q3.路線価図にある「借地権割合」で計算した金額で売れますか?

借地権割合はあくまで相続税評価用であり、実勢価格とは異なります。

実際の価格は、地代、残存期間、地主との関係性、建物の状況などを総合的に判断して決まります。

Q4.地主から「名義変更は認めない」と言われたら、売却は不可能ですか?

地主が正当な理由なく承諾を拒否する場合、裁判所に「借地非訟手続き」を申し立て、承諾に代わる許可を得られる可能性があります。

当社でサポートできる可能性がありますので、まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

山口 義重ヤマグチ ヨシシゲ

税理士

ワールド法律会計事務所 代表/税理士
ワールド法律会計事務所の代表を務める、借地権・不動産税務のスペシャリスト。東京税理士会日本橋支部所属(登録番号 117651)。

特に借地権の評価や譲渡に関する税金問題、地代・更新料の税務処理など、借地権にまつわる税務相談を得意分野としている。

生前贈与や親族間の不動産売買、相続対策など、多岐にわたる不動産税務全般にも豊富な経験と実績を持つ。税務の専門知識と実践的なアドバイスで、複雑な不動産税金問題を最適化し、お客様の賢い資産形成をサポートする。

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